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2009年08月03日

企業動向

BCJ・赤穂工場、関ペに売却 生産体制の抜本的再編急務

かつて最新鋭といわれた赤穂工場が売却される。いちメーカーの生産集約の動きを超え、業界全体の生産体制の限界を象徴した形。マーケットの大変動は生産品目とその生産プロセスを直撃し、高い製造原価にメスを入れない限り、縮小する国内市場への対応で後手に廻りかねない懸念がある。

BASFコーティングスジャパン(BCJ)の赤穂工場が関西ペイントに売却されることで基本合意したと2日、両社から発表された。これに伴って05年に開始した同工場で生産している船舶塗料受託製造に関しても関西ペイントに譲渡される予定。
BASFコーティングスジャパンは09年末までに生産を本社のある戸塚工場に集約し、コア事業として自動車用塗料、二輪用塗料、自動車用補修塗料、コイルコーティング、3C(コンピュータ、通信、コンシューマ・エレクトロニクス)分野に集中し、事業基盤を強化することを明らかにしていた。
同時に、赤穂工場に関しては売却の方向にあった。同工場は日本油脂が三国工場の代替として、最新鋭工場として建設。原材料を上から下へフローする生産プロセスとともに、全工程をコンピュータで集中管理するシステムを導入するなど、当時としては革新的な生産設備を誇っていた。


一方の関西ペイントは西日本の拠点工場として、尼崎工場と小野工場があり、小野工場に関しては土地の余裕があるため拡張が可能。しかし、尼崎工場は市街地に囲まれ、事実上、生産活動を将来にわたり継続することが困難な事情があった。中長期的展望の立場から、西日本エリアの中核拠点として赤穂工場を取得したと見られる。
また、関西ペイントは07年4月1日付で船舶塗料販売の合弁会社・NKMコーティングスのBASFコーティングスジャパンの持分50%の株式を取得し、NKMを100%子会社とした。その後も引き続き、船舶塗料の主力製品の生産は受託という形で赤穂工場で生産してきた。赤穂工場の閉鎖方針は安定供給確保の上からも、代替する生産拠点を用意することに迫られていた。
今回の両社の基本合意に基づき、売却が完了するのは2010年1月とBASF側は見込んでいる。売却額に関しては非公表。


島崎アレハンドロ社長(BASFコーティングスジャパン)は「両社の合意は船舶塗料の受託製造における関西ペイントと当社の長年の信頼に基づくものであり、赤穂工場が製造活動を継続できることを大変嬉しく思います。当社はコア事業に集中することで、お客様に対しより良いサービスを提供できると確信しています。日本市場及びお客様を重要視しており、今後も継続してお客様を成功に導くべく、サポートして参ります」とコメント。
◇赤穂工場(兵庫県赤穂市西浜町980-1)、敷地面積100,000m2

高コストの圧迫

世界的不況下、塗料生産は工業用を中心とした大幅な需要縮小から、工場稼働率は40%台と採算ラインを割り込んでいる。工業用中心の生産ラインでは30%の拠点も出るなど、深刻な状況に陥っている。
しかも工業需要が不況前水準に戻るのは2~3年先との見方が主流。戻ったとしても70~80%水準と厳しい。ユーザーである自動車、電気機械関連は一層アジアシフトを進める方向にあり、工業需要の先細りは避けられない。


このことは当然、国内の塗料生産体制のリストラクチャリングも不可避となることを意味する。単なる互換生産のレベルから踏み込み、生産品目の統合、最適地生産、共同流通センターの方向までを視野に入れる必要がある。
また、この危機的状況は高コスト体質から抜け出すチャンスでもある。既存の塗料工場は長期低迷から旧型の生産ラインでしのいでいるケースが多く、多品種・小ロット化に加え変量生産が増大し、これを人海戦術で対応してきたのが実態。これも限界に近づいている。
とはいえ生産体制の集約は困難が伴う。自動車用塗料のようにOEM性の高い生産拠点はユーザー工場に隣接してロケーションしており、稼働率が低くても集約できない。また、汎用品のように品種が多く、調色加工を伴うものは抜本的な品種統合がない限り、集約しても合理化にはストレートにつながらず、物流コストの問題も絡んでくる。


メーカー間の互換生産は全塗料生産量の約1割台で、目立って増える傾向を見せていない。不採算品を委託製造に回す発想から出ておらず、統合効果によるメリットが少ないためだ。むしろ採算品目こそ集約して1極集中生産し、共同物流で相乗効果を狙うくらい変えていかないと、いつまでも小手先の対応でジリ貧となる。
もっと大胆な方向では、開発とマーケティングに特化した塗料メーカーが増えてもよい。ファブレス(生産施設を保有しない)、製造小売の業態。その代わり徹底したマーケットファースト指向と連動したスピーディな開発の仕組みを内在化させる。ユニクロのファーストリテイリングのような形態。塗料メーカーの中には数社がこうしたスタンスをとっているが、集中度がまだ甘い。
今回の赤穂工場売却は、トウペの岡山工場を大日本塗料に売却したのに次ぐビッグプロジェクトになる。生産再編の背景には業界そのもののリストラの足音が聞こえている。


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