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2009年07月30日

企業動向

水性塗装の普及には"マインド"変化から 久保井塗装工業所・窪井要氏(工業用水性塗料・塗装特集2009)

日本工業塗装協同組合連合会と日本塗装機械工業会が共同で発足させた工業塗装高度化協議会(会長・山崎秀雄氏)ではVOC削減に向けた研究活動に取り組んでいる。同協議会の環境技術分科会のメンバーとしてVOC削減に取り組み、自社でも水性塗装の経験を持つ窪井要氏(久保井塗装工業所)に水性塗装の取り扱い及び普及に向けたポイントを聞いた。

水性塗装が普及するためには、塗料の性能や塗装方法といった技術課題の前に、まず現場サイドのマインドが変わる必要がある。通常使用している溶剤塗料と全く同じと思っていたら使うことはできない。

当社では3年ほど前にプラスチックに1液アクリル樹脂系の水性塗料で塗装したことがあるが、当時の水性塗料はとても汎用的に使えるレベルではなかった。しかし、メーカーの開発が進み、現在の水性塗料は十分使用できるレベルにあると感じるので、後は顧客の要求事項との兼ね合いだ。それには塗装屋のモチベーションが推進力の中心になる。"違和感があるので使うことができない"では普及は望めない。

水性塗料を使用することの最大のメリットは環境にやさしいということ。具体的に言うと、VOC排出を大幅に削減することが可能になる。

東京都立産業技術研究センターの協力のもと環境技術分科会として実験したところ、吐出量2.4g/secで約20秒間吹き付けた場合、排出ダクトで計測されたVOC濃度のピーク値は、汎用メラミン塗料で270ppmCであったのに対し、水系アクリル樹脂系塗料ではわずか4ppmCしか計測されなかった。水性塗料を使用すれば、VOC排出量は飛躍的に削減できることは一目瞭然。たとえ法規制で排出基準が厳しくなったとしても、今までのダクト処理で十分対応できると考えられる。

また、溶剤塗料を使用している工場でVOC排出対策として燃焼設備を導入する場合、導入費で数千万円、ランニングコストでも数百万円もかかることが予想される。これだけのコストは塗装業者にとっては大きな負担。そのため、例えば使用する塗料の一部でも水性塗料に置き換えることができればコスト低減は可能になるはずだ。

溶剤塗装と比較し、水性塗装で全く同じ性能や特性を求めること自体に無理がある。ではどうやって導入するか。まず顧客の要求品質を見直した上で、水性塗料を使用して作業性や仕上がり外観、VOC削減量を考慮して要求品質を検証する。目標を達成するまで、テスト→検証を繰り返すことが重要だ。

これから環境保護の法規制はますます厳しくなることが予想されるし、社会的にもその流れが強まっている。実際に当社にも顧客から、「塗膜中のVOC残量を○○以下にしてもらいたい」といった要請が来ている。それに対応するには水性塗料でしか達成できないので物性テストに取り組んでいる。

業界としては、エンドユーザーに積極的に関わっていき、環境保護のためにコストを支払うという意識を持ってもらう仕組みづくりも必要なのではないか。 (談)


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