インタビュー
2009年12月25日
顧客のレベルアップに寄与したい
富田商店(埼玉)
代表取締役社長 富田浩正
これは単なる美辞麗句や外交辞令ではなく、当社の実質的な経営戦略として捉えている。地域から愛される会社、地域に貢献できる企業体であることを基本としている。石油、塗料両事業部ともに、環境問題、省エネ対策などエコロジカルな提案ができる企業体として社会から認められる存在となることが重要と認識している。
売上、利益ともに昨期よりダウンしているのが正直なところ。今年だけを見ると、4~6月まで荷動きが悪く、7月から盛り返している状況。当社は塗料販売事業とガソリンスタンド経営を含めた石油販売事業を行っているが、どちらかいうと石油販売事業の方が状況は厳しい。ETC割引など若干のプラス要因はあるものの、当社は工場関係に重油、軽油の販売も行っているので、得意先である鋳物関係が自動車の生産台数減少のあおりを受けており、客先の中には7割減を強いられる工場もあり、当社としても大幅ダウンを余儀なくされている。秋口から回復してきているとはいえ、依然厳しい状況に置かれている。一方、塗料事業においては石油販売ほどの落ち込みはないものの、当社が主力とする建築外装分野では物件数が減少している。それに伴い、一段と価格競争が激化し、結果的に利益率も悪化している。特に公共工事関係では入札金額がよりシビアになっている。
石油、塗料とも当社のメインユーザーが回復していることが救い。ただ景気が回復したとしても、かつてのような水準に戻るとは考えにくい。国際競争が一段と加速していくだろうし、今回の政権交代により景気刺激策にタイムラグが生まれることを懸念している。既存のユーザーも移転、倒産、廃業と減少していく流れの中で、このタイムラグが年明け以降に大きな影響を及ぼすのではないかと危惧している。
当社の柱であるメイン商材の扱いが減っている一方で、付加価値製品の販売は伸びている。もはや水性ウレタンや微弾性フィラーなどで事業拡大を狙う時代ではない。メイン商材での競争力を確保しつつ、顧客に対し魅力ある製品や情報を提供することが重要だ。こういうときこそ、価格以外で差別化を図ることが重要。技術的なアプローチだけではなく、新しい切り口が必要。またディーラーの機能であるデリバリー能力、調色対応力などで現状以上の差別化も難しくなっており、当社としては、いかにしてユーザーのレベルアップに寄与していくか。情報提供力に力を入れていく。
まだスタートしていないが、当社のユーザーを対象にした施工店勉強会を設立したいと考えている。カラープランニングスキルや環境対応などユーザーのレベルアップに寄与できるような研修プログラムを考えている。ただ参加について無理強いはしない。あくまでも関心や意欲のあるユーザーに集まってもらいたい。また必要ならば、有償化も考えている。その方が当社としても責任感が生まれ、受講するユーザーにとっても適度な緊張感を持ってもらえると思う。とにかく実現するためにもまず当社スタッフのスキルアップが不可欠なので、早速メーカー主催の研修会に参加したり外部講師を招いたりと準備を進めている段階。
これらの情報提供が目先の利益向上につながるとは考えていない。勉強会や講習会など当社が発信する情報が顧客のレベルアップに寄与していくことが先決。顧客がその先の得意先や施主に評価されることで当社の存在が生きる。顧客との関係を更に強固なものにしていくことが当社にとっては重要なことと位置づけている。販売店としては、与信以上に顧客である施工店との人間関係や情報を把握している強みをもっと生かすべきだと考えている。今年、社内のスタッフをメーカーで数カ月間研修させ、下地診断スキルを身に付けてもらった。当社が施工を受けるのではなく、あくまでもユーザーに利用してもらうことが目的。これから重要性が増す環境情報やサービス機能も含めて、ユーザーのコンサルタントやアウトソーシング(外注)先としての存在感を高めていくことで、ユーザーの利便性に寄与していきたい。
これもまだまだ計画中ではあるが、戸建て塗り替え向けに当社オリジナルの色見本帳を作成したいと考えている。既に存在する色見本帳はあるが実際の現場で使えるものは少ない。カラーシミュレーションソフトもあるが、できるだけ施主がイメージしやすいツールが必要だと考えている。そこで世界の名景からインスパイアされた配色パターンと、それをコンセプトとしたパターンネームのオリジナル色見本帳を作成することで、色決めの段取りに風穴を開けたい。
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