2016/10/27 09:28

"住宅塗装の標準化"目指す(建築塗料・塗装特集2016秋より)

日本塗装名人社 代表 西谷誠

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直需指向の塗装会社が法人「日本塗装名人社」(代表・西谷誠氏)を設立し本格的な活動に踏み出している。その狙いはズバリ、組織力(会員300社)を背景とした交渉力で「住宅塗装のスタンダード」を確立するところにある。かつてない挑戦は製販装を巻き込み塗装工事の在り方そのものを変革する可能性も秘める。代表の西谷氏に話を聞いた。



名人社が本格的に動き始めました。


「設立して2年あまりは足場固めだったと思います。会社組織にしているので、事業計画など参加企業の意思を統一する必要がありました。思いは同じなのですが、方法論となると各自各様となることは否めません。意見が活発になることはもちろん歓迎ですが、乱れていては話になりません。その点私が一番年長ですから調整役を買って出ています」

改めて名人社の狙いを聞かせてください。


「根本的かつ基本的なところを説明しましょう。これまでも同業の会はいろいろありましたが、あまり成功した事例がない。我々は零細企業ですから、改修マーケットで大手と競争していくには連携が必要なことは分かりきったことです。しかし安易に野合しても連携する力にはつながりません。ひとつの法人にした独立組織を立ち上げ、全国に会員のネットワークを構築する。当面、現在の90社余りを300社にまで会員の増強に努めます。その組織力をベースに我々塗装業の立ち位置を底上げしていきたいというのが最大の狙いどころです」

設立メンバーは地域トップクラスの元請型施工店が参加しています。


「当社(西谷工業)も鹿児島では塗装でトップクラスと自負していますが、私の個人的経験をいうと、地域トップだけでは対外的交渉はほとんどゼロなわけです。私自身嫌というほどそれを味わってきました」

どういうことでしょうか。


「例えば材料の供給メーカーに対して、こういった材料が開発できないかと相談します。現場ニーズに合った材料開発につながると思うのですが、話は聞いても具体的に対応してくれることはありません。それはこちら側の提案以前の問題で、いち施工業者の言うことなど聞いていられないというのがメーカーの立場のように感じます」

交渉力をつけるための名人社ということですか。


「塗装という仕事は改修に包含され防水など関連分野と一体となっています。現場の改修市場はコスト競争一辺倒で、専門工事業の我々は大企業に対して弱い立場を強いられています。直需で仕事をしているといっても、競合は資本力のある企業となっています。そんな我々が大企業と伍し、かつ専門工事業ならではの強みを発揮していくためには1社の交渉力では限界があります。ただし交渉する力はあくまでも手段であって目的ではありません」

その目指すものとは何ですか。


「目標は明解です。混乱している住宅塗装のスタンダードを我々の手で創ることです。直接工事に携わる我々が標準を設定しなければ、施主の立場に立った工事のスタンダードは永遠にできないと思います。たぶん、今がラストチャンスだと思います。これを逃したら混乱が続くばかりで、我々の存在感はゼロに近づくでしょう」

施主(生活者)の立場に立ったスタンダードはできますか。


「住宅塗装の標準化は社会的要請であると考えています。市場の混乱の要因は工事の品質の目安、つまり物差しが施主に与えられていないことにあり、そのため単価競争が先行して工事の質が置き去りにされている実態があります。だからこそ工事を担っている我々自身が施工品質の本筋を示していく必要があるのです。塗装の持つ力を発揮していくためのスタンダードが不可欠になります」

難しいテーマですね。


「当然そうですね。猫に鈴をつけるようなものかもしれません(笑)。しかし誰かが行動しなければ施主にとってもメリットのない工事がまかり通り続けるだけで、大げさに聞こえるかもしれませんが社会的損失にもつながります。名人社ではスタンダード化に向け塗料メーカー、塗料ディーラーの力を合体していきたいと思います。名ばかりの製販装ではなく、本筋の住宅塗装のスタンダードづくりに力を結集しなくてはなりません。数社の大手メーカーからは名人社の方向性に理解をいただいており、今後具体的連携を実現していく予定です」

施工会社を取り巻く環境は人手不足など一層厳しさを増しています。


「メンバーは塗装業を核として地域で伸ばしてきた企業ですから、本筋の塗装の可能性をもっと追求したいとの共通の思いがあります。他の専門工事業種と異なり、塗装は生活に一番近いところにありますからね。その意味で塗装という仕事を深く広げていく使命があります。B to B、B to Cの両面で次世代に向けた在り方を名人社で具体化できたら素晴らしい。名人社はとても未来指向ですよ」

300社の会員体制づくりはできますか。


「2~3年で会員を増強したい。今でも参加申し込みがありますが、会員同士バッティングしないよう調整しています。しかしエリアが重複しても大きな目標に向け、参加条件は柔軟にしていきたい。会員増と併せ、法人としての間接部門の充実など会社組織の基礎を固めていきたいと思います」

ありがとうございました。