インタビュー
2008年09月03日
「ノンロット Zカラー」リニューアル 木部塗装の価値を高める
三井化学産資 事業本部部長住宅資材グループ
加藤章文
氏
2006年秋に発売して以来、販売額ベースで2ケタ増を続けています。当初は耐候性を武器に、いかに10年耐久を実現させるかをコンセプトに開発しましたが、いざ発売してみるとユーザーから思いもかけない評価を頂くことができました。それは臭い抜けの良さとテープ付きの機能です。"臭い抜け"といっても低臭とか無臭ということではありません。施工後しばらくすると完全に臭いがなくなり、木の香りがするということで、塗装業者の方から好評を得ました。またテープ付きについては新築、改修問わず、外壁や屋根など他の部位の施工が伴う場合にテープ付きが良いということは、木部の塗装後、乾燥を待つことなく、他の作業に取りかかれるため、結果的に工期短縮に寄与しました。これらは他社にない機能特性ですが、"臭い抜け"や"テープ付き"などメーカーの我々でも思いもつかない特性でした。現場の評価を聞くことの重要性を改めて知らされ、そういう意味で『Zカラー』の投入は当社の製品開発について明確な方向性を得ることができました。
製品名こそ変えませんが、このたび『ノンロット Zカラー』に改良を加えました。特に開発に最も重点を置いたのはメンテナンス性と安全性です。一言にメンテナンス性と言ってもさまざまな表現の仕方がありますが、分かりやすく言うならば塗替えがしやすいということです。まずは塗装時の溶媒臭を大幅に軽減しました。また浸透性の着色剤を劣化した木材に塗布する場合、吸い込みムラや下地のシミなどが目立ってしまうことが問題になる場合があります。新製品では着色力がアップし、隠ぺい力が高まりました。これは顔料と樹脂との組み合わせで成し遂げたものです。一方、安全性については安全性に配慮したVOC成分を今まで以上に活用しただけでなく塗装後の安全性を重視しました。昨今、木材塗布物そのものの安全性が問われています。新製品については、ヒト20人による河合法皮膚貼付試験で塗装面と人間の皮膚が直接接触しても目視により陰性であることが実証できました。これからもお客様が安心できるデータ類の整備を進めることで他社との差別化を図りたいと考えています。
確かにマーケット全体は縮小傾向にありますが、国産材や県産材の活用と木材の見直しが国家プロジェクトとして進められており、再び木材に対する需要は増大していくと見ています。1990年代はエコロジーという概念が流行し、人間に優しい素材ということから木材を使う動きが活発化しました。しかし2000年に入ってからは地球保全、環境保全という観点から、木材は他の資源より資源負荷の低いカーボンニュートラル材料として見直されており、特にエクステリア分野においてダイナミックな市場拡大が期待されています。
以上のような木材の需要構造変化に対応して、木材保護塗料の機能も変わっていかなくてはなりません。特に屋外用木材の塗装に要求されるのは、いかに強度面で長持ちさせるか、つまり耐久性こそがキーワードです。これまで木材保護塗料においてはどちらかいうと木目を生かした美粧性など、仕上がり感や見栄えが最優先されてきました。その一方で、耐久性についてはメーカー同士で『2年持ちます』『3年持ちます』といったところで競争をしてきましたが、現実に無傷で5年持たせること自体、非常に高い技術的課題を抱え続けている状況にあって、そういう次元での競争は施主とのギャップを広げかねません。むしろ、10年、20年のスパンでどうするべきかを訴求していくべきだと考えています。
価値、方向性を間違えれば、どんどん市場から乖離した状況になります。つまり塗料だけ作って販売することに限界が来ているということです。木造建造物をいかに長く持たせるか。メンテナンスの需要が高まっていくことで、より施主に具体的提案をすることが必要になっています。当社でもトータルコストパフォーマンスを考えたメンテナンス方法の構築が重要です。
メンテナンスに対して塗料に求められる性能は、塗替えがしやすいということ。加えてコストパフォーマンスに優れていることが重要です。今回の新製品は原料もすべて見直しました。原油価格の高騰により原材料も高騰していますが、だからこそコストパフォーマンスで強みを発揮することはチャンスと捉えています。また、製販装一体となってトータルコストを下げる取り組みも必要です。
そのためにも当社では、足腰の強い組織づくりを目標に原点に立ち返り、塗料設計、生産効率の向上、生産・品質管理、物流と筋肉質の運営を目指していきます。また開発の方向性は水性、油性系ということにこだわらず、むしろ塗装した後の性能をいかに担保していくかに注力し差別化を図っていきたいと考えています。また今後興味深いのは、施主によるメンテナンスです。一般的に外壁の改修は足場を組む必要があるので、こまめなメンテナンスは難しいですが、ウッドデッキやラティスフェンスなどのエクステリア材のメンテナンスは施主でもできることから、このあたりのユーザーに対して、いかにアプローチしていくか。まだまだ不得意な分野ですが、今後は独自の仕組みづくりも含めて目を配っていくなど、より使いやすいものにしていくつもりです。