インタビュー
2009年10月28日
塗装アルミ建材の粉体化 認証制度定着へプロジェクト始動 QUALICOAT JAPAN(粉体塗料・塗装特集2009から)
軽金属製品協会
専務理事 菊池哲
氏
大きく分けて2つ。塗料メーカーやコーター(塗装事業者)における認証取得のための手法の確立と、ゼネコン、設計、ディベロッパーなどユーザーのスペック化のための環境整備だ。脱VOCなど建築からの環境負荷低減、グローバルなビル外装(アルミ建材)の粉体塗装化への適合など、全体の流れとしては逆戻りすることなく進められていく。
レディメイド品を一貫ラインで生産するヨーロッパと、物件対応で不定期・異品種の日本の生産現場とでは生産方法、各種品質試験やデータ管理手法に隔たりがあり、ヨーロッパで発達したQUALICOAT規格にいかに準拠させていくかが課題。この点について先日、QUALICOAT本部テクニカルディレクターのボーイ氏が来日し、実際の塗装工場で模擬審査を行った。現状、日本の塗装工場で行われている各種試験方法の大半は認めてもよいとのコメントであったが、ただし国内の試験機関にヨーロッパで使われている各種試験機を導入し、そこのデータと現場との相関性を持たせて根拠を示す必要があるとの指摘があった。日本のコーターが既に確立している品質管理手法や蓄積データをすべて否定していては何も始まらない。彼らが築き上げてきた手法を尊重しつつQUALICOATの品質システムを導入できるようにすることが重要。当協会の取手試験所で試験設備を導入していくとともに、審査実施のため具体的な詰めの作業を行っており、既に塗料メーカーやコーターへのガイドラインを作成して説明会を実施している。
塗料メーカーにしてもコーターにしてもお客さんは設計やゼネコン、ディベロッパーなどのユーザーであり、それらユーザーに納得してもらえるような仕組みでないと意味がない。我々はお客さんに対して責任を持つとの観点から実施の基盤整備を進めている。
品質評価の中でも特に重視される耐候性、耐食性について促進・曝露とも試験方法が異なり、この点についてイタリア(クォリタール試験所)と日本で比較評価のための共同試験を実施することでボーイ氏と合意、産総研の矢島先生が委員長、ものつくり大学の近藤照夫先生がWG主査で今春プロジェクトチームを立ち上げた。スガウェザリング財団からの助成も決まり、今後3年ほどをかけて促進試験、腐食試験の比較研究やフロリダと宮古島の曝露データの比較評価を行い、試験方法を検証していく。既にサンプルをイタリアに送り、具体的な作業に乗り出している。
確かに国内でカーテンウォールやサッシなどのアルミ建材に粉体塗装を採用した事例はまだ少なく、実績不足という点は否めない。それを補うため、既に豊富な使用実績のある海外物件の実態調査を行うプロジェクトも立ち上げた。今年後半から2年程をかけて現地調査を行い、建物、部位など建築で使用する際の適用指針をまとめ上げていく予定だ。このプロジェクトでは、建築仕上学会で活躍されている、ものづくり大学の近藤先生や鹿島建設の野平技師長にリーダー役をお願いしており、ユーザーが設計図書にどう反映させていけばよいのかの指針作りにつなげていけるものと思う。
最終的には官公庁の仕様書などにどう反映させるかという話になると思うが、きちんとしたバックデータと根拠を示さないと公の基準には反映できない。そういった意味でもこの2つのプロジェクトは重要な意味を帯びており、粉体塗装製品を定着させていく上での重要な作業になる。
その点についても新たな動きがある。現在、アルミ表面処理の世界標準を目的としたISOの活動が行われており、3年前から日本が幹事国となり私が議長役を任されている。これまではアルマイト(陽極酸化被膜)が対象であったが、9月8-9日に行われたISOTC79/SC2の北京会議で、日中で提案した複合皮膜(アルマイト+電着)の国際規格化へ向けた審議を進めて行くことで合意したことに加え、イタリア代表として出席した前述のボーイ氏から塗装(有機塗膜)の国際規格化も行おうとの提案があり、我々の委員会の活動範囲に含めることが正式に決定した。これに伴い、委員会のタイトルも『有機塗膜と陽極酸化皮膜』へと変わり、アルマイト、複合皮膜、有機塗膜の3つについて標準化作業が行われることになった。来年のイタリア会議までにボーイ氏が素案を示すことになっているが、QUALICOAT規格をベースにした規格案が出てくることが想定される。ISOでどのような規格になるかここ数年の焦点になってくるだろう。
いずれにせよ、ひとつの新しい制度を定着させていくためには、需要家に信頼して使ってもらえるための仕組みを整えていく作業と、塗料メーカーやコーターなどの現場へ向けた実務的な作業の双方を同時に進めていかなければならない。今日、明日で結果が見えるものではなく、数年かけて全体を推し進めていく必要がある。
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