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インタビュー

2010年03月08日

大きい会社より強い会社に 

スピーディ
代表取締役 浦澤澄 氏

若いパワーを秘めているが、視角はローアングル。身の丈にあった目線で自社の方向性を見据えようとしている。自ら作成した経営計画についても、基本を大事にした内容が柱となっており、骨太な地力強化が追求されている。社内の空気を変えたのは「ありがとう」という一言の掛け合い。風通しは確実に良くなってきている。
トップに就任して最大のテーマは何ですか。

我々の業界である自動車鈑金・塗装は補修需要の縮小といった厳しい状況にある。しかし視点を広くとればまだまだ恵まれている環境にある。ドラスティックな変化はあまりなく、やり方によっては収益性は決して悪くない。こうしたマクロ的状況に対してどうのこうのと言っても始まらない。まずは自社の足元の問題を洗い出すことがスタートラインでした。

どのような問題が明らかになりましたか。

問題を顕在化するため、役員をはじめ社内から意見を吸い上げるよう努力しました。問題点を整理すると3点に絞ることができます。人材育成、次いで会社方針、経営理念。これらは当たり前のテーマで基本のキでもあります。かえって深刻に受け止めましたね。事実私も働いていて感じてきたことですから。

人材に対しての対策は。

当社にはプレミアインストラクターの有資格者など有能な人材(ここでの材は財という意味ですが)がいること、同時に全国に拠点が分散しているため、共通のテーマで人材の育成をしていくことが難しいという事情があります。また全社員が集まる会議は年数回で、人材育成の前に社内コミュニケーションの不足が改めて明らかになりました。このため全体会議は原則毎月開くことに決め、活発な議論によって活性化させたい。もうひとつ具体的には商品部の人員を増やし、顧客に対するサービスを強化。これが営業支援につながることを期待しています。

日常的な対策はありますか。

毎日午前8時から20‐30分を勉強会にあてています。今のところ本社のみですが、2年間継続しており、各拠点にも普及させたい。テーマは日々の仕事に関わることですが、勉強会ですから参加する社員も自ずと学ぶ意識になり、小さな努力を続けることでパワーになることを実感しています。ただ勉強会をするのではなく、小冊子を作成し記録するようにしています。それとありがとうの一言を掛け合うようにしており、雰囲気が良くなったと感じています。

方針は固まりましたか。

不思議なことですが、これまで経営計画というものがなかった。このため全社的コンセンサスに基づいた方向性が曖昧で、はっきりいって各拠点の動きがバラバラ。私は名古屋の拠点で働いていたことがありますが、本社の動きはほとんど見てこなかった。そこで経営計画を作成しました。基本を大事にした事業を構築していく方向性であれこれ枝葉をつけるのではなく、根本的な項目でまとめ、十数ページのコンパクトなものにしました。まずは全社の方向性でコンセンサスを得ることが大切だと考えました。

経営理念とはどのようなことですか。

私で3代目。祖父が創業し54年目を迎えています。祖父や父の話を聞いた中で会社の原点というものの重要性を認識しました。創業する情熱がそこにあふれているからです。当社の創業精神には講習会、企業会、ユーザー会の3本柱があり、ビジネスの推進力になってきました。当時としては先進的で挑戦的な課題に取り組んだと思います。この精神は今日でも通用するものですから、磨きをかけていきたい。

会社のポジショニングをどうとっていきますか。

スピーディは開発型企業と考えていますが、基本はユーザーに役立つ商品を開発し、供給していくポジションです。これまではどちらかというと先進的でハイレベルな技術、機器・設備を追求してきた傾向があります。市場の現実はハイレベルのニーズばかりではありません。また設備投資に限界のあるユーザーの方が多いのですから、オリジナル性を追求し、もっと低価格帯の品揃えをしていきます。例えば若くして独立したBPに対し、その熱意を受け無理をせずに導入できる機器を供給していきたい。と同時に仕入を強化します。売上高よりも粗利益率を重視。高価な機器を売ったとしても粗利が低いのでは意味がない。更に扱い商品の見直しも必要です。粗利確保の立場から集約していきます。

顧客サービスについては。

スピーディに聞けば問題が解決すると思われるようになりたいですね。顧客の悩みに真摯に向き合っていく企業風土。こんなことを経験しました。資金的に余裕のない顧客に財務面でサポート。リース契約の手続きの代行やそのために銀行に提出する経営計画書作成のお手伝いです。必要な機器を導入できた顧客に喜ばれました。こうした方策をもっと全社で展開していきたいと考えています。

若いトップとして社内改革を断行されましたが。

内心私自身も心配しました。ベテラン社員もいるわけですから。でも本音で思いを伝えることでむしろ私が驚くくらい協力が得られました。定年まで働いていただいて、スピーディにいてよかったと言われることが経営者としての目標です。そして大きい会社ではなく強い会社。スピーディが一番といった誇りを全員が持てる会社にしたい。市場は更に大きく変化していくでしょうが、変化を恐れないフレキシブルな事業体にしていきます。それにはまず基本を固めることです。

ありがとうございました。

<プロフィール>

R-M(BASFコーティングスジャパン)で3年間キャリアを積む。特に調色には習熟。そしてスピーディに入社して3年、今年33歳のフレッシュな社長。多忙な毎日だが、5歳と2歳になる長女・長男となるべく一緒の時間を過ごしたいと、家族サービスが一番の楽しみ。

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