インタビュー
2009年04月23日
マーケット戦略、大胆な発想転換 コスト構造にメス、改善へ
関西ペイント
代表取締役社長 小林正受
氏
直下型の地震に見舞われた感じ。1-3月は自動車用で(前年比)50%減、工業用は40%減とかつて経験したことのない落ち込みになっています。その一方でユーザー側の在庫調整が急ですから、4-6月あたりに底打ち感が出て、7-9月からゆるやかに回復基調に入るのではないかと見ています。
業務品質の改善をするにはむしろチャンスだと捉えています。仕事に余裕ができた分、あらゆる業務の見直しをしていく。グローバルに事業領域が拡大していますから、標準化に向けたグローバル品質作りを根底から構築していくのが目標で、1年以内にフォーマットを立ち上げ実践していきます。
私が入社した当時、化粧品業界の売上規模は塗料業界とほぼ同じ、それが現状では塗料業界の約2倍の規模に拡大しています。この素朴な疑問が出発点で、両者に格差がついた要因を明らかにできれば当社ばかりでなく塗料業界にとっても大きな示唆になるのではと考えたのです。
それは天と地ほどの差です。まず原価率の差は3倍近い。化粧品は25%程度ですから比較にならない。よく化粧品は少量だから付加価値が高い、つまり原材料費比率が低いと業界側は見ていますが、それはエクスキューズ(弁解)しているだけ。なぜというメスをそれに入れないで弁解しているようなもの。原材料費比率が高いのを宿命にしてはいけません。
原材料問題は原材料コストが高騰するたびにテーマとなってきましたが、それが落ち着くと中途半端な形で収束するといった繰り返し。またこの問題はメーカーとして開発から生産までに関わる横断的テーマであるにも関わらず、対応に一貫性がありませんでした。海外に安価な原料があっても、品質や安定性が確保できないという理由で使えない。技術の立場から原料を変更することに抵抗がある。設計を変えなくてはならず、リスクが大きいというわけです。生産においても原料が変化することは、生産プロセスを調整したり変える工夫が求められたりしますから抵抗がありました。
メーカーとしての根幹に関わる価値連鎖があいまいであることは、本当の意味でグローバル企業になるための最大のネックになります。ここにメスを入れるにはチャンス。直ちに社長直轄下に収益改善委員会を設け、購買から開発、生産までの部門を編成し、原材料の全面的見直しに着手しました。このような時期ですから、先入観なく抜本的な検討を加えています。と同時に原材料の見直しのリスクはすべてトップが負うことを明言していますので、横断的な形でチェックでき、効果を上げたいと期待しています。
設計技術のレベルばかりでなく、それと連動する評価技術、生産技術などトータルな技術力の力量が背景にないと不可能だと思います。
化粧品業界はGDPの成長率を上回る売上動向を示してきたのに対し、塗料業界の売上は80年代中頃以降GDPを大きく下回る傾向を強めてきました。この要因を集約的に示しているのがマーケティングの差であることは明らかです。化粧品業界も成熟化した市場であることは同じ。にもかかわらず量的成長力を常に内在化させたマーケティングがありました。GDPの60%ほどは消費で占められていますから、鉱工業動向ばかりに相関させてきた塗料業界とはスタンスが違う。ということは消費動向と塗料産業はほとんど無縁であったということです。つまり生活者なり消費マーケットへのアプローチを全くしてこなかった。このことがマーケティング力を弱めてきた。コストのかけ方ももちろん違いますが、マーケティングの方向性自体に問題があったと考えています。
環境・安全・健康というキーワードにしても生活者がベースですから、生活者に塗料・塗装の価値を認知させることがマーケティングの根本であることは疑えないでしょう。景観やヒートアイランド対策といった社会動向にきちんとした対応をしていく上でも生活者の呼びかけに応える業態作り、そして提案力が求められます。化粧品業界のマーケティングスキルには、見た目のスマートさばかりでなく、セグメント化したコンセプト作り、刺激と感動を呼ぶ感性訴求など、学ぶべき点がたくさんあります。
生活者を指向していくマーケティングの流れを作り出し、その中でひとつのモデルを創り、それを横展開する。当然モデルは製販装間の価値連鎖をしていくものでなければならないと思います。まずはマーケティングのコンセプトを変えていかなくてはなりません。
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