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2008年04月24日

企業動向  技術

ケーススタディ・三基物産(新潟) ウルシ調の新意匠開発 地場産業密着で活路探る

三基物産(社長・高野義夫氏)は地場産業の活性化への寄与を通じて新たなビジネスモデルを構築しつつある。同社は新潟県燕市のエリアに立地、もともと地場の基幹産業である金属加工業とともに発展してきた塗料ディーラー。しかし世界的なブランドである金属洋食器や金属ハウスウェアは中国などの価格攻勢にさらされ厳しい状況にある。そこで同社は地場の異業種ネットワークを活用し、伝統にプラスしたニューデザインの提案を行って、活路を開こうとしている。

新潟県燕市は信濃川とその支流である中ノ口川、西川に沿ってロケーションし、古くから職人の町としての伝統を培ってきた。とりわけ金属洋食器、金属ハウスウェアの集積は全国トップ。広くアメリカ、ヨーロッパにまで輸出され、世界の"ツバメ"ブランドを確立している。
しかしライフスタイルの変化に伴って、国内需要は長期低迷時代に入り、これに追い討ちをかけるように安価な洋食器や金属ハウスウェアが世界マーケットを席巻し、地場産業は地盤沈下の状況にある。
三基物産はこうした地場産業企業に塗料を供給してきた関係から、低迷はダイレクトに響く。ここから生き残りをかけた同社の挑戦が始まる。


まず同社が注目したのは伝統として根付いた"モノづくり"の技。金属加工技術は幅広いテクノロジーを包含している。磨きの技術1つとっても世界に通用する高度な技術とそれを支える職人のスキルがある。
しかし伝統を守ることは保守にもつながる。事実、テクノロジーがあってもテクノロジーの複合化や相乗効果を狙った企業間の連携は少なかった。そこでコラボレーションによる伝統プラスアルファを模索した。
新しい意匠作りをコンセプトとして、金型からプレスまでの地元企業と連携し、これにコーティングを中心とした加飾をベースにニューデザインを創造する方向。


このために同社は昨年、自社内にクリーンルーム付きの塗装ラボ設備を導入。また地元のコーター(塗装専業者)である相久塗装、笹川塗装工業と連携し、クリーンコーティングでゴミの出ない高品質美粧塗装への対応を可能にし、量産体制を確立。
システムはこうだ。まず三基物産でニューデザインの試作サンプルを作成する。これを地元企業に提案。受け入れられれば量産の可能性をチェックした上で、コーターがフィニッシュを行う。課題は意匠の作り込みにある。


20080409-6-2.JPG クリーンルーム付きの自動塗装ルーム

培った調色技術をフルに活用し、伝統を超える意匠の創造に注力。そこから生まれたひとつが「日本の艶」。ウルシ成分を20~30%を加えたウルシ調塗料を使って、全く新しい意匠を創り出すことに成功した。地元では和をベースにした融合による刷新(Japanesque fusion-re-innovation)との評価を得た。
素材のステンレス食器はウルシによって新たな和のテイストを付与され、現代性を獲得した。ヨーロッパのショーに出展し、ジャパネスク・デザインとして脚光を浴びた。


こうした取り組みを通じ、同社も大きく変化した。デザインの視点からコーティング技術の新しい可能性を探る発想が社内に定着。更にサンプル作りによって工程開発のノウハウが蓄積され、社員のマインドは「自分たちは職人(モノづくりのエキスパート)」との自覚が高まる。「デザイン指向には正解がない。リスクもあるが、地場のテクノロジーと融合することで可能性が限りなく広がった。一番大切なことは時代の変化をきちんと受け止めること」(高野義夫社長)

コーティング技術が鍵 高野社長に聞く
20080409-6-3.JPG
全国的に地場産業の衰退が目立っています。

当社のエリアも例外ではない。国内需要ばかりか海外輸出も低迷し、廃業する企業も多い。しかし燕市は金属加工では全国トップクラスの伝統と技(ワザ)がある。今、これを新しい形で活用していくムーブメントが起きており、当社もこれに当事者として関与している。


方向性のポイントはなんですか。

伝統によりかかるのではなく、時代に即して刷新を図っていくことに尽きる。"新しい和"をベースにした意匠を世界に発信していくとの意気込みで取り組んでいる。


コーティング技術の刷新は。

これまでは受注生産に対応したコーティング技術。しかしこれからはニューデザインを通じた新たな需要創造につながるシステムを作り込む方向に転換しなくてはならない。そこで調色技術は素材を選ばず意匠を創造する手段となる。ウルシ調のコーティングばかりでなく、和の新しい世界を求めて調色技術を磨きたい。


サンプル作りのため塗装装置まで導入されましたね。

外部と遮断されたクリーンルームで、自動塗装することができる。ここではサンプル作成のスピードアップとともに、塗装のデータの数値化による安定した塗膜形成までをチェックする機能があり、多様化し変量化するロットの生産管理がスムーズになるメリットがある。


今後の展望は。

地場産業のポテンシャルをもっともっと引き出していきたい。そのためにコーティング技術が鍵になると考えている。


ありがとうございました。


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