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2008年02月25日

企業動向  技術

ワンコートUV、採用相次ぐ TS塗装技術研究所 スリム携帯で先行

開発型ベンチャーのTS塗装技術研究所(本社・宮城県宮城郡利府町、社長・佐藤丈志氏)が開発した薄型携帯電話向けワンコートUVシステムが国内の主要メーカーに本格採用され、競合他社のスペックを塗り替えている。このカラークリヤーをUVキュアさせるシステムは世界初。他社も開発にやっきとなっているが、製品化できていない。このためスリムモバイル分野への採用実績で同社が先行する形となっている。「ニッチ分野を差別化できる1品勝負で風穴をあけていく」(佐藤社長)とベンチャー魂がパワーとなっている。

同社は昨年、本社を移転し独自のR&Dセンターを併設した。分析からサンプルまでを作れる体制を整えた。これとともに以前からの東北大学、塗料メーカー、ケミカルメーカーのコラボが同社のR&D力を支えている。
開発品としてはプラスチック用塗料を中核として、ニッチでオリジナル性の高いラインアップ。エラストマー用、薄膜蒸着、高光沢アルマイト用、高光沢ステンレス用、無溶剤UVなど。これらの製品が弱電、自動車部品などのユーザーに評価され、サンプル評価からスペック入り、採用の段階を迎えている。
今回本格採用されたのは世界初のワンコートUVシステム。携帯電話のスリム化に伴って樹脂素材からアルミ素材への転換に対応し、同社がいち早く開発。2コートシステムが主流の中にあって、カラークリヤーの開発に成功しワンコートを実現した。外観品質はピアノ調の高光沢を発現できる。


薄型携帯電話メーカーであるパナソニックなど各社で採用が始まり、ワンセグなどの機能競争からデザイン競争に移行。テレビなどのマス宣伝でもファッションと連動したスリムスタイルのアピールが目立つ。
10数名の小規模ベンチャーが塗料メーカーと互角に競合する秘密は同社の表面改質技術にある。「改質するテクノロジーとして当社が使っているのは3パターンある。この組み合わせによってコーティング性能を高めることができる」(佐藤社長)と打ち明ける。これと同時にターゲットを絞り込み、スピード感ある対応力が同社の競争力につながっている。
エラストマー用の塗装システムも他社の盲点であった。車のアンテナなどで使用されるエラストマー部品は難付着性ということもあり塗装されないでいた。この常識を打ち破ったのがエラストマー用。コーティングすることで保護と意匠性を高めることができ、採用が拡大。エラストマーの表面を改良することで課題を克服した。


ニッチでオリジナルフルコンセプトは同社の海外展開にも導入されている。海外進出の第1弾となった中国・東莞の塗装工場の形での合弁事業では、中国市場で初めて水性塗装やUVキュアでの現地生産をスタート。順調に事業を拡大し、現状は水性塗装品が50%、残りは高光沢品が占める。
第2弾は昨年1月、深にT&Sチャイナを設立。中国における輸出入拠点を構築し、同社が設計し中国で生産した水性ブースの国内への輸入、中国における静電塗装機のメンテナンスサポート、塗装コンサルティングの拠点となっている。


そして今年2月にはアセアン地域に初進出。タイに生産拠点を独資で立ち上げ操業に入った。立地はタイ北部のアユタヤ。タイでは塗料の生産が1種工業団地に制限されているため、日系の進出メーカーは南部に集中。タイ北部地域への進出は同社が初めて。「南部から約300キロ離れて立地しているので、物流上の優位性がある。危険物倉庫も完備したのでオープンな形で運用していきたい」(同)と話す。
2月からの操業はシンナーや土木用に使われる凝集剤など。プラスチック塗料用の高沸点溶剤を供給し、輸入に依存している現状を補完していく。また凝集剤についても月間100トンの供給能力があるため、アセアン各国やインドまでカバーする生産拠点とする位置付け。
今年度後半には早くも2期拡充を計画。UV関連のコーティング製品の現地生産を予定。「ユーザーのオファーもあるので早期に2期工場を建設する必要がある」という。

佐藤社長に聞く
業績の現状は。

売上は3期連続で30%ほど伸長しています。黒字も継続していますが、収益の大半は開発などに先行投資している。売上50億円をめどに上場を予定していたが、その目標を延期することにしている。その理由は今期から採用実績拡大に拍車がかかる見込みで、その体制基盤作りに集中する必要があるためです。

拡大を続けるための課題は。

競合メーカーと違って資本力では当然劣っているので、これをカバーするコラボ、パートナー作りが課題。具体的には独自に開発した樹脂があるのですが、OEM生産するか自社炊きするかまだ決めていません。PPGとユーザーコンペで競ったのですが、性能は評価されたもののコストで敗れるなど、コスト競争力を向上させることも重要です。ただ量産指向ではなく、ニッチ分野を発見し、そこでの1品料理で成功させていくスタンスは変わりません。

海外展開の方向は。

中国、アセアンへの布石ができ、更に他地域からも進出要請があるので、海外交渉力と営業力を強化し、次のステップを考えたい。


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