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2007年08月22日
今そこにある需要の創造 汎用市場、マーケティング発想が鍵
汎用市場縮小の要因として、公共需要の落ち込み、改修需要の低迷、また自動車補修用でいえば事故車の漸減などが指摘され、統計データとしても根拠が裏付けられる。確かにこの側面から見れば需要は減ってきている。
このことはまた、いかに官需頼みの市場であったかということを示している。マーケットがあることを前提とした商品政策や販売競争があり、それはまるでタコツボの中でパイを争うような様相を呈していた。事故車が増えなければ自動車補修用の需要の拡大はないといった図式。いずれにしても需要を伸ばすのは対他的要因なのだ。
商品競争にしても、独自性よりも2番手商品をいかに速く投入するかをよしとする安易なレベル。当然商品の差別化であるべきコンセプトは横並びに近い。これでは売る側の販売店にしてもインセンティブのある商品しか売らなくなり、商品を選別するマーチャンダイジングはあってなきものになってしまう。製販が共同正犯として市場に追随するスタイルを作り上げてきた。
よく塗料ディーラーは「競合しあっているメーカーの生産する塗料が似たようなもの」とグチをもらす。そうであるなら競争に勝つためには製品としての塗料以上の「何か」を提供しなくてはならなくなる。そこでデリバリーやサービスに躍起となる。企業体力のほとんどを消耗してしまい、競合相手と比べはっきり差別化できるような態勢を取れないでいる。
メーカーにとってはマーケティングが機能しているのか疑われる事態といえる。確かに組織的にはマーケティング担当者はおり、プロダクトマネージャーを兼任しているケースもある。しかしマーケティングが企業活動全体を総合的に考える立場に立っているメーカーは少ない。企業のいち機能に位置付けられている例がほとんど。
マーケティング部門は他の部門と違ってその活動がルーティン化できないという特徴がある。そこに一定の作業手順があるわけではなく、製造部門のようなコストと作業標準がない。統制力という面からしても弱く、マーケティング部門がどこまで統制できるのかあいまいなところがある。
その一方でマーケティング部門の使命は市場の変化に対応し、競合企業の動きや顧客の行動に対してアクションしていくところにある。特に重要なのは常にユーザーは買う条件を変えてくる点にあり、これを捉えなくてはならない。
いわばマーケティング部門は企業の外に向けて開かれた目であり耳である。マーケティングの立場からすれば顧客は製品を買うのではなく、製品のもたらすパフォーマンスを買うのだ。例えばドリルを買うのではなくドリルで開ける穴を買う。塗料を買うのではなく塗料からもたらされる効果や期待を買っていることになる。
市場変化を公共需要の減少に求めることが間違いであることは明らか。結果を原因と取り違えていることになる。むしろ顧客の期待する価値とのズレに根本原因を求めなくてはならない。
塗料という商品の本質から発想する必要がある。汎用市場の顧客は生活者であり、塗膜過程に介在する施工業者はパートナー。パートナーを顧客として捉えている以上、本当の需要の動きは見えてこない。
最終顧客である生活者は「住環境を美しくしたい」と思っているかもしれないし「家族間の親和性を高めたい」と潜在的に感じているかもしれない。特に「美しくありたい」という希望は根源的であり、それだけに強いものがある。であるからこそ化粧品には夢を呼ぶパッケージングやPRに巨費が投入されている。
顧客が欲している以上のものが本当の商品といえる。「塗料と化粧品は違う」との反論もあると思うが、本質は同じ。防食を求める顧客に対しては「より安全で賢い選択をした」という期待を満たしていけばいい。建築用でいえばメンテナンスフリー10年というのは顧客の声ではなく、住居や建物の価値を高め、住空間としての利便性や快適性のあるものというニーズが真の指向なのだ。
塗料を売る販売店にしても「期待」や「希望」を売るマーケティング的発想に立たなくてはならない。そのためのひとつとして、顧客の心を揺さぶる店の雰囲気、顧客とのコミュニケーションの工夫、人に宣伝したくなるような行き届いたサービスなど、当たり前のことを継続的にしていく必要がある。
塗料は材料や資材ではない。顧客と創造していくための「意味」なのだ。もともと被塗物を選ばず、どのような条件にも対応でき、フィルムを形成する特長を持ち、時と所によって多様な意味を付与できる製品であり、マーケティング次第で可変的に需要を創造していける利点がある。(芹沢)
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