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2009年10月09日
塗料と植物を融合、緑化資材製法に革新 「モスコート」開発 タクボエンジニアリング
近年、ヒートアイランドの抑制、断熱性の向上による省エネルギー化、景観の改善などを目的に屋上や壁面を緑化する建物緑化が活発化している。特に都市部を中心とした建物の新・増改築に伴う緑地面積確保の条例化、工場立地法改正による屋上緑化や壁面緑化の緑地面積への算入など行政の後押しもあり、平成12年に12万4,000m2だった建物緑化面積は平成17年には128万3,000m2と10倍以上に膨らんでいる。
現在、さまざまな土壌基材が開発され、匍匐(ほふく)性の植物などで緑化がなされているが、荷重による構造への負荷、生育にかかる手間、灌水や剪定などのメンテナンス、風対策、高コストなど課題も多い。
今回、同社が開発した緑化用建築資材製造のコーティングシステム(名称:モスコート)は、スチール板などの基材に無機塗料を塗布し、その上にスナゴケを静電植毛の技術によって緻密に散布。更に無機塗料を塗布してスナゴケをバインドし、基材上に固着化して緑化パネルを製造する。
ポイントはスナゴケの生育に適した無機塗料の開発。植物の呼吸を妨げないようオングストローム単位の微細孔が連なるポーラスな構造をしつつ、基材への密着力、スナゴケの固着力に優れた無機塗料を日板研究所と共同で開発した。「コケを育てる世界初の無機塗料」がキャッチフレーズだ。
一方、緑化に用いるスナゴケは他の植物のように土壌を必要とせず、無機質で乾燥した基質で生育する特質がある。自重の約20倍の保水力を持ち、大気の乾燥に対して体内の水分を蒸発散することで冷却効果が得られる。乾燥しても仮死状態となり、水を与えれば再生する生命力の強い植物で、灌水、施肥、除草などの手入れも不要。固着させれば雨水だけで生育するためランニングコストもかからない。
同社では現在、防錆スチール板にモスコートを施し、折板など工場や倉庫の屋根上に敷設する緑化パネルへの応用を検討中で、大手鋼製メーカーなどと製品化に向けた協議に入っている。
この屋根カバー緑化パネルを敷設した場合、屋根の表面温度は20-30℃低減し、水分蒸発散によるヒートアイランド抑制、熱遮蔽による建物内の環境改善、省エネルギーなど、「植物の日傘で建物を覆っているのと同じ効果」(佐々木栄治社長)が得られるという。また、植物の炭酸ガス同化作用によりCO2の吸着・固定化も期待できる上、心安らぐ緑の屋根で景観も改善される。
スナゴケは乾燥すると薄茶色になるが、同社では無機顔料でスナゴケを染色する技術を合わせて開発。より植物らしさを感じさせる緑の他、赤や黄色など他の色の染色も可能で、カラーデザイン上でも可能性を広げた。
今回、スナゴケの固着及び生育環境をコーティングによって実現したことで、緑化資材製造方法の概念を大きく変えた。現在、屋根や壁面などに設置するためのさまざまな建築緑化用ユニットが開発・販売されているが、植物に合った土壌基材の組み込み、灌水対策、強風対策などユニット化のための手間やコストから導入への垣根はまだまだ高いのが実態だ。
これに対してモスコートの場合、コーティングのみという極めて簡便な方法で緑化資材を製造できることから製造手間やコストを抑えられ、汎用性が一気に高まる可能性がある。金属パネルの他、スレートやコロニアルなどの窯業屋根材、樹脂製品などへのコーティングも可能で、さまざまな建築資材への応用展開が期待できる。
緑化植物の固着及び生育を塗料とコーティングによって実現するという斬新な発想から新たな技術が誕生した。同社では、モスコート採用1m2当たりインドネシアに木を1本植える植林権を付与する仕組みも検討しており、環境貢献事業として育成していく考えだ。
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