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2008年01月11日
壁にはペイントカラーの時代到来 「私改造計画」が生活者の心動かす
ケース1.「私改造計画」のヒット要因
東急沿線で無料配布されているフリーペーパーの特集企画「私改造計画」にかつてない反響が起きた。フロントページにはペイント作業をコラージュし、自分を変えるために部屋のイメージチェンジとしてウォールペイントを紹介したところ、編集部や企画に協力したカラーワークスに問い合わせが殺到した。「いろいろな企画に参加していますが、これほど反響が大きかったのは初めて」(カラーワークス・秋山千恵美さん)と驚きを隠さない。
その一方で「生活者は着実に住空間の中で自分らしさを追求したいとの思いを強めている。これを実感できるウォールペイント、カラーウォールの時代に入ったといえます」とコメントする。
問い合わせに対しカラーワークスの用賀ショールームでは、150名近い応募者を対象に「ペイント・カラー教室」を1回8名前後で18回開催したが、その場でウォールペイントをやりたいという人が続出。希望者を同社研修施設で実技指導した。
この企画が成功した要因のひとつに、コンセプトを従来のリフォーム発想や塗替えリフレッシュといった陳腐化したものではなく、生活者の心に直接訴える「私改造計画」としたところにある。これは大きなヒントになる。ペイントカラーを塗装という手垢のついた概念から一度切り離し、新鮮なイメージコンセプトで包むことで、訴える力が非常に大きくなり、手応えが出ることを証明したといえる。
ちなみに応募者の年齢層は30歳代から60歳代と幅広く女性の方が多いが、男性層も目立つ。つまり世代を超えた関心を引く企画であった。
ケース2.部屋ごとにバリエーション
マンションディベロッパーがペイントカラーウォールをセールスポイントにする傾向が強まっている。一時ブームとなったデザイナーズ・マンションは個性的なデザイン性がウリだが、高価なところがネック。それに比べ内壁をカスタマイズするにはペイントがベストとの認識が定着してきた。
従来のリビングルームの一面だけを居住者の好みでカラーリングするというワンポイント主義から、部屋の機能にマッチしたカラーコーディネート、色彩と照明の効果を引き出した個性的な空間作りと色彩の活用が拡大。こうした提案のマンションは完売スピードが速く、中には即日完売のケースも出るなど、ディベロッパーはカラーウォールプロモーションに磨きをかけようとしている。
ケース3.ウォールペイント教室、大人気
家具の売り方を変えてしまったといわれるほど、インパクトの大きかったスウェーデンの大手・IKEAの日本進出の成功の秘訣は色彩にあった。部屋をカテゴリーに分類しただけでなく、子供部屋(キッズルーム)であれば世代やテイストによって細分化したコンセプトに合った家具を展示。それぞれに背景となる壁をペイントカラーと照明で演出。これが生活者にアピールした。「あの壁の色が欲しい」との声が寄せられたが、「家具は売ってもペイントは売りません」と対応におおわらわ。
そこでIKEAでは定期的にウォールペイント教室を開催し、要望に応えることにした。毎回150人以上の応募があり、人気の教室となっている。
ここで講師を務める秋山千恵美さんは「とにかく参加される方々には熱いものを感じます。生活をよくするためにはモノ(家具などのインテリアアイテム)ではなく、何を自分でしなくてはならないかが分かった。塗料は知ってはいたが、こんなに身近で感動的なアイテムで、自分の世界を創ることができる方法であることが分かってうれしいと皆さんいいます」と語る。
教室はペイントのイロハに始まり、ペイントカラーの世界の魅力、そして畳1畳大のパネルに自分でローラー塗装する内容。この実技が好評で「生まれて初めてペイント体験したが、楽しいし自由感がある」と参加者の意見。「ペイントカラーの魅力に目覚めた生活者はリピーターとなり、壁紙の世界に戻ることはない」(同)と断言する。
インテリア雑誌の世界ではペイントカラーの壁は当たり前になっているが、生活者実感と違い理想的なケースの追求が目立つ。しかし生活者の目は確実に生活空間に向きつつあり、これまでのような好みの家具をバラバラに揃えることで統一性や調和が失われるという学習=経験を経てペイントカラーに注目が集まる気配がある。
業界がそのトレンドの受け皿となるためには、塗料を既成概念やノウハウで説明するのではなく「私改造計画」のような全く新しい発想で発信することが大事。そしてペイントの感動・楽しさ・喜びを生活者と共有できるビジネススタイルを工夫する必要がある。
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