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2006年04月11日
改正大気汚染防止法、4月1日施行 VOC排出削減は自主的取組が鍵
改正大気汚染防止法(VOC規制)が1日より施行された。光化学スモッグを防止することが主旨だが、揮発性有機化合物(VOC)の大気への放出削減が本質的な狙い。VOC排出は塗料・塗装に起因するところが過半を占めるため、単に溶剤型から低VOC型への対応といったレベルでは済まない問題をはらんでいる。法的規制の対象となるのは全国の200~300施設に限定されるが、非規制のVOC排出業者(固定発生源・屋外塗装)は自主的取組が原則義務化された。3月30日に開かれた中央環境審議会大気部会揮発性有機化合物専門委員会は「自主的取組の在り方」をまとめ、近く環境省のホームページで公開する。VOC排出業種に関しては幅広い分野にわたっているため、規制という手法ではなく自主的削減を促進する手法が導入された。
規制ではなく自主的取組とは何か――。これについては「事業者が自主的に行う揮発性有機化合物の排出及び飛散の抑制を図る」(法第17条の2)とされているだけで、具体的な内容は示されていない。VOC規制法は平成12年を基準年として、平成22年までに3割削減することを目標として設定、このうち1割が規制による達成を見込む一方で、残り2割の削減は自主的取組いかんにかかっている。VOC削減の鍵は自主的取組の推進にあるのだ。
専門委では自主的取組の在り方について審議を重ねてきたが、この中で出された問題点は大別して3つあった。(1)自主的取組の枠組として「削減計画」を作成する(2)計画のチェックと評価・検証の方法(3)実施主体の明確でないアウトサイダー対策。
計画については法規制が18年度から開始されることを考慮し、平成18年度を基準年として毎年計画を作成し、22年度までの5年間の計画を作成するとの枠組が決まった。
自主的取組の実施状況を把握するため、主体となる業界や事業者が自己検証・評価の結果を含む報告書を作成し公開することになる。また国や自治体は出来る限り広範な業種、業態の事業者が自主的取組に参画するよう普及啓発、情報提供を行うとしている。
特に自主的取組で不公平感が出ないよう、幅広い参画がポイントになる。このため業界外のアウトサイダーや業界団体の未整備な業者に対し自主的取組へどう参画を促すかは専門委でも議論が集中。しかし根本的対策が明確にならないまま規制ではなく自主的取組の建前が優先され、国や自治体が参画を促進するとの表現にとどめられている。
支援措置に関しては、国民(消費者)の意識改革が重要との視点を強調。低VOC化製品や削減に努める事業者の理解を得るため、グリーン購入が拡大するようにセミナー開催やウェブサイトでの公報などを進める。また国や自治体は「塗料などの低VOC製品を率先して使用していくことが重要」と報告書で明記。自主的取組の優良事業者の顕彰などのインセンティブを与える。
VOC排出抑制対策のもうひとつの柱といえる「VOC排出インベントリーの整備・更新」は、平成14年度に実施したインベントリーの精度向上がテーマ。来年度スタートするインベントリー検討会で具体的な検討が行われるが、推計対象発生源として「塗装及び接着には建築、土木など、非点源で使用されるものも含まれる」と指摘。屋外塗装をカバーする方向が示された。
塗料・塗装に重い責任
法規制と自主的取組の2本政策で実施されるVOC排出抑制が塗料・塗装業界に与えるインパクトは計り知れないものがある。供給責任という立場が内外から問われてくることは言うまでもないが、とりわけ自主的取組に対して業界側の役割が明確にされる必要がある。「低VOC化は使用者側の問題」といった主張はもう通用しない。これにCSR(企業の社会的責任)も絡み、VOCを多量に排出する塗装システムは「非社会的」というマイナスのレッテルを貼られる懸念すらある。
低VOC技術の進化を図るため、塗料メーカーと設備メーカーとの連携強化はもちろんのこと、自主的取組促進のためのマニュアルや削減計画策定支援を積極化する必要がある。当然自主的取組の方向すら知らない事業者も多いことから、参画促進も業界として考えていく必要がある。
VOCを排出している事業者から見ると、自主的取組の意味が分かりにくいのも事実。低VOC製品を使用すればコストも作業時間も増え、「何のメリットもない」との感覚が支配的。これに対しては「環境先進性こそが事業を活性化するポイント」と説明し、自主的取組のプラス面を情報として提供していく必要がある。自治体や消費者にチェックされている方向性を訴えるとともに、低VOC化がスムーズに進む技術やノウハウを構築する。
このためには塗料メーカーだけでなく、業者と接している流通業界(塗料販売店)の役割が不可欠となっている。販売店は低VOCの流れを促進することが新たなビジネスチャンスを生むとの発想で市場対応を図る必要がある。またモノの流れの中に「環境・安全・健康」に対するノウハウを注入することが、顧客との関係を改善することにつながることは間違いない。(芹沢)
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