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インタビュー

2010年08月23日

"meiji"を世界ブランドに

明治機械製作所
代表取締役社長 廣田貢 氏

創業86年を迎える老舗塗装機メーカーの見据える先は、世界に通用するブランドづくり。同社はこの下期から現地法人を立ち上げ、中国での販売を本格化させる。グローバルな競争関係に置かれる今、「世界で勝てなければ、国内でも勝てなくなる」と廣田社長は危機感をあらわにする。国内においては第3の柱となる需要分野の創出を急ぎ、収益構造の転換を図ろうとしている。
2期連続赤字という厳しい状況下での新社長就任となりました。

昨期はリーマンショック以外にもさまざまな要因が絡み、決算上想定外の赤字となった。ただ今期に関しては、大きな心配はしていない。昨期の売上ベースでの利益確保を計画しており、第1四半期で予算比125%とまずまずの推移を見せている。しかし、昨年より良いからといって喜ぶわけにはいかない。当社もメーカーとして協力工場との連携に頼っているため、仕入原価の高さが収益に大きな影響を及ぼしている。売上を伸ばせていた時代と違い、今の状況で利益を確保していくのは厳しく、このあたりを改善していかない限り、今期は利益を出せても来期は難しいという危機感がある。

収益構造の改善が必要ということですね。具体的な対応策は。

まずはリスク対応も含めて、今年の下期から中国の広州で現地法人を立ち上げ、中国でのスプレーガンの販売を開始する。元々、輸出関係で関係を構築している現地の企業と連携し、現地の協力工場を介して"明治ブランド"での製品化を行う。機種は旧版となる「F100」ハンドスプレーガン。あくまでも当社ブランドで販売するため、品質管理が要となる。規格外品の扱いに対しても厳しい品質管理姿勢を貫きたいと考えている。今回の中国進出は3年にわたる社内での議論を経た上での決断。今しかないと判断した。

中国展開をリスク対応とする意味とは。

現在、中国のハンドガンメーカーが日本市場に参入するとの情報が入っている。そのメーカーは、月25万丁を中国、欧米に販売しており、日本国内の月7,000丁の市場とは比べものにならないくらいの規模を誇っている。恐らく日本に進出してもすぐに売れるとは思わないが、競争環境の変化から将来的に日系メーカーが応戦しないとも限らない。そうなると国内生産のみの体制では、これらの競争に打ち勝っていくのは困難になる。これだけ国境を越えた競争が繰り広げられている中で、もはや日本市場に特化するだけでは生き残れない。やるからには中国№1を目指し、世界で通用するブランドの構築を目指す。また、そのことが国内市場を守ることだと認識している。

ブランド構築にこだわる理由は。

当社は創業86年という歴史を持ちながら、40歳台以下を中心に、当社がスプレーガン、コンプレッサーの専業メーカーであることを知らない顧客が増えている。これは代理店システムによって製品が独り歩きしても、メーカー自ら顧客まできめ細かなPR活動ができていないための弊害と感じている。ただ、競争相手となる大手メーカーは、マスメディアを使いブランドイメージをPRしネームバリューで優位性を発揮している現実がある。そういう意味でも改めて専業メーカーとして海外展開を強化することで、ブランドの訴求力を高めたいと考えている。

国内市場における成長戦略は。

本質的に塗装機市場は、必ず売れるものでありながら、数が限られており、参入企業が少ない。結論から言えば企業の成長が期待できない市場と言える。しかし、省エネ化、高塗着化、微粒化と開発するべき課題は多く、またそれらの技術を新たな需要分野に横展開させるチャンスもある。最近では、100%の塗着を可能にするインクジェット分野への展開に関心を強めている。紙、シート、フィルム、布などさまざまな素材に多様なデザイン性を付与できる中で、スプレー塗布による技術ニーズが存在する。コンプレッサー、スプレーガンに続く、第3の柱となり得るか、現在製紙会社との連携を図りながら、チャンスを探っている。

またスプレーガンはシェアが硬直化しており、何とか打開を図っている。そこで当社では、5年来開発を進めている"数値化技術"を打開策として位置づけている。塗料も同様だが、スプレーガンの性能は、塗料の性能、パターンの形状、分散性能、微粒化性能、吐出量などさまざまな条件設定によって異なるため、職人の感性によって評価されている現状がある。当社はそれらの膨大な条件設定からなる塗装適正をすべて数値化することで、ユーザーの求めるニーズに対し、明確な形で製品提供していきたいと取り組んでいる。ビール会社が極めて曖昧な味覚をのどごしやコクといったポイントで競争しているのと同じ。現在、数値化技術の完成度は80%まで達しており、この完成度を高めることで、これまでにないアピール力を持った販売展開が発揮できると期待している。

ありがとうございました。

◇廣田氏プロフィール

1946年生まれ、現在64歳。69年大阪電気通信大学卒業後、同社に入社。95年広島営業所長、99年名古屋支店長、01年営業部長、02年取締役営業部長、05年常務取締役営業部長を歴任した後、10年4月1日付で代表取締役社長に就任。


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