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2008年05月13日

マーケット:国内

流通独自にダイレクト指向 塗料ディーラー、反転・攻勢の動き

バブル崩壊後の失われた15年で汎用市場は沈滞ムードが支配し、建築用・防食用・自動車補修用の需要はシュリンクを続け、臨界域を超えている。この間グローバル化の進展によって海外市場に向けた投資が活発化し、経営資源が海外事業に集中する傾向があった。しかしここにきて国内市場の抜本的な見直しが始まっている。「安定した国内市場が海外戦略を支える」(大手メーカー)との共通認識が強まっており、その一方で流通業の立場からの独自の巻き返しが起き、汎用市場の活性化に向けたビジネスモデルが続々と生まれている。流通の底力が試されている。

「メーカーの尻馬に乗っていては将来がない。マーケットに一番近いところにいる我々の機能を改めて見直し、市場創造できるモデルに作りなおしていく。そのためにはダイレクトマーケティングしかない」(地方の塗料ディーラートップ)と明解に言い切る。
そこにはモヤモヤしたあいまいさはない。塗料を基点とした事業スコープの方向性が描かれているためだ。


塗料ディーラーにとって卸売り体質からの脱却が長年のテーマ。業者への掛売りは時代とのズレを生み、回収リスクは経営を萎縮させてきた。経営資源の配分に関しても新規事業のための人材投資が後手に回るなど、メーカーの流通政策に追従するスタイルが目立った。
バブルが崩壊し、国内市場が成熟化する中で、突破口を見出せないばかりか、塗料ディーラーは企業力を低下させ、かつて全国で5000ほどあった拠点が3000台と約3割減少したと推計されている。これはディーラーが営業拠点の集約を図ったことと、小規模ディーラーの廃業の加速化が主な要因。需要シュリンク以上に塗料ディーラーの流通力は衰退している実態がある。

メーカーに頼らない
塗料ディーラーの反転・攻勢が始まっている。その契機のひとつがカラーワークスと大関の展開。カラーワークスは塗料の色彩をベースとした新ビジネスモデル。大関はプロを集客するC&C(キャッシュ&キャリー)の業態を確立。いずれもダイレクトマーケティングが貫かれている。


カラーワークスの画期性はソフトビジネスに塗料販売を組み込んだところにある。塗料の色彩といえばユーザーの言いなりに対応した調色機能しかなかった業界常識を打破し、色彩にこそ付加価値があるとの発想から事業を構築。しかし10数年前の業界には「色を売る」発想自体が理解されず、扱う商材を海外に求めざるを得ない状況であった。


カラーショールームを国内で初めて「カラーギャラリー」として立ち上げ、順次OZONEへの出展、そして現在の用賀ショールームへと至る展開。カラーワークスは自らの力でツールを開発するとともに人づくりをしてきたことが事業ベースを強固なものとした。インテリア業界のカラーワークス認知度は高く、主要なインテリア雑誌には必ずカラーワークスのクレジットが入るまでになっている。


大関はプロの塗装業者を集客するポイントを品質と価格に置く。"良品廉価"との姿勢を貫く。プロは施工用具(副資材)に独自のこだわりを持つ。その端的な例が刷毛。「刷毛目がいい」とよく口にするが、刷毛品質に向ける目は厳しい。大関は品質と価格を抑えるため中国でのOEM生産、更にはベトナムにまで委託先を広げてきた。
千葉、相模原、川崎、埼玉の4拠点の年間売上は約13億円。前年比2ケタ%以上の伸び。「既存店の売上の伸長が目立つ。当社の認知度が上がり、顧客が増えているのが要因」(鈴木政吉CEO)とコメントする。


カラーショールームとC&Cのビジネスモデルは塗料ディーラーの経営マインドに大きな影響を及ぼしている。その第1点は流通業の立場で独自の発展を目指すことができるとの確信。第2点として発想の転換。塗料を売る発想から「色を売る」「品質を売る」と経営思想を180度変えることで、ビジネスチャンスを呼び込むことができることを証明。そして何よりも社員のモラルアップに直結した点の評価。
カラービジネスは進化する。明豊は工業用から汎用までをクロスオーバーしたカラーショールーム「Color FANTASY」をオープン。ソフト提案の背景となる塗膜化するテクノロジーまで組み込み、幅広い顧客を囲い込みにかかる。生活者から工業ユーザー、更には異業種との接点作りまで想定する。「色彩から発想すればすべての業種、地域の一般客までを顧客化することが可能になる」(金子要社長)とのポジティブな戦略性を持つ。


汎用市場の低迷は既存ルートから見た場合にしかない。既存ルートの顧客の先の市場に塗料の持つソフト力などの要素を結集することで、市場のスコープが変わる。しかもストック市場は塗料・塗装のパフォーマンス性を要請してきており、フォローの風も吹き始めている。既存の塗料販売の枠組を自ら壊し、人づくりをベースとした新コンセプトでビジネスモデルを展開する動きが全国の塗料ディーラーに波及しつつある。


塗料流通の活性化はこれまでメーカーの流通政策の視点から語られることが多かった。それが製・販・装の三位一体のロジック。しかし市場の成熟化はそれぞれが独自のロジックを持ち、刺激し合う中から市場創造のスタイルを発見することを求めている。共通しているのはダイレクトマーケティングの展開。この方向での新しい連携が模索されている。(芹沢)


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