インタビュー
2008年06月24日
生活者アプローチのポイントとは
ケーアイ
代表取締役 毛利那華雄
氏
特に汎用市場は生活者から発想しない限り、成熟化から突破できないばかりか、衰退に向かっていくことは明らか。建設業界に塗替えリフォームが組み込まれていては、生活者の求めている方向とのかい離が大きく、むしろ生活者から拒否されかねない。生活者マーケティングが重要であるとの認識が高まっているのは当然だと思う。
メーカーの作成するカタログひとつとっても、生活者に向けたものになっていない。失敗策ばかり。ただ最近では改善されたカタログも出現している。ポイントは説明ではなく、インデックスに絵文字を使うなど、見せて分からせる工夫。建物部位を絵文字でインデックス化することで分かりにくい塗料分類が一目で理解できる。もっと工夫の余地はある。
色彩は塗料の商品としての最大のセールスポイント。にも関わらず生活者に対するアピールの弱点になっている。日塗工の色見本帳にしても、プロ向けで生活者に近づくツールとしては使いにくい。色と仕上がりイメージをリアルに見せていくには、本物の塗料でサンプルを作成する必要があるが、これまでは設計士の自己満足のために塗り板見本が乱発されるばかりで、生活者の視点がそこに全く入っていなかった。
まず発想を生活者の立場からスタートさせなくてはならない。業界側の経験知ではアプローチは失敗する。生活者にとって塗替えはわずらわしく、なるべくやりたくないと考えているのが一般的。塗替えでモチベーションは高くならない。むしろライフスタイルに合ったイメージアップの方からアプローチした方が生活者側に立てる。参考になるのはハウスメーカーのリフォーム対応ではなく、化粧品メーカーのコンセプト作りやセールスプロモーション。住宅塗替えの主導権は主婦などの女性層なのだから。
女性は肌に敏感。そこで化粧品メーカーは世代別、グレード別、更にイメージ戦略を絡ませて展開する。住宅の壁を肌と同じ感覚で考えていけば、何も"この塗料で耐久性は10年"なんて誰も保証しない話で生活者の目をごまかす必要はない。むしろ住空間の内外とライフスタイルの関係を追求したコンセプトがあって良い。カラーワークスの秋山千恵美さんの『私改造計画』はその意味で画期的なものであったと感心した。大事なことは色彩や仕上がり感は生活者をワクワクさせる要素だという点。色は面倒、生活者を迷わせるとの言い訳は業界人の怠慢に他ならない。