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2008年03月24日

企業動向  技術

50年超耐久、重防に新風 四国総合研究所・関西ペイント タワーバリヤーシステム開発

インフラを支えるストックの維持管理に社会的な注目が集まっているが、塗装による防食が性能とコストの両面で優位性があることが実証されつつあり、重防食メンテナンス市場の活性化につながる可能性が高まってきた。四国電力のグループ会社・四国総合研究所(高松市)と関西ペイントが共同開発した送電鉄塔向け「タワーバリヤーシステム」は長期耐久性能を従来スペックに比べて一気に6倍以上とするなど、従来の防食塗装システムの水準を突き抜けた。「防食塗装はLCCの視点ばかりでなく、社会資本を保全する主流となる具体的ケースとして普及・PRしていきたい」(関西ペイント販売防食技術統括部長・糟谷誠氏)との意向を示す。

タワーバリヤーシステムのコンセプトは防食性能に特化した設計思想を導入したところにある。景観性や施工性などは犠牲にされることになったが、施工性を補完するために新しい塗装機があわせて開発された。 まず防食性能の目標として設定されたのが海岸部などの厳しい腐食環境を考慮し50年以上の超長期耐久性。従来のスペックは概ね10‐15年程度の耐久性が一般的であり、この目標は突き抜けたものといえる。このコンセプトを貫徹できたのは四国総合研究所化学技術部主席研究員・西森修次氏の熱い思いがあったからだ。

この辺の事情に関して糟谷部長は「防食設計の常識からは発想しにくいコンセプトであった」ことを認める。塗料設計の場合、保護と美観を柱として性能のバランスを重視するのが一般的。しかし今回は防食性に最大限特化したコンセプトで開発が始まった。 実際の送電鉄塔の補修面は純亜鉛層がなくなり、亜鉛の合金層が露出している状態。このため合金層との付着安定性に優れる高密着性応力緩和形エポキシ樹脂塗料を下塗り(50μm)として開発。上塗りには防食性が高い超厚膜タイプのガラスフレーク入りエポキシ塗料(350μm)を用いる仕様を確立。従来仕様の100‐150μmに比べ、約400μmと超厚膜システムとなった。

劣化促進試験は50年以上の耐久性を想定し、型破りの水準が設定された。冷熱サイクル試験(NTT法)はマイナス30℃を3時間、その後70℃90%RH3時間をワンサイクルとして600回繰り返す。耐熱水浸漬試験では60℃純水浸漬7500時間など、防食試験の常識を超えたレベルをクリア。 劣化促進試験からタワーバリヤーは計算上90年以上の耐久性能があるとはじき出され、少なく見積もっても50年以上は期待できると推定した。

タワーバリヤーは厚塗りできるように粘度が高く、高所での作業を考慮し専用の塗装機が開発された。開発には同社のSDセンターが関わり、塗料と塗装機の同時開発というユニークな体制となった。作業者が塗料のタンクなどを背負う限界は7‐8kg、軽量化とともにガスボンベまたは圧縮空気タンク、刷毛、塗装ノズルなど独自の工夫が施される。 開発された塗装機「タワーペインター」は想定以上の性能を発揮。上塗り350μmの厚膜が1回塗りでき、作業性を改善。ガスまたは圧縮空気や塗料タンクは現場鉄塔の下でサポーターが待機し補充、高所での連続作業がスムーズに行える。

現在タワーバリヤーシステムは四国電力の送電鉄塔で本格採用が始まった他、東京電力、北海道電力、沖縄電力、NTTドコモ九州でも実績が出ており、他の電力各社や通信各社にもプレゼンテーションが進行中。特許申請され、塗装機については実用新案も申請中。海外特許も申請する方針。

<解説> バブル崩壊後、公共工事費の削減により維持管理は必要最低限に抑えられてきた。しかしここにきて道路橋の想定を上回る劣化状況が相次いで明らかになり、国土交通省は10兆円規模の橋梁建替えを含む維持管理の予算化を計画するなど、メンテナンス市場が活性化する流れが本格化してきた。 一方、民間のプラント並びに鋼構造物の維持管理も盛り上がっている。エネルギーコストの高騰などを背景にメンテナンスコストを確保しやすくなってきているためだ。 特に送電鉄塔は全国で十数万基設置されているが、山間部などメンテナンスが難しい現場も多く、長期耐久性が求められる。今回開発されたタワーバリヤーシステムは実用耐久年数を50年に設定した初のシステム。LCCを体現した長期防食システムのニューフェイスとして注目され、社会資本を保全する手段として防食塗装の有効性をアピールすることができる。(芹沢)

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