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2009年07月01日
再編の動き鈍く、淘汰不可避に 3-4月出荷底打ち傾向強まる
2008年度の月別出荷動向をプロットしてみると、7月に18万トン台を突破し前年同月比で約5%伸長した以外はリーマンショックの起こる9月までかろうじて前年水準で推移していたことが分かる。決して上半期が良かったといえる水準ではなく、むしろ10月以降の大幅な需要収縮のイメージが強過ぎるため「前半は良く後半は地獄」との感想が定着したものと思われる。
世界同時不況は業界収益を直撃した。前年からの原材料コストの未転嫁分を抱えながら、収益改善を図ってきたメーカーにとって、需要の収縮はそうした改善努力を水の泡としてしまった。
また、急速にグローバル化した市場構造はメーカーの固定費を膨らませ、鈍重な企業体質の足元をすくってしまった。大なり小なり海外事業の大幅な見直しに迫られているが、海外拠点のボトルネックを解消した時期での大不況で、スリム化は容易ではない。
メーカーの行動パターンは2つに分類される。中長期的な体質改善施策と緊急対応。「工業用需要の完全回復は1~2年先となる」との見方が主流のため、セグメント(市場分野)別の再構築が急務。緊急対応としては固定費の圧縮が生命線となっている。
固定費圧縮は既に販売管理にメスを入れてきた企業が多く、コスト削減は通常テーマとなっていた。しかし、今回の非常事態により再度根底から販管費項目のチェックが行われ、聖域とされていた研究開発費も例外ではなくなった。
共通した課題は売上原価、とりわけ原材料コストをどれだけ圧縮できるかがメーカーの明暗を分けそうだ。前年度上半期は原材料コストの高止まり、後半に入り溶剤を中心に軟化したものの、大なり小なり原材料の値上がり分を十分に転嫁できないまま非常事態を迎え、収益の足元を引っぱっている。
こうした中で大胆なリスト策を明らかにするケースも出ている。BASFコーティングスジャパンは今年末までに赤穂工場を閉鎖し、生産拠点を戸塚工場に集約、事業領域についても自動車用・二輪用、自動車補修用、コイルコーティング及び3C(コンピュータ、通信、コンシューマ・エレクトロニクス)分野に絞り込むと発表。
これに伴って正社員400人(うち80人が赤穂に所属)を230人とする。削減対象となる約170人はBASFグループでの異動による吸収、もしくは転職支援や希望退職制度のプログラムを実施する。
同社の場合、外資系ならではの事業ポートフォリオの最適化という命題の下、ドラスティックなリストラに踏み切る。同時にアジア太平洋地域全体の見直しから、日本拠点の新たな位置づけがなされている。
これに比べ国内メーカーの危機対応力は鈍い実態がある。中小メーカー間の互換生産から、不採算品の分離による委託集中生産が実施されているが、資本提携にまで踏み込んだ生産集約の動きは皆無。「オーナー経営にはM&Aはなじまない」(原材料メーカートップ)と緊急対応の性格が強い。その一方でメーカー全般の空気として「淘汰・再編は避けられない」との感度にある。
あるメーカーは国内の塗料生産から撤退し、全量を中国の合弁拠点に移す動きを示す。国内は非塗料分野の生産拠点のみとする計画。中国への生産シフトにより、コスト競争力を高める狙いがある。これに伴って流通・在庫体制を強化する。
今回の世界不況は産業構造を根本から変えるインパクトを持つ。一部国内回帰した製造業は一段の生産集約を進めており、再び海外シフトが強まろうとしている。このことは景気回復がそのまま塗料需要の回復につながらないことを意味し、国内市場そのものの変質が一気に進みそうだ。
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