コラム
2007年03月20日
屋根塗装の「縁切り」にスポットを当てる セイム(茨城)
「本業の塗装はただいま休業中」とセイムの倉持忠行氏。自らが考案、開発した屋根塗装時の縁切り部材「タスペーサー」の販売が軌道に乗ってきたためだ。
倉持忠行氏
戸建て住宅などで普及しているコロニアルなどの窯業系屋根材だが、塗り替え工事の際に欠かせないのが屋根材の重なり部分を覆った塗膜をカットする“縁切り”作業。内部に侵入した雨水や生活から生じる湿気を外に逃す隙間を確保しないと、雨漏りの原因となる他、野地板や建物の構造を腐朽させる恐れがあるためだ。
一般的にはカッターや皮スキを使って縁切りが行わているが、一旦仕上がった屋根上での作業は汚れや屋根材の破損などクレームもおきやすく、足場の延長や人件費など業者側にとっては面倒くさい作業。また、やってもやらなくても施主には分からないといったことも手伝い“手抜き”が行われがちなグレーゾーンでもあった。
倉持氏はここに着目した。自らが親方として従事している塗装工事の中で、縁切りに苦労していたのも事実で、それは他の塗装業者も同じと考えた。「なにか良い方法はないか」とアイデアを練っていたある日、縁切りが上手くできない職人に「初めから屋根材の間につま楊枝でも挿していろ」と、自ら発した一言がヒントとなった。あらかじめ屋根材の間に隙間を確保しておけば面倒な縁切りが不要になるとの発想。
以来、スチールやバルサ材などさまざまな素材を使い、厚みや形状、耐久性、ズレ落ちないための工夫など試行錯誤。「幸い、自分の現場でとことん納得のいくまで検証できた」と振り返る。金型代などそれなりのコストもかけ、最終的にポリカーボネート製・厚さ1.7mm、40mm角台の縁切り部材として結実、「タスペーサー」の商品名で発売した。
タスペーサーを屋根材の間に挿入することで確実に通気性が確保され、雨漏りや建物が傷む心配がなくなるとともに、縁切りのための面倒な戻り作業からも開放される。
倉持氏は「何よりも、グレーゾーンであった縁切りが明確化されたことが大きい」と語る。「これまであいまいであった“縁切り”に関して、その必要性と対応策を明確に示すことができれば、施主様の信頼度が高まる」とは、戸建て塗り替えなどの直需をメインとしていた同氏の実感。
「我々のような零細の業者が生き延びるためには直需(戸建て塗り替え)を獲得していくしかない」との持論を持つ。そこでは「信用(施主の評価)の絆が次の仕事を生み出す」ということを、身をもって体験している。タスペーサーが同じ思いを持つ同業者の一助になればと考えている。
塗装工事の品質確保が叫ばれているいま、タスペーサーによる確実な縁切りが注目され、大手ハウスメーカーやリフォーム会社などが相次いで同品を標準仕様化。「発売から2年、ようやく軌道に乗り手が離れてきた。そろそろ本業の塗装に戻りたい」と考えている。
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