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2009年06月10日
プリント基板穴あけ天然潤滑塗料 大村塗料など3社、エントリーシート共同開発
プリント基板の穴あけ加工は、エントリーシート(ボード)と称する補助シートを治具として極小径ドリルで穴あけされる。IT機器の小型化や高集積化が進み、プリント基板自体の小型化・多層化が著しい。使われるドリルを微小化するのに伴って、ドリルが折れたり穴の位置がずれたりして生産効率を阻害するケースが多発していた。
こうしたネックを克服するため、エントリーシートが採用され普及。ドリルの振れを防止し、バリなどの発生を抑制するのが目的。かつては単層構造のアルミニウム板が使われていたが、現在は種類の違うアルミ板を組み合わせた仕様や樹脂などを塗布した潤滑層を設けた仕様などが採用されている。
しかし市販の潤滑剤塗布シートは高コストである上にリサイクル性がよくないなどの課題があり、技術革新が求められていた。
開発のスタートは片木アルミニューム製作所(鳥取県)、鳥取県産業技術センター、米子工業高等専門学校がエントリーシートの高付加価値をテーマに設定。その後中国経済産業局の新連携計画の認定を受け、大村塗料が新たに加わり共同開発を続けてきた。
開発のポイントは1)ドリルのガイド役としての最適な板厚と材質2)高い食い付き性3)高い潤滑効果4)冷却効果5)洗浄性の改善。鍵となるのは潤滑材の開発であった。
大村塗料はキチン・キトサンなど天然成分の塗料化技術を有し、大村社長自身も大手化学メーカーでバイオ研究の第一線に立っていた技術者であったことから、こうしたノウハウをベースにして天然樹脂カルナバロウを主成分とした水性塗料を開発。これをアルミ板に薄膜コーティングし、潤滑シート化する。これによってドリルの負荷を小さくする。
また工具の食い付き性も良好。アルミ素地に触れる前に柔軟な滑剤に突き当たることにより、ドリル先端の負荷が軽減されるばかりか、ドリル先端を適性に誘導する。
更に工具の熱を一瞬にして冷やす効果のある滑剤が表面にコーティングされているため、切削熱を低減する。塗布された滑剤は必要量溶解されドリルを冷却するのに加え、リード内を通り排出するまでにリード内部をコーティングし、切り屑の排出性を改善。排出に際し滑剤は脱膜性に優れているため、流水で洗い流すことができる。滑剤の主成分は水に溶解しないため、メッキ液への汚染を軽減。
OKシートはアルミ単層シートに比べて倍の寿命と精度がある。また市販の樹脂シートとの比較でも良好な結果が得られ、特に「ドリルがOKシートの柔軟な滑剤に着地することで、穴飛びが軽減される」など評価が高い。
国内で月間に使用されるアルミシートは10数万枚といわれ、OKシートの市場性は高いものと期待されている。簡単に洗浄できるメリットによりエコタイプのニューフェイスとして注目が集まっている。
今後OKシートの金属加工分野へのアプリケーションも進め、幅広い普及を目指す。
ニッチに特化した開発指向
大村塗料は鳥取県内で唯一の工業用ディーラー。自社内に研究開発室を有し、樹脂設計から開発する能力を有するユニークな業態。
大村社長は京都大学工学部で応用化学を専攻し、大日本インキ化学工業に入社。当時最先端であったバイオ研究の第一線に立った。ところが実家の都合で昭和57年に家業を継ぐことになる。
社長就任当初から開発型の企業を目指した。経営資源の乏しい中小企業である立場を逆手にとって、産学連携による開発スタイルとニッチ分野に特化する方向で、ユニークな製品開発を続けてきた。具体的には地元の蟹の甲羅から抽出される天然樹脂のキチン・キトサンを使ったコーティング材など。
「エントリーシートの場合もそうですが、我々の持つコーティング技術が生かせる分野が潜在的にも顕在的にもたくさんある。しかも大手企業のような組織的開発型ではなく、異なったテクノロジーを持つ同士が連携し、新しい技術を創造する。こうした方向を今後も追求していきたい」(大村社長)。
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