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2007年07月02日
ファイン指向、企業体質を変える ナトコ 全製品「ニッチトップ」へ
同社が事業の舵取りを180度切り替えたのは1988年、日本塗料工業会が「中期ビジョン」を策定した時点から。ビジョン策定に携わった粕谷社長は「脱塗料」を決断。テーマを定めることなく3名の技術スタッフで新規事業をスタートさせた。 あえてテーマを当初から絞り込まなかったのは「スタッフの自主的な発想が重要」(同)と考えたからだ。しかし当然のことながら試行錯誤の連続であった。テーマもバイオからファインセラミックなど幅広い分野の中で探索。サンプルを作成してはユーザーに持っていき、「門前払いに近い形でつき返される」毎日。それでも新規事業にかける情熱は衰えることはなかった。
その理由はトップ自身が新規事業の立ち上げに「10年はかかる」と踏んでいたからだ。しかし社内からは成果ゼロの事業に白い目が向けられたことも。このため新規事業のスペースは「掘っ立て小屋のようなもの」(同)で、従来の技術体制とはっきりと分け開発への挑戦が続けられた。 また、社長方針として新規事業のコンセプトが明確にされていたことが長期にわたる立ち上げ意欲を支えたといえる。ニッチ分野でトップとなる製品開発をポリシーとして、企業体力に見合ったコスト負担(設備投資など)ができ、競合品のない独自性のある付加価値製品の開発を目指した。
新規事業を始めてから7年近くが経過し、ようやくものになる2製品が開発され、実績となる。その1つがスペーサー。文字通りニッチ製品。開発のヒントはユーザーからで、それを解決するための高分子材料。「ユーザーの困っていることを発見し、解決する」(同)の路線が同社に定着する。 ゼロからのスタートのように見える新規事業の立ち上げに基盤があったことは見逃せない。粕谷社長が社長就任と同時に着手したのが樹脂開発と内製化。「塗料を混ぜて造るだけでは将来がない。自力で樹脂を設計し合成できる技術を核とした塗料技術を確立したい」との思いを具現化した。
当時をふり返り「新規事業はテーマを絞り込まなかったが、市場調査を広域化することで多角的な市場の動きが分かるようになった。と同時に帰結するところは当社の固有のコーティング技術になることは始めから想定していた」(粕谷社長)と打ち明ける。 現在同社の技術体制は要素開発などを担当する研究部門の下に塗料技術とファインケミカル技術のセクションが置かれている。大手メーカー以外で基礎研究部門を有している例は少なく、同社の技術指向の高さを象徴する在り方。しかも人員の動きが有機的にからまり、研究開発型企業としての評価をユーザーから得ている。
塗料事業に関してもファインケミカル指向を強めてきた。汎用塗料から工業用塗料へとシフト。ファインケミカル事業と同じくソリューション形の展開を進め、建材向けの無機コーティング材で成果を上げる。 同社の現在を端的に表しているのが、ファインケミカル事業に営業スタッフがいない点。ユーザーに密着することでシーズをつかみ、ユーザーの課題を解決し、ユーザー製品の付加価値向上に寄与する立場から、技術スタッフがユーザーの懐に入り込むケースが多いためだ。 研究開発指向は塗料の営業スタッフにも感染。営業マンが自主的に勉強するばかりではなく、開発にも関与するようになっている。工業用ユーザーの高いレベルの要求に対応していくため、必要に迫られてとの側面もあるが、技術的なトークがユーザーと対等でできることがやる気につながっているのも事実。
同社は中長期計画を策定していない。「市場変化のスピードが速く、今ある製品が明日にはゼロになることもある。むしろ単年度でポイント制による人事評価や目標管理を徹底させることの方が重要。方向としてはファインケミカル部門の成長力を活力として、売上比率を50%台にまで引き上げていきたい。塗料事業のファイン化も同時に進め、この部門でもニッチトップを目指す。次の目標はグローバル・ニッチトップ」と明解だ。(芹沢)
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