インタビュー
2009年03月26日
価格競争から付加価値競争に 構造改革は急務
日本ペイント販売
社長 岩田清
氏
世界的な景気後退が国内市場にも及び、自動車・工業用ほどではないが悪化し、消費マインドは冷え込んでいる。汎用市場は過去5年間、一時期の盛り返しはあったものの、長期低迷下にあり、構造改革がなければ陥没は避けられなくなっている。
一言でいえば価格競争から付加価値競争への転換と言える。付加価値ビジネスに向かうためには基盤づくりとともに意識を変えていかなくてはならない。我々メーカー販社は第1次顧客のディーラー各位、第2次顧客の施工業者各位、第3次顧客の工務店やファブリケーター各位、そして最終顧客として施主がある。構造改革の焦点は最終顧客である施主に対し、我々とディーラー、施工業者とが塗料・塗装の付加価値を提案し訴える仕組みを構築できるかにある。
ハードとソフトに分けると、ハード面ではニッペグループとしてこれまでも先行投資をして整備してきたオンデマンドの調色体制、また大阪工場の物流・サービスセンター化など。他社に比べハード面の体制づくりは進化していると自負している。その一方でソフト面においてもカラモニーのような方向の追求やリウォール診断士制度、男を上げるキャンペーン、ハナコレクションなど、いろいろなマーケット企画を推進してきている。
それは、生活者が何を本当に求めているのかということにきちんとシステムとして対応しきれていないところからきていると思う。生活者は生き方の中で塗料・塗装に出会う。つまり自分のライフスタイルを実現することのモチベーションを刺激していく必要がある。塗り替えるアクションの以前にある潜在的な欲求を顕在化させるマーケティングが弱かった。これは我々を含め塗料業界全体が汎用イコール価格競争との図式に甘んじてきたためだ。
例えばパワーファクトリーの展開がその具体化の1つ。従来のような製品に伴ったコンセプトではなく、顧客の期待に応えるコンセプトを提案し、そのイメージを見える化していく手法。工場の存在を変えるくらいに付加価値を高めることを訴えていく。これが付加価値競争につながる方向だ。
まずニッペグループの力を結集することにつながる。また事業セクショナリズムの壁を取り払う横断的な展開にしていかないと、このコンセプト戦略の実は上がらない。『モノ(製品)を売るのではなく、付加価値を売ること』、これは未知数だが巨大な可能性を秘めている。ぜひ我々自身の仕事のやり方そのものを変え、生き残るためにも成功させたい。
工場・施設関連分野は不況で逆風が強まっているが、こうした時期だからこそ真価が問われる。このコンセプトにはパフォーマンス追求という要素が組み込まれており、コストをそれほどかけずに工場の付加価値を向上させることができる。工場の従業員に対して働く場の環境改善を通じてやる気を刺激する。工場そのもののブランド価値を向上し地域への信頼感や企業アイデンティティを高めることで社会に貢献。パワーファクトリーへの関心は、企業規模ではなくその企業のCSRへの取り組みによって異なることが分かってきた。ターゲットを絞り込み実績づくりをしていきたい。
後継者問題や事業の方向の不透明感など、塗料販売店は岐路に立っていると認識している。我々と一緒になって付加価値を創造するビジネスに転換していくための仕組みを考えている。これまでの支援や協力関係とは次元の全く違う形になると思う。
具体的にはこの4月以降打ち出していきたいが、まず付加価値営業の必要性を認め、その力を備え、販売の構造変革活動を展開できるよう支援していく。それと新しい価値を創造するには構想力が必要。モノから発したアプローチではなく、顧客ごとのこうありたいとの期待に応える提案をし、具体的に落とし込む営業スキルを次世代の人たちと展開したい。当社も世代交代が進み、若手の社員が多くなっているので、従来のマーケット活動には飽き足らなくなっている。日本ペイント社長の松浦が申し上げている「好況よし、不況更によし」(パナソニック創業者・松下翁の言葉)こそ、企業家精神を奮い立たせるものだと思う。
インタビューを終えて
大手メーカーにとって自動車・工業用需要に比べ落ち込みの少ない汎用需要の存在感は強まっている。工業用をカバーする役割ばかりでなく、国内事業の安定基盤としてキーポイントになる。そのためには構造改革が不可欠。従来の路線の延長線上に未来はないからだ。いわば過去と決別した新しいビジネスモデルを構築することに迫られている。その方向を価格競争から付加価値競争への転換と表現する。汎用市場の低収益かつ成熟性を突破するには、価値創造ビジネスに向かうマンパワーの結集が鍵と考えているようだ。
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