Last Updated: 2012年5月18日 06:11  RSS 2.0
キーワードを入力してサイト内のニュースを検索できます。

インタビュー

2010年03月16日

エア静電、3月下旬NETIS登録へ

大阪府塗装工業協同組合
理事長 田伏健一 氏

大阪府塗装工業協同組合が主導して立ち上げた現場・エア式静電塗装法がNETIS登録によって一気に認知が進みそうだ。塗装側が提案できる技術として普及の動きにある。技能ではなく現場的発想からの塗装技術の確立に向けた突破口としていきたい意向。社会的ストックを維持・保全するには技術としての塗装が求められている。
重防食分野におけるエア静電塗装法の開発のきっかけは。

電気式の静電塗装が開発され、中部地区を中心に先行して実績があります。現場を見て、電線ケーブルを引きずり高価な電源装置が必要で、まず安全性やコストの面で素朴に疑問を感じたことがスタートラインです。その一方で鋼橋のメンテナンス需要の増大は迫っており、メンテナンス施工の効率化、スピードアップ、そしてコスト削減は避けられないテーマ。何か新しい方法はないものかと模索する中でエア式に出会ったのです。

エア静電は工業用のライン塗装とのイメージが強いですね。

私もそうした固定観念がありましたが、考えてみると工業用の塗装方法だから高い効率性がある。これを応用できたら素晴らしい方法になるとの思いもありました。

開発のプロセスはいかがでしたか。

背景には工期短縮という命題がありましたから、生産性の高い塗装法を開発しなければとの使命感があり、協力パートナーともそのコンセンサスがありましたので、やりきろうとの熱意をもって臨みました。また少子高齢化の波が塗装工に及んできており、これまでの労務提供型の塗装の在り方を変えることにもなるとの期待もありました。開発プロセスではいろいろなことがありました。2年前のテスト施工のときですが、ちょうど下が駐車場であったため中止になったり。

地域の塗装団体がやるにはテーマが普遍的ですが。

本来ならば全国団体がやるべきテーマなのでしょうね。当初は私もそう思いました。どこかが先鞭をつけねばならないテーマですから、まず行動することが重要だったのです。その一方で近畿地区の塗装団体に呼びかけ、オープンな形で進めてきました。

認定施工資格についても手を打ってきましたね。

これからの塗装を考えたとき、技術を売るという立場が非常に重要です。経験知を積み上げた技能ではなく、現場塗装をテクノロジーとして伝承し、同時に技術を高めていく。認定研修では近畿の塗装団体のコンセンサス、足並みが揃っています。塗装技術の認知を進めるには今回のエア式は突破口になると思います。

国交省のNETIS登録が近づいていますね。

3月下旬には登録される予定です。NETIS登録には安全性、新規性、環境性、生産性、経済性などの項目をクリアしなければなりません。生産性では1,000平米以上の一定面積性で比較され、経済性でのコスト評価につながります。エア静電に対しては新しい技術として高い評価が得られています。まずはNETIS登録からが本格展開の段階といえるでしょうね。

NETIS登録が公的な認知となり、普及・拡大にはずみがつくと。

橋梁のメンテナンスをいかに効率的に進められるか、国や自治体は対策に迫られるところですから、エア式には大いなる追い風が吹いてきています。我々としてはここで足場を更に固める必要があります。今後の大きな課題として、水性塗料など適用塗料の拡大の他、スプレーガンの改良、技術的人材の育成があり、人材育成に関しては手を抜くことなく万全の体制をとりたい。講習内容をレベルアップし、定期的な資格更新講習も実施していきます。また塗料メーカーとの技術的協議の場を設けたいと考えています。

エア式の実績も加速し、評価が出始めていますが。

昨年だけで阪神高速中心に9件の発注物件でエア式が採用されました。大型物件もあり、発注側での評価が行われていますが、工期短縮によるコスト比較が明確にされることと思います。感触的には非常に良いと感じていますし、ここでの評価が実績拡大につながるものと思います。

入札制度改革や品確法の成立を受け官公庁工事の在り方が抜本的に変わってきています。エア式はこれからの塗装業の方向性を示唆するものですね。

当然その方向性を強く意識しています。我々はもっと技術を提案していくスタイルを持たないと生き残れないと思います。施工現場から発想すれば新しい技術を創造することは可能です。先ほど言いましたが、エア式を現場施工における塗装技術を自らの手で確立するためのきっかけにしたい。これを全国の塗装業者の方々に訴え、歩調を合わせていく希望をもっています。

エア式の応用分野も広がっていきそうですね。

民間レベルでの関心がNETIS登録で加速されます。旧・本四公団も関心を寄せていますし、プラント関連にも普及が可能だと考えています。ストックへの対応から、生産性の高い現場施工法は急務ですから、エア式であれ電気式であれもっと切磋琢磨していく努力が大事だと思います。社会的な意味で塗装がクローズアップしていくことは確実ですが、新しい塗装技術を提案し続けていくことが我々の社会的地位の向上につながることになります。エア式静電は塗装業界の活性化につながるものと期待したいと思います。

ありがとうございました。

〈プロフィール〉

工業用ラインで使われていたエア式静電塗装を現場施工にアプリケーション。工業用ならではの生産性が応用されている。現場塗装は技術というより技能の世界と見られてきた。技能を技術に転換するためにはデータに裏打ちされた実証が不可欠。田伏氏が賭けるポイントはここにある。

« 前のインタビューインタビューアーカイブ次のインタビュー »

Web特集|ニュース|コラム|インタビュー|データルーム|イベント情報|セミナー情報|リンクネットワーク