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2008年11月20日
屋根塗装の意外な落とし穴 毛細管現象に挑む(建築) 縁切り専用ツール「タスペーサー」
一般的に「カラーベスト」や「コロニアル」と呼ばれる着色スレート屋根材は、塗替え対象となる低層住宅のストック2,000万戸強のうち、実に800万戸ほどのシェアを占めていると言われる。住宅のプレハブ化の進展、また従来の本瓦に比べ圧倒的に軽量といった特質から、特に新耐震基準(昭和56年)以降急速な広がりを見せた。
こうした屋根材は通常、基材の保護と美装を目的に7-10年の周期で塗替えが必要とされている。一般的には洗浄-シーラー-中塗り、上塗りといった工程が組まれるが、最も重要な工程でありながら見過ごされがちになっていたのが「縁切り」工程だ。
これは塗替え工事によって覆われた屋根材の上下重なり部の塗膜をカットして適切な通気性を確保することを目的に行われる。もしこの作業を怠ると、屋根材のジョイントから侵入した雨水や生活から生じた湿気(内部結露)が屋根材の裏に留まり、雨漏りの原因になるばかりでなく、野地板や構造の腐朽と強度劣化を招き、ひいては屋根の崩落にもつながりかねないとても重要な作業だ。
縁切り作業は従来、カッターや皮スキを用いて塗装後の乾いた塗膜をカットし、「縁を切る」作業が一般的に行われていた。しかし塗膜の強度が高まっているため非常にカットしにくくなっており、また一旦仕上がった後の膜をキズつけたり、汚したり、屋根の急勾配化で危険が伴ったりと思いのほか困難な作業になっている。施主の目が届きにくいことからこれまではあやふやに済ませることも多かったが、施主側の情報武装化で決して中途半端に済ませられる仕事ではなくなってきた。
そこで、塗装業者の間で多用され始めているのが縁切り専用ツール「タスペーサー」だ。耐候性に優れたポリカーボネート製、4cm角大の同品をシーラー塗布後に屋根材の上下重なり部に挿入することで適切な隙間を確実に確保し、塗装終了後の面倒な縁切り作業から解放する。屋根塗装時の必須アイテムとして普及し始めたが、屋根の長寿命化を阻む大きな要因「毛細管現象」に対しても非常に有効であることが最近の実験によって明らかになった。
毛細管現象にも有効な縁切りとは
屋根材の裏に水が浸入する最大の原因は「毛細管現象」だと言われている。これは液体が狭いところに入ろうとする力が働き、重力に反して吸い上げられていく現象のこと。例えば水を入れたグラスにストローを差すと管と水との表面張力によって水が吸い上げられていく様子を見ることができるが、屋根材の上下重なり部分の隙間が狭いとこのような現象が発現し、屋根材の裏側に水が吸い上げられていく。
また、屋根材の横のジョイントから侵入した雨水も毛細管現象による横走りで拡散し、屋根材の裏は極めて水分リッチな状態になる。更に毛細管現象が働いていれば水分は排出されることなく留まり続け、屋根材を打ち付けている釘穴を通って野地板の内部や室内側に侵入し、住宅の寿命を縮める。
従って、屋根塗装時における縁切りには、単に通気性を確保するということだけでなく、そもそも毛細管現象を引き起こさないための適切な隙間長さの確保が重要な課題となっているのだ。カッターや皮スキで塗膜をカットするだけでは毛細管現象に対して十分な効力は期待できない。
タスペーサーの開発・販売元のセイム(茨城県守谷市、社長・倉持忠行氏)では、名古屋工業大学の宮野秋彦名誉教授(工学博士)の指導のもと、タスペーサーの毛細管現象への有効性実験をスタート。
実験では屋根材に見立てたガラス板で実物大の屋根モデルを組み、屋根材の上下重なり部の隙間長さと毛細管現象の関係をビジュアルに確認した。隙間長さが短いほど毛細管現象が著しく、隙間ゼロでは20-30cmも水が吸い上げられていくのに対し、タスペーサーを挿入すると自動的に2.5mmほどの隙間が確保され、たちどころに水を排出。住宅劣化を早める毛細管現象への有効性が改めて確認された。
同社では更に、建材試験センターの送風試験装置による実験で風速50mでもタスペーサーが飛散しないことを実証するなど、多方面から製品への信頼性を積み上げている。
「住宅の長寿命化、資産価値向上は社会的にも大きなテーマになってきている。非常に重要な部位であるにもかかわらず、これまで見過ごされがちであった屋根に対してタスペーサーの有効性が更に明らかになるとともに、屋根メンテナンスを基点に第2、第3のアイデア工法を開発していきたい」(倉持社長)と意欲的だ。
なお、同社では毛細管現象と下地の腐朽、それに対するタスペーサーの有効性をビジュアルにまとめたDVDを作成、期間限定で無料配布している(詳細は下記広告欄)。非常に説得力の高い映像のため、一般施主へのクロージングツールとして役立ちそうだ。
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