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2009年09月25日

マーケット:国内  企業動向  技術  環境  行政・団体

高反射率塗料、JIS化に向け本格始動 明度基準、暴露試験素案を策定

高反射率塗料の製品JIS化に向けた動きが本格的に始動した。既に日本塗料工業会ではメーカー、使用者、中立的第三者を交えた"プレ委員会"でたたき台となる素案を作成。9月2日に第1回目のJIS原案委員会が開催され、素案をベースに約1年をかけJIS化に向けた検討を進めていく。順調にいけばJIS化成立は平成23年秋頃のスタートになると見られる。

日塗工がまとめた平成20年度の高反射率塗料のメーカー出荷量(19社)は、対前年度比15.2%増の4,515トンと4,000トンを突破した(※平成19年度は調査企業18社)。内訳は建築が15.3%増の4,305トン、道路用は1.9%増の163トン。全体の塗料シェアからみるとまだわずかに過ぎないが、塗料需要全体が低下傾向を見せる中で、依然として高い伸長率を示しており、高反射率塗料に対する社会的注目度は需要増という形で着実に現実化していることがうかがえる。
今回の製品JIS化は、高反射率塗料の性能を客観的データによって定義化し、環境技術として社会に訴求していく上で不可欠な品質規格との位置付けで進められている。40製品~50製品流通していると言われる遮熱塗料市場は、セールストーク先行の市場になっており、消費者、需要家に対する不当表示の懸念も指摘されている。そのため、JIS化を契機に健全な市場へと成長させたいとのコンセンサスがある。


JIS化に向けて、最大の課題となっているのが、太陽光の反射率が性能の要(かなめ)となる高反射機能と多様な色彩領域を持つ塗料特性をどう絡めて定義化するか。色相によって反射率が異なるだけにボーダーラインの設定に関心が集まっている。
そこでプレ委員会で素案としてまとめたのは、近赤外線領域で日射反射率(%)を明度(L値)との関係でボーダーラインを設定するというもの(図参照)。全波長領域での対象にしなかったのは、可視光領域の影響を受けやすく、一般塗料との明確な差を見出しにくいことが理由。素案ではボーダーラインより上の塗料を高反射率塗料として定義することを定めている。また茶色や黒といった濃彩色においては明度L値40%を下限とし、それ以上の明度においてはY(日射反射率)=X(明度L値)とした。


これはあくまでも素案のため、今後のJIS原案委員会の成り行きによって変動の可能性を残しているものの、この基準が策定された場合、日塗工などが事前に行った製品テストでは61製品中14品が規定から外れることが判明。「健全な成長を図る上で、厳しい姿勢で臨んでいる」(日塗工製品安全部部長・和田英男氏)とコメント。機能を担保する規格だけにかつてない高いハードルが設けられることが予想される。また一方でメーカーの開発力の底上げも必要となっている。
また、一般塗料との差を見出しにくい白色の高反射率塗料の定義化は、議論の余地を残している。素案規準ではL値90で日射反射率90%以上という性能規準。製品テストではすべての製品がこの規準から外れていることから「白色そのものは一般塗料、高反射率塗料問わず、日射反射率が高く性能が良いことは分かっている。そのため白色の適用は対象外とする考え方もある」(和田部長)との見方もある。

経年変化に着目、暴露2年を策定

プレ委員会では、明度による日射反射率の数値を定義化した一方で、経年変化による性能の変化においても考慮した。塗膜の汚れや退色、劣化が日射反射率に大きく影響するため、暴露下における日射反射率の変化に着目。素案では暴露試験2年を義務付け、「日射反射率保持率」という基準を設定し、2年暴露後の日射反射率保持率80%以上を要件とした。つまり初期塗膜の日射反射率が80%の場合は2年暴露後64%以上、50%の場合は40%以上の確保が必要となる。
既に遮熱塗料を含めた高反射率塗料は屋根向けを主力に、外壁、道路・舗装用と用途の幅を広げつつある。更に工業用分野でも高反射率性能を生かした製品開発が進み、環境技術としての需要家の期待は高まってきた。


ただし、今回のJIS化は屋根向けを目的としており名称も「屋根用塗料JIS」(未定)となる予定。そのため一般屋根用塗料に対するJIS化も同時並行で進められることになり、1種、2種を設けることで高反射率塗料との区分けをすることも想定されている。そのため、耐候性などの基本的な塗膜性能に関するJIS規格も設けられることになる。
今後課題として残しているのが、JIS申請の実務的問題。製品JISとは言え、各色相ごとに申請を求めるのは現実的に難しい。「消費者に分かりやすく、かつメーカーに対して負担のないようにするべきだと考えている」(和田部長)としており、調色品の扱いも含めて、今後JIS原案委員会で議論を詰めていくと見られる。


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