コラム
2011年07月25日
塗滴 2011.06.01 塗料需要の空洞化は今に始まったこと・・・
塗料需要の空洞化は今に始まったことではない。80年代中頃から円高を契機として自動車メーカーの生産拠点が米国にシフト。それに伴って部品や塗料メーカーが海外供給体制の確立を目指した。そしてリーマンショックから2年後、東日本大震災が起き、ユーザーの海外シフトは加速する傾向にある。これまでのようなグローバルサプライチェーン構築との意味合いよりも、リスク分散の性格がある。塗料産業を需要比率の面から検証すると、まず目に付くのは自動車需要依存度の異常な高さ。欧米先進国のそれと比べて10~20ポイントも高い。裾野の広い自動車産業はそれだけにピラミッドのような需要構造を形成し、全塗料需要の40%ほどを占めている。震災によって自動車生産ラインが停止し、再開したとはいえ完全回復にはあと数カ月はかかる。震災前から海外生産強化の動きもあり、部品メーカーも海外シフトを鮮明にしている。このため今年度の塗料需要は後半からの復興需要を見込んだとしても10%以上落ち込むとの見方もある。自動車向け需要は塗料産業そのものの存立条件を左右するものであり、それだけ危機は深い。危機を克服するには中長期的に建築を中心とした汎用需要の活性化と創造が不可欠。ストック社会を支える塗料産業ビジョンが必要になる(M)