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インタビュー

2008年02月07日

塗装技術のトータル提案に向け 乾燥の世界を変える 

タクボエンジニアリング
社長 佐々木栄治 氏

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タクボエンジニアリングは品質とコストを軸としたトータル提案に向けたエンジニアリングの構築を進めている。ロボット塗装では色替え時間の短時間化に向け開発を進めるとともに、金属焼付乾燥方法もこれまでの熱風乾燥からIH/Jou-lo(ジューロ)の技術(トピー工業、日本ペイント及びタクボエンジニアリングの共同開発)を用いた新たな展開をスタート。「乾燥の世界が変わる革新的技術」(佐々木社長)というように期待を抱かせる。
海外が好調ですね。

ノキア、モトローラ、サムスン電子といった携帯電話の大手メーカーの生産を行っている韓国、中国の下請けメーカーに採用されている。ビッグメーカーがグローバル化を進める中で、下請けメーカーも中国、東南アジア、インド、ブラジルと生産拠点の拡大を進めており、その進出に合わせて塗装システムが採用されている。 昨今は管理の一元化が進み、当社が開発した塗装データ作成専用ロボット/データプロを採用するケースが高まっている。塗装データを核となる本部で作成し、各工場にそのデータを送るだけで同じ条件設定が正確に再現でき、どこでも同じ品質、同じコストで塗装できる。年間に数億個の生産を行っている彼らにしてみると1gの塗料使用量低減が大きな利益に結びつく。特にここ数年競争が激しくなる中で、原価管理の徹底が一段と進んでいる。  データプロは時間当たりの塗料消費量、塗料単価が出せるので、昨年韓国の塗料メーカーがこのデータプロを導入し自社で塗膜の確認を行っている。特に高意匠性が求められる携帯電話やパソコンの筺体は再現性が求められ、数値管理をきちんと行っていかないとできない。

高意匠性が求められる中で、先端を行くメーカーの動向は。

サムスン電子の下請けメーカーはデザインの提案まで行っている。単に言われたものを塗装するのではなく、自社で提案を行い、受注に結び付けている。例えば蒸着と塗装を組み合わせるなど常に新しいものにチャレンジしている。仕上げが多様化する中で、我々も韓国メーカーと組んで専用システムを作るなどマーケットに対応した展開を進めている。特に携帯電話は大手メーカーの寡占が進み、その下請けメーカーは生き残りに必死。

国内の動向はいかがですか。

国内ユーザーは、今後どのような塗装システムを作ったらいいのか、迷っている。どうせ投資をするなら5年、10年を見越したものにしたいと思うが、しかし、以前と同じものが提案される。塗装に関しては変化がないのか?と思っているのが本音。 塗布する技術は制御が進み、我々のスーパースピンドルも回転霧化技術によって塗膜制御が行え、薄膜から厚膜まで対応できる。しかし乾燥工程は全く以前と変わらない。相変わらず熱風乾燥炉が主流で、塗料メーカーの品質保証に合わせ150℃×15分ならば、そのままの仕様で戦艦大和級の大きな箱をいまだに作っている。塗装エンジニアリングが全く変わっていないというのが実態だ。

ここ数年、IH(インダクション ヒーティング):Jou-loの技術の開発に注力してきましたが、見通しは。

トピー工業と日本ペイント及び我々塗装エンジニアリングが一緒になってIH/Jou-loの技術確立を進めてきたが、ようやく実ラインに乗せられるレベルに来た。2007年末には、東京電力電化ファクトリー館【アイ・スクエア】にデモ機を納め、展示している。今後も被塗物によって検証は求められるが、発想・イノベーションとして非常に期待している。 これまでのような2コート、3コートに対しては塗っては被塗物の温度を下げて繰り返し行ってきた。IH/Jou-loの技術を使用することで、例えば従来の焼付乾燥120‐140℃約30分の乾燥を、ジューロの技術では約180‐200℃約3‐5分という高温短時間乾燥が可能になり、大幅なリードタイムの削減が可能になる。更に被塗物の基材側から塗料を乾燥させていくのでピンホールの発生や泡が立ちにくいし、空気の移動がないので品質的にも優れる。また周波数によっては表面部分だけを膜にすることもできる。例えば粉体塗装であれば治具を樹脂、木などの絶縁物で作れば熱は伝わらないので塗料は硬化しないというようにさまざまなことができる。そして、何といっても省スペース化が可能となり、設備が小型化し、また塗料を選ばないのは大きな魅力だ。

もの造りに対する考え方が大きく変わりつつあるのでしょうか。

もの造りの考え方を再構築しようとしている。その動きがここ2‐3年の間に各方面で顕在化してきた。既存技術はやりつくし、応用技術をいかに生かしていくか、特に他の業界の技術を導入し、自社の中で使いこなしていくかという時代に入った。IHの技術も鉄を溶解する技術として熱処理では当たり前のように使っている技術。またオール電化住宅などではIHを利用し、安全、経済性を謳って伸ばしている。視野を広げ、周りの業界を見ることで我々塗装の業界に生かせるものがたくさんあるように思う。

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今後のロボット塗装の開発は。

"Rの技術"として回転霧化技術を極めてきたが、現在色替え時間の短縮化に向けた開発を進めている。ロボットが塗装している間に色替えをしてしまうデュアルアクションの開発に取り組んでいる。その考え方の初段としてユニット用の専用ホースを用いてガンユニットを変えていく方法を検討している。これはPROパワージョイントオートチェンジシステムというもので、これを更に進めるとホースレスのカートリッジ方式(シリンジガン)になる。そうなると洗浄用溶剤も至極少量ですみ、段取り替えにかかった廃溶剤コストが大幅に削減され、廃棄物量も大幅に少なくなる。 塗装ロボットの技術開発、乾燥機などの周辺機器開発と同時にそれらを取り巻く環境技術も同時に進めている。今、最新システムとして提案しているのは、加温/加湿に使用されているボイラーに代わる化石燃料(ガス/重油/軽油)を使用しない塗装用クリーンルーム空調システム。これはボイラー蒸気式から外気温の低い冬場でも安定した温水を効率よく得られるヒートポンプと、気化式加湿器の組み合わせによる蒸気レス空調システム。エネルギー源を電気に換えたオール電化クリーンルームシステムで、省エネルギー、CO2削減に大きく貢献している。 これからの塗装技術は総合的に捉えていかなければならない。VOC、CO2、産業廃棄物の削減とテーマが山積する中で、いかに塗装技術としてトータルに提案できるか。常に1バージョンアップを目指して開発に取り組んでいる。

ありがとうございました。

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