コラム
2007年07月09日
利益はすべて在庫に回す 中前塗料(和歌山市) 代表取締役 中前明治氏
昭和50年に創業し、県内では最も新しい塗料販売店。「創業時はとにかく朝から晩までがむしゃらに働いた」と苦労を語るも、「顧客開拓に努めたのは最初の半年間だけ。それ以降は新規開拓営業をしていない」と口コミによる評判で顧客数を拡大。成長の影にユニークな経営手法があったことが垣間見られる。
まず同社には事務員がいない。6名の従業員が受注、調色、配達、伝票入力とすべての業務をこなし、経理は社長自らが担当。そのため間接人件費はゼロ。また仕入れも主要3メーカーに絞り込み、パレットで購入。そのためにフォークリフトを導入したほど。コストダウンに徹底的に取り組む姿勢がうかがえる。
その一方で、在庫は常時5,000万円分を抱える充実ぶり。「利益はすべて在庫に回してきた」と品揃えと即納体制を武器にすべく基盤強化に努めてきた。今では市内販売店の9割が取引関係にあるなど、地域の物流を司る旗艦的存在となっている。 中前氏は地元の工業高校を卒業後、大阪の塗料メーカーに就職。そこで技術、生産、営業を経験。25歳のとき、「ここで一生を終わるのは嫌だ。イチかバチか勝負をかけて商売をやりたい」との思いが芽生え、10年の塗料販売店の勤務を経て、35歳で独立を果した。
和歌山県の産業構造の変化は激しい。化学メーカー、鋼管メーカー、石油元売りなどが相次いで撤退。更にかつて新婚旅行で人気を博した観光も沈み、地場産業だった襖塗装も壊滅状態。残ったのは汎用分野のみ。和歌山市には人口40万人に塗料販売店30社がひしめく。生き残りは容易ではない。「とにかく顧客の要望に対応することに専念してきた」と中前社長。コンピュータや調色機もいち早く取り入れ、機能強化に余念がない。時代に即応しながら、強みに磨きをかける。(近藤)