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2008年03月27日
PPG、塗料事業シフト鮮明に 世界戦略「水平統合」の方向
PPGのM&A戦略の方向が変化している。90年代のM&Aでも世界各国で塗料メーカー、塗料事業を買収したが、PPGの塗料事業に統合することに失敗し、海外事業の採算を悪化させる結果を招いた。この経験から06‐07年にかけたM&Aでは買収ブランドを温存し、既存組織を活用する方向に転換。基本的には垂直型の統制ではなく、水平型の組織統合を進めている。 それと同時にPPGの既存の塗料事業セグメント(分野)との補完関係を重視しているのも特色。シグマケイロンの買収例のように、PPGは北米では建築用塗料でトップクラスだが、海外に弱い点を補完。シグマケイロンの世界22生産拠点を新たに加えた他、直営店500、ディーラーネット約3,000といったサービス体制の強化ができた。
またシグマケイロンの買収では船舶、防食、工業用の補完も目立つ。先に買収したアメロンを含め、PPGが本格的に船舶・重防食分野の世界市場に参入したことを意味する。シグマケイロンの買収金額は約22億ユーロ(約3,520億円)で、同社のM&Aとしては最大級。 PPGは世界トップの総合塗料メーカーを目指す戦略を鮮明にしている。ガラス事業、化成品事業、塗料事業の3本柱の事業体制の板ガラス事業から撤退し、特殊光学ガラス分野への特化を進め、化成品についても付加価値の高いアイテムに絞り込み、その一方で塗料事業の拡大を図る方向。成長する新興市場における地位向上を進める。
船舶用への参入では中国、韓国での市場競争力が鍵となる。今回のアメロン、シグマの買収によって、韓国・ウルサン、中国・クションに拠点を確保。競合するインターナショナルペイント(アクゾ・ノーベル)、中国塗料、ニッペマリンなどに攻勢をかける構図ができあがった。 また重防食については日本の大手エンジニアリングメーカーが世界的に建設するプラントでのスペック獲得が増えており、これへの塗料供給並びにサービス体制が拡充されたことになる。 とりわけPPGが重視しているのが建築用。新興国でのボリュームある需要増大が見込めることに加え、世界規模でブランドを確立することで原材料調達からディストリビューション(流通)の面で優位性を発揮することが可能となると見る。インドでは既に同国トップのアジアンペイントと提携関係にあり、中国やアセアン地域、東欧・ロシアなどをカバーしていく。国内においても建築用塗料事業の本格的立ち上げを予定。
PPGはウルトラフィルトレーションが自動車用プライマーである電着塗料技術で世界市場を席巻した経緯がある。この技術特許は既に消滅しているが、現在でも世界の自動車用電着塗料シェアの50%以上を確保する。自動車用の中・上塗りを含めたトータルシェアでもデュポンに次ぐ世界2位の地位にある。 しかし北米のビッグスリーの業績悪化の影響を受け、自動車用塗料事業の採算が悪化。とりわけ北米では陥没に近い厳しい業績にある。これとは別に自動車用塗料を保有しないアクゾ・ノーベルがICIを買収することで世界市場に攻勢をかけており、これに対抗する上でも総合化学メーカーとして世界体制を確立し、原料の集中購買などによるコスト競争力を高める必要性に迫られていた。
一連のM&AによりPPGの塗料事業比率は57%から73%と一気に16ポイントも増大。売上のエリア別も米国・カナダが69%から49%に減ったのに対し、西ヨーロッパが18%から30%、アジアが8%から11%に拡大。中期的戦略としてこの比率を各30%としていく方針を打ち出している。
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