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2007年11月13日
徹底した"体感実習"を実践、水性研修の現場を見る トヨタ自動車清洲研修センター
トヨタ自動車はBP(板金・塗装)工場における環境戦略を発動し、オールトヨタグループとして2010年までにVOC排出量を30%削減する目標を設定、その対策の柱として水性塗料(ベースコート)を純正品化、この9月から同社・清洲の研修センターで水性研修をスタートさせた。トヨタの水性シフトは各方面に反響を呼んでおり、低VOCシステム‐水性と2段階移行が主流の市場マインドにインパクトを与え、若手のBP層を中心に水性への関心が高まってきた。清洲の研修現場からレポートする。
トヨタ自動車・清洲研修センターは名古屋市内から車で20数分で来られることから、地方の参加者からは足の便がよいと好評。ほとんどの参加者は名古屋駅周辺のビジネスホテルに宿泊している。
清洲研修センターはトヨタのBP拠点として日進研修センターを補完する立場にある。メインの日進では通常の育成教育や技術検定を行い、清洲は新技術・新材料の教育や検討場として使われている。研修スペースは日進に比べても十分余裕がある。
清洲のBP研修センターには5ブースが設置され、日進の4ブースに比べても国内最大級の設備機能を導入。作業ベイも余裕があり、参加者の動きはスムーズだ。
トヨタは水性ベースコート研修を9月からスタート。今回は3回目の研修で、期間は10月9日から12日までの4日間。参加者は毎回8名程度に限定し、今回のインストラクターは2名。「設備的には参加者の増員も可能ですが、インストラクターが目を配れる体制」と担当の山田清氏(BPサービス室)は説明する。
8名の参加者は北は北海道から南は九州まで、1社から2名参加組もある。「2名参加の方が現場での水性技術の落としこみにはベター。相互の役割分担ができるので、現場で指導しやすい」(同)と話す。
研修4日間の内容はかなりハード。毎日7.5時間、最終日だけは5.5時間だが、そのほとんどの時間が実習・実技に当てられる。教室で20分程度の座学がレクチャーされた後は、ほとんどが水性補修の実技。
ほぼ40cm角のパネル板に各自が自由に水性補修塗料のスプレー作業を繰り返す。吹いては拭き取りを何度も実践する。はじめはスプレーしても溶剤系と違って乾きが異なることに戸惑う。何回かスプレーしてみると、溶剤系との差が実感できるようになってくる。
理屈よりも体感させることを重視する。「研修に来る人はさまざまで、塗料メーカーの研修を受けた人から今回初めて触れる人まで。いずれにしても水性に対する先入観を持っている。乾燥性だけではなく、抵抗感などネガティブなイメージがどうしても付きまといます。水性特有の課題や特性をはっきり理解してもらうことが大事。課題や問題点が明確になれば、ポジティブな意識が出てくる。むしろ水性の利点に対する理解が進むようです」と山田氏は解説する。
確かに実習作業を見学していてもそれが実感できる。水性を体感することで「水性は使いにくい」というイメージは解消される様子がよく分かる。実車のパネル板を使ったボカシ作業でも、インストラクターが手取り足取り教えるというよりも、基本的な要点を教え、あとは各自に作業させ、質問に答えるスタイル。参加者のボカシ具合を見る目は真剣そのもの。さりげなくインストラクターがアドバイスする。
実習中心の研修は参加者の自主性を高め、水性ならではの課題の発見につながる。塗色も手順としてシルバーメタリックから体感し、濃色、そして3コートパールと段階を追って進む。シルバーメタリック色は水性の方がアルミの配行性が良いため、入りやすい作業としてのメリットがある。
4日目の最終研修は調色が中心。指定色を配合データに基づき調色する。調色室の保温庫にはトヨタ純正水性塗料(TOYOTA Waterborne Paint)原色2種類(日本ペイント製、関西ペイント製)がフルスペックで並ぶ。ちなみに研修では交互に使われている。
参加者の水性研修の印象は水性アレルギーが低減されたというのが一般的。水性の壁をまず取り払うのが研修の狙いでもある。また臭気を含め工場環境の改善に寄与する効果への期待も。「研修後のアンケートからうかがえるのは2極傾向です。積極的に水性導入の意欲を見せる一方で、水性の手応えを感じ様子見をする。我々としてはトヨタグループ全体でVOC排出量を2010年までに30%削減する目標がありますから、水性シフトは大きなテーマ。まず水性に慣れることが大切だと思っています」(山田氏)
トヨタは水性導入を促進するため純正ツール、推奨機器・ツールをラインアップ。温風乾燥機もほぼ内定し、ブース上部に固定するか、ブースサイドに移動式としても設置可能にする。水性導入に伴う基本的な初期投資(塗料、必須機器)を100万円程度に抑制できたとしている。清洲の水性研修の今年度のスケジュールは埋まっており、45社86名が参加予定。年末ごろには来年度のスケジュールを決める。(芹沢)
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