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2007年02月26日

企業動向  技術

国内初のピアノ鏡面光沢 TS塗装技術研究所 プラスチック用に展開

TS塗装技術研究所(本社・宮城県宮城郡利府町、社長・佐藤丈志氏)はピアノ調鏡面光沢を発現できるプラスチック用塗装システムを開発した。同時にエラストマー用、薄膜蒸着、高光沢アルマイト用、高光沢ステンレス用、無溶剤UVなどの塗装システムをラインアップ。モバイル製品やパソコンメーカーばかりでなく、自動車メーカーからの引き合いが殺到。塗装エンジニアリングに加え独自の塗料開発ノウハウを統合したコンサルティング力でプラスチック塗装の可能性を追求していく。

「ビジネスの離陸期に入った」(佐藤社長)と手応えは十分な様子。今回同社が開発したピアノ仕上げ並みの鏡面光沢をプラスチック製品に塗装できる技術は国内初で、携帯メーカー各社からのオファーがあるためだ。
現在、サンプル出しの段階から試作品作りに入った携帯電話もあり、ピアノ調の高光沢がスペックされる日が近づいている。国内ばかりでなく、ノキア、モトローラなど海外大手からの引き合いもある。
実績的に先行した技術として、エラストマーに対応できる塗装技術がある。既にクルマのゴム系のアンテナ用に採用、高い評価が得られ、他の自動車プラスチック部品での採用が拡大しつつある。クルマ以外にはデジカメの手で握る部分のゴム素材への適用が検討中。ゴム素材であるエラストマーは密着性が悪く、基本的に塗装レスのままだった。しかし、これではゴム素材の耐衝撃性や手触り感は生かせるが、黒いゴム素材を露出することになり、色彩やデザイン性でネックがあった。


ここに着眼し、エラストマー用の塗装技術の開発に入り、数年かけて完成させた。採用になったアンテナは当然ゴム素材のため、塗膜に高柔軟性が求められる。しかも外部部品で人目に付きやすく、ホディー意匠との一体性を持たせる必要から高光沢性を付与しなくてはならなかった。
ピアノ調鏡面仕上げにしても、エラストマー対応にしても、高度な技術的課題を解決したのが同社独自の表面改質技術。難密着性を解消するためには素材自体の表面改質が不可欠。「表面改質する技術には3通りくらいあるが、蓄積したノウハウがないとやみくもにやっても失敗する」(同)と表面改質プロセスの独自性を指摘する。


表面改質の強みとともに、同社は塗装エンジニアリング力がある。サンプルと同時に塗装でのチェックが可能なため、ここから塗料についての新しい知見が生まれることになる。
同社は技術系社員中心のベンチャー企業。このため大学の研究機関や樹脂メーカー、塗料メーカーとの連携によって開発するケースも目立つ。しかし、開発するテーマは「大手が狙わない領域にターゲットを絞り込む」とのスタンス。エラストマー用の塗装システムも他の塗料メーカーがなぜか手を出していない領域であった。


開発品として注目されているのが薄膜蒸着。プラスチックの仕上げとして多用されている蒸着だが、数十ミクロンオーダーの厚みが一般的。これを2ミクロンといった蒸着の常識を破る超薄膜化を実現した。現在カーメーカーのハンドル部分に付けるエンブレムなどへの採用が検討されている。
一方同社の海外展開が加速し、中国に最新の塗装技術を持ち込んで立ち上げた東莞の塗装工場が好調だ。当初から中国では対応できない水性塗装やUVキュアを導入。現状は水性塗装品が50%、高光沢品が50%を占める。
また1月30日付で深にT&Sチャイナを設立。既存のT&S香港が100%出資し、中国での輸出入拠点としての確立を目指す。同社のコンサルティング力が評価され、塗料メーカーや塗装機器メーカーとタイアップしたモノの流れが増大。「静電塗装機はメンテナンス体制が中国にないところから、輸出に二の足を踏むところもある。当社がエンジニアリングサポートして輸出を活発化したい」との意向。


同社では中国でローコストで開発した「TS水系塗料用塗装ブース」(特許申請)を国内に輸入販売している。水性シフトが鈍いところから、必ずしも順調な販売とはなっていないが、「溶剤用としても使えるため、PRしていきたい」という。この他塗装に関わる備品の開発にも実績を有している。
同社は昨年10月、本社を移転しラボ機能を併設。試作テストの更なるスピード化を可能にした。ラボには独自仕様の表面改質装置からスピンドル塗装機、水系ブースなどを導入。ユーザーからのサンプル作りに追われている。


次の目標は水性塗料の開発。「エマルションでも試したが、性能に限界がある。水溶性の方向で1年以内に開発につなげたい」と話す。プラスチック仕上げに関わる総合的なソリューションに更に磨きをかける。(芹沢)


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