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インタビュー

2010年03月01日

デコラティブペイントの伝道師を育てたい 

エーアンドエム
代表取締役 はやし まりこ さん

デコラティブペイント、造形、アートワークなどを本業とするエーアンドエム(千葉県市川市)の はやしまりこ代表(写真)。「デコラティブペイントをもっと身近なものにしたい」との思いで始めたペイントスクールも10年目を迎えた。昨年から始めた「プロコース」には塗装職人の参加も目立つ。普及にかける思いを聞いた。
デコラティブペイントのスクールを開催されています。

スタートは2001年頃。希望者が集まれば開くというスタイルながら、一般の方を含めこれまでの受講者は300名を超えました。

始められた動機は?

デコラティブペイントが決して特殊なものではなく、もっと身近なものにしたいとの思いからです。海外ではお部屋や家具、小物などにデコレーションして普通に楽しんでいる。そうすることで家やモノへの愛着も湧きますし、何よりも普段の暮らしが楽しくなる。私がロンドンのあるスクールを訪ねたとき、カリキュラムだけに専念するのではなく、ランチやワインも楽しみながらデコラティブペイントを学ぶスタイルに遭遇。教える方も教えられる方もとても豊かな時間が流れており、暮らしの中に溶け込んだ文化として根付いていることにとても感銘を受けました。そうしたペイントの楽しみ方を日本でも広めていきたいと思ったのがきっかけです。

残念ながら、日本ではまだまだ一般的ではありません。

文化の違いと言ってしまえばそれまでなのでしょうが、デコラティブペイントの素晴らしさや楽しさを伝える人の数が少ないというのも一因ではないでしょうか。それを生業としたペインターは少なからずおられますが、どこか肩肘を張っていて生活者目線に降りてこない。それではいつまで経っても広がりません。少ない需要にしがみついて縄張り争いに明け暮れるのではなく、楽しさや価値を伝えていくことが需要創造のためには必要ではないでしょうか。小さな力かもしれませんがスペシャルなペイントをスタンダードにするとの思いで取り組んでいます。

とは言え、"技法"をスタンダード化するのは難しいのでは。

そのために企画・開発したのが特殊塗装キット『マジシャンカラー』です。これまで私たちがさまざまな仕事で培ってきたノウハウや塗料レシピを余すことなく注ぎ込み、塗料メーカーさんの協力を得てキット化したもの。使用する道具の案内や具体的な技法のマニュアルも入っており、錆、緑青、クラックなどのエージング、各種メタリック、フェイク(擬似)塗装では空、木目、大理石など、バリエーションを含めれば数限りない表情が表現できます。スクールでもこのキットを使っていますが、全く初めての方でも自分で驚くくらい上手く仕上がります。商品としても販売しており、東急ハンズさん、塗料業界向けではシモダさんにも扱ってもらっています。

スクールでは昨年から「プロコース」も始められたようですね。

これまで受講者の中には塗装職人さんを始め各種ものづくりに携わっている方も少なからずおられ、そうした中から『仕事に生かすため、もっと本格的に習いたい』、あるいは一般の方でも『地元で同じようなスクールを開きたい』といった声が増え始めました。同時に、広く普及させていくには私どもだけでは限界があります。こうした方々に同士になってもらい、啓発や需要の創出あるいは地方で発生した仕事の受け皿として活動してもらう『マイスター』の育成を目的にスタートさせました。

プロコースの内容は。

エージング、フェイクなど一通りのものを2日間みっちり指導します。その後にテストを行い、修了者に『ペイントマジシャン・マイスター』のライセンスを発行。原付、普通、大型など区分が設けられている自動車の免許証と同じように、各種の技法ごとに加え、ティーチャー、ディレクター、プランナーなどの区分を設け、継続して習得していける仕組みにしています。昨年の9月から計3回開催し、20名の方にライセンスを発行しています。このうち半数は塗装職人の方です。

スキルを磨いていくコツはありますか。

とにかく本物をよく見ることです。錆にしても木にしても、空や大理石にしても『描くこと』を意識して見ると、これまで見えなかったものが見えてきます。それを実際に表現してみる。もの足りないように感じるから、また本物をよく見る、そして描いてみる。この繰り返し以外に上達する道はありません。プロコースの受講者、これは一般の女性の方なのですが、受講後に『街を歩くのがとても楽しくなった』と感想を寄せてくれた人がいました。『空や雲、樹木や石などの表情が、目の前の霧が晴れるように細かいところまで見えるようになった。日々、感性が磨かれていくようで幸せな気分になる』と。こんなに嬉しい感想はありません。ペイントは、人の感性を磨き日々の暮らし方さえも豊かにしてくれるのです。

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プロコースの風景、職人の参加が目立つ


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