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2007年03月05日

マーケット:国内

塗料販売店「最後の挑戦」 専門ノウハウどう活用

卸売り機能を主体とした塗料販売店からの脱却が鮮明になってきた。これまで顧客としてきた業者(専門工事業者などプロユース)の仕事量が激減し、売り上げを維持するどころか採算割れとなる傾向を強めている。仙台市内の汎用塗料ディーラーは「(ユーザーからの注文は)単価から入るばかりで、製品の性能や使い勝手を聞く余裕すらない。売るためには価格競争しかない泥沼に陥っており、抜き差しならない状況。このため営業マンにやる気がおきない」と指摘する。脱却のための時間的余裕は限られている。

塗料販売"神話"の崩壊


かつて塗料販売業は「大儲けはできない代わりに、細く長く地道な安定した商売ができる」といわれてきた。確かに戦後から高度成長期にかけての需要増大を背景として第一世代の経営者は事業規模を拡大。2次にわたるオイルショックを経て、低成長時代に突入したが、それでも商売の在り方に大きな不安の影が差すことはなかった。


ところがバブルが崩壊した90年代以降の状況は、こうした塗料販売の構造そのものの変革を迫るようになる。なんとか売り上げが立っても与信の問題がクローズアップ。事実、債権・債務により倒産するケースも出た。


この間、工業用分野では塗料流通の変革が顕著に進み、供給メーカーとユーザーとが直結し、そこに塗料ディーラーが介在しても代行という形に変わり、存在感は薄れた。これに対し汎用分野ではメーカー側も「塗料販売店の存在は必要」との認識が強く、かつての特約販売店数の増大政策からシンパ特約販売店との関係強化に移行した。


つまり地域ごとのセグメントの中で塗料販売店を特定し、そこにメーカーとして集中的にサポートする体制。その結果、地域トップと2位以下の塗料販売店との格差が一層広がる傾向を見せている。

販売政策に手詰まり感


しかし、市場の激変にメーカーの特約店政策は手詰まり感を拭えない。メーカーの汎用戦略が量的拡大から収益確保に移り、ディーラー戦略も付加価値のある商品の拡販が目立つ。ところがコスト一辺倒となった市場は、価格から交渉に入り価格を決めて終わるようになっているため、商品の差別化が効きにくい状況にあり、価格対応力しか生き残る条件がなくなりつつある。


しかもメーカー側の内部事情として執行役員制が導入され、1年ごとの短期で業績が査定されるため、かつてのような3年先、5年先といった長期戦略はほとんど不可能になってしまった。メーカーの現場営業マンは混乱し、競合メーカーの出す価格に合わせるといった対応をせざるを得ない一方、与えられたノルマと採算とのジレンマに苦悩し続けている。


汎用塗料販売店の実態は経営者側よりも現場営業にその矛盾が集中している。顧客のクセを知り、商品知識や現場における問題解決能力のある営業マンが激減。今年から始まる団塊の世代のリタイアはこれを加速する。にもかかわらずノウハウの継承はほとんど進んでいない。販売を担う中堅・若手はむしろ「価格合わせと顧客の雑用サービスに疲れ、やる気を喪失させている」のが実態。

新ビジネスの方向


将来性に不安を抱く塗料販売店がようやく重い腰を上げようとしている。「まだ少し余裕のあるうちに事業を転換したい」と、新たなビジネススタイル構築に動き始めた。
方向性はモノの販売からソフトや新サービスの販売。塗料は品種が多く、色はめんどくさいといったスタンスを自ら改め、品種が複雑で色の世界を持っていることは塗料販売店にとって宝の山であると180度認識を変えつつある。


ビジネスモデルとなるのが色彩を提案するペイントショップ。水戸市内の塗料販売店は色彩提案力を横軸としたコンセプトで、ショールームと研修機能を持ったペイントショップ作りを進めている。ソフトとしての色彩の魅力を十分伝えるためには、その場(オンデマンド)で顧客に見せることのできるスペースが不可欠と発想しているためだ。「色彩をコンセプトにすれば工業用から生活者まで幅広い新規顧客を取り込め、既存の業者とタイアップした新たなサービスで共存共栄も可能になる」と期待する。


しかしこの方向性には落とし穴がある。「色を売る商売」は新しいサービスを作る必要があり、モノ売りに徹してきた企業体質になじまず、必ず社内から反発が出る。しかもビジネス立ち上げには資金も時間もかかり、ゼロベースの担当者は周囲から孤立しかねない。このリスクを伴うリードタイムをどう社内で説得するか、経営トップのリーダーシップが問われる。


塗料販売店格差は広がる一方で、余力も時間との競争になってきた。「塗料をモノとして売ることに限界を感じる。建設業に売れば単なる資材のひとつ。工業用ではいつでも代替できる材料に過ぎない。色彩という価値を認めてくれる市場を自ら創る時代に入っている。苦しいがこの方が人材も育ち、社員のやる気も違ってくる」(塗料販売店トップ)と腰が入ってきた。(芹沢)


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