2016/11/18 15:50

次世代BPに向け支援 (自動車補修用塗料特集2016(秋)より)

日本ペイント 常務取締役 喜田益夫

20161102-5-1.JPG
グローバル展開と水性戦略が連動している。アジア地域でのシェア拡大は水性システムが鍵と判断する。メインターゲットである中国では水性シフトが加速。立邦のブランド力と販売網を活用し日本ペイントと協働の下攻める姿勢を強める。一方国内に関しては次世代BPの方向性にまで踏み込んだ戦略を構築していく。



水性導入に向けた動きが加速しています。サポート体制は。


「ちょうど1年前に新しい水性システムを発表しましたが、この1~2年サポート体制づくりに着手し、インストラクターの派遣やトレーニングなどをスケジュール化しました。現状、当初予想した以上に水性への関心が高いというのが実感で、この流れは強まることはあっても弱まることはないと見ています。スケジュールができていますので、派遣するインストラクターなどのローテーションが円滑に組めています」

導入が拡大しても対応できますか。


「水性シフトの動きは、カーディーラーの内製化工場や一般の先進的なBP専業者が中心で、中間層へ浸透していくかを見定めなくてはなりません。幅広い動きの気配があれば、現状のサポート体制ではカバーできないので拡充を図る必要があるでしょう。今のところ現有のサポート体制で心配ないと考えています」

水性導入は経営者の判断が決め手になります。


「コンプライアンスを無視して経営はできないとの認識が強く浸透しつつあります。改正特化則、そして今年施行されたリスクアセスメントの義務付けは水性への関心を高めましたからね。これは一般論ですが、近い将来の人手不足がこれにからみ、中長期計画の中で水性導入をどう位置づけるかが経営判断になると思います。水性は使いにくいという固定観念を打ち破っていかなくてはならないでしょう」

水性への固定観念は依然残っています。


「当社の新しい水性システム『nax E3(イーキューブ)WB』は使いやすさと仕上がり感にこだわって開発しました。マーケットでの情報をフィードバックしてみると使いやすいという評価が多いと分析しています。溶剤に匹敵する使いやすさを実現できたのではないでしょうか。今後も改良を重ね、更に使いやすいレベルを高めていきたい」

工程上調色がネックになることが多いですね。


「水性システムと同時に発表した『nax E3(イーキューブ)カラボ』は最先端のCCM技術により、調色のネックであったカラークリヤー、3コートパールの調色精度を向上させています。この調色システムは好評で、採用されるユーザーが増大しています。採用のメリットとして、ベテランから若手まで使いやすいとの声が一番大きい。当社の狙いとする使いやすさが評価されているのが心強いですね」

水性システムではパッケージやディスプレイの革新がありました。


「BP工場の在り方を変えるひとつの提案の意味を込めています。ちょっと極端にいえば工場ではなくショップにしたいという狙いがあります。クルマに関する悩み事は女性も同じ、女性が気軽に相談できる場づくりが必要になっていると思います。パッケージもプラスチック化し、化粧品(コスメ)のようなデザインを付与。ラックも店頭ディスプレイとして目を引くデザインでこれまでのイメージを刷新したいとの思いです」

イメージ戦略を込めたのは画期的なことです。


「水のイメージがありますよね。クリーン、新鮮といったイメージ。水性システムは未来志向ですから、そこに現場の安全衛生という要素をからめています。そして次世代の方向性を訴求していくため、従来のビジネスモデルを変えていくヒントを提示しました」

グローバル展開の現状は。


「ここ2~3年、グローバルARという体制で、全アジアで水性システムを武器にシェア拡大を図っています。特に中国マーケットは巨大で鈑金・塗装分野で1兆円レベルに至っており、年々拡大を続けています。当社の子会社である立邦は中国のトップ塗料メーカーで、強いブランド力と販売ネットワークを有しており、このパワーを基盤に当社と協働の下拡大していきます」

中国での水性化は進みますか。


「中国政府は環境問題に敏感になっており、水性の導入は上層部分から急速に進むと見ています。アジア地域では国により差はありますが、日系自動車メーカーの強い地域では自主的に水性シフトが活発化しています。ここでも当社の水性の使いやすさと仕上がり感の良さ、加えて調色システムでシェアアップを図っていきます」

溶剤システムとの兼ね合いは。


「まだまだ溶剤タイプが主流ですから、新たなクリヤーの上市など、システムを強化していきます。これからの溶剤システムのあるべき姿を求めていく考えです。改正特化則への対応は終わっています」

国内の自補需要はシュリンクの傾向にあります。


「300億円を割り込んでいる状況でその最大の要因は事故車の減少です。衝突回避装置が標準になりつつあり、事故車は更にドラスティックに減るでしょう。しかしクルマのアフターマーケットの需要自体が減ることはないと見ています。保有台数はむしろ増えています。車体整備にこれから求められているのは事故対応のサービスという固定観念を打破していくことではないでしょうか」

ありがとうございました。