インタビュー
2010年05月25日
独自ビジネスモデル創造へ
関西ペイント
代表取締役社長 河盛裕三
氏
GDPの10年後の予測を見ると、国内に比べ中国などアジア・新興国の伸長が著しい。日本の場合、GDPは横ばい、ないしゆるやかに低下の傾向が予測されるので、成長分野であるアジア・新興国市場に経営資源を集中的に投入することは必然的な流れと考えています。
国内市場は工業用塗料需要が更に縮小する可能性がある。当社のシェアの高い自動車用は20年後には新興国での需要が約50%に達する見通し。これに対応した供給体制、つまりサプライチェーンを築いていく必要がある。その一方で国内市場は工業用汎用ともに需要創造型のビジネスモデルを構築しない限り、パイが増えないことは明らか。事業モデルをゼロから変えていかなければなりません。逆に言えば新たなビジネスモデル次第では付加価値向上による成長が期待できる
まず組織を変えていくことがスタートライン。工業用汎用の垣根をなくします。営業的には融合化した組織にしていきます。具体的には自動車OEMの営業の一部を除き、工業用の営業人員を関ペ販売に移し、ワンフロアースタイルで工業用汎用の営業活動を融合します。実際面で即融合は難しいですが、2年間くらいかけて営業的な統合を図ります。風力発電装置を考えると、これまではFRP製の羽根の部分には自補修塗料が使用され工業用営業が担当、基体部分は重防食塗料仕様なので汎用営業がアプローチしていた。これではユーザーにとっても煩雑になり、対応力も高まらない。営業を一元化することによるメリットは大きくなると期待できます。またニーズの変化に対してもスピーディかつフレキシブルな対応が可能になる。
人材の活用がポイントになります。工業用汎用それぞれのクセや独自のノウハウがあるわけですから、一気に融合し相乗効果を出せといっても難しいことも事実です。しかし従来のビジネスモデルに拘泥していては国内事業の活性化はないと思います。むしろゼロから発想した事業再構築に踏み切りたい。顧客満足に焦点をあわせることで工業用汎用をクロスオーバーした創造的な提案営業ができるようになるし、そうしなければ縮小市場に抗していけないと考えています。工業センスを持った汎用のアプローチ、汎用センスのある工業アプローチが市場を創造する力になるのではないでしょうか。
最重要テーマとして海外事業で遅れていた汎用展開に注力していきます。インドでは汎用比率が高く、汎用ビジネスのモデルがありますが、中国でも汎用事業のベースを作り込みたい。巨大市場の中国では上海など沿岸部ではなく、ローカル市場で汎用のモデルづくりをします。まずは重防食を中心として周辺の建築需要を取り込める拠点を立ち上げます。自動車補修用については研修センターを設立し、技術サービスを切り口として拡大の方向を目指したい。拙速ではなく小さなモデルで成功させて、次のステップという手順で手堅く進めていきます
既存のモデルの延長線上に将来性がないことははっきりしています。とはいえ具体的なビジネスモデルとなるとかなり流動的。というのは工業用汎用をクロスオーバーすることで見えてくる市場もあるはずで、ここに果敢に挑戦していくとのスタンス。販売・サービスの在り方も変わってくると思う。重要なポイントは、まず現地・現物をベースにしたマーケティング。次いで顧客目線での製品開発。そして地べたを這うような情熱。モデルは自らの力で創造していく方向なので、常に変化していくものとなるでしょうね。
今回の組織変革の成否の鍵はディーラーとの機能分担にかかっていると考えています。顧客にトータルソリューションを提供するサプライチェーンとしなくてはならないので、ディーラーは重要なネクサス(関係性)となります。ディーラーの段階で価値連鎖をブラッシュアップすることが不可欠。機能分担に関しては時間をかけて詰めていきます。
自動車生産のアジアシフトが加速するのと同時に、ローカルメーカーの台頭にも対応していきます。また燃料電池などパワートレインの変化もあり、ますます軽量化指向が強まります。そこで3つの重点項目を考えています。まず軽量化による樹脂部品の拡大への対応。次にCO2低減へのシステム技術。最後に塗装工程の短縮です。それぞれにオーバーラップする要素はありますが、技術力でグローバルな競争に勝ち残っていきたい。R&Dについての基本は国内で行う一方で、ローカルなR&Dの力を高めていきます。R&Dのベースになる調達に関してもグローバル調達体制で臨みたい。
最大の危機は最大のチャンスに変える好機ということ。ここで一気に過去から積み重なった膿を出し切り、将来に向けたビジネスモデルを構築しなくてはなりません。スピードと柔軟性をもって常に変化し続ける事業体。変化を呼び込めるポテンシャルによって変わり続けていく。このためには抜本的な構造改革が基点といえます。従ってビジネスモデルも固定なものではなく、変化を吸収するフレキシビリティが求められます。
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