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2009年12月16日

マーケット:国内  企業動向

マスキングテープが新たな市場創出 発想転換が女性の感性を刺激

カモ井加工紙(本社・岡山県倉敷市、社長・鴨井尚志氏)が女性の普段使いのアイテムとして発売したカラフルマスキングテープ「mt」が大ブレイクしている。塗装用など産業資材のひとつとしてしか見られなかったマスキングテープに色と柄の要素をプラスしただけで女性の感性を刺激。便利でかわいいグッズとして新たな市場を創出している。
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塗料・塗装業界では当たり前のように使われているマスキングテープ。仕上げを美しくするためには欠かせない養生アイテムだが、産業用の視点ではそこから広がることはない。ところが女性の感性を通すと全く異なった世界が広がってくる。 簡単に手でちぎれ、貼って剥がせてノリ残りしない。表面に文字や絵が書き込める。光に透ける和紙特有の色合いは柔らかく、テープどうしを重ねると思いがけない色合いが出現する。機能的な便利さと可愛さを兼ね備えた普段使いのアイテムとして思わず使ってみたくなるのだ。

利用方法は実に多彩。「キッチンにある使いかけの食材の袋も簡単に封ができ、何度も開閉できるのでとても便利」「料理のレシピもテープで壁にピタリ、無雑作だけどなんだか絵になる。手でちぎったビリビリ感もいい」「ブルーはお父さん、オレンジはお母さん、ピンクはわたし。家族で使うカレンダーはそれぞれの色を決めてその上に予定を書き込む。みんなのスケジュールがひと目で分かるし、家族だけのカレンダーにつながりの深さも感じる」「子供のお誕生日会、カップやフォークにテープで目印。名前を書いたり色を分けたりすると誰のものかすぐに分かるし可愛い」。他にも手帳のスケジュール管理、本のマーキングなどアイデアは無限に広がる。 ギフトでも大活躍だ。ラッピングでの利用はなんとなく想像できるが、「封筒の宛名のあしらいにも利用。無地の封筒ではそっけないけど、住所や名前をテープに書いて貼れば手づくり感のある心のこもった手紙に。貼る位置や色の組み合わせを考えるのも楽しい」と発想に制約はない。

更にアートの世界。簡単にちぎれて、貼って剥がせて色も多彩なマスキングテープ。コラージュ(糊付け絵画)にはもってこいだ。ブックカバーやしおり、ギフトカード、お気に入りの小物などなど、どんなものにもちょっとしたコラージュをあしらえば手づくり感あふれるオリジナルグッズの出来上がり。壁のポスターも四辺をマスキングテープであしらうと簡単に額装になり、無雑作さが却ってオシャレを演出。部屋の壁をキャンパスに見立てて子供たちにテープで自由に絵を描かせてもいい。知育だけでなく家族の大切なインテリアとしても成立する。カラフルマスキングテープ「mt」を使ってこんな世界が広がっているのだ。

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同社が「mt」を発売するきっかけになったのはある3人の女性の要請。「元々一部の女性の間ではホームセンターなどでマスキングテープを入手してコラージュづくりに使っていたらしいのですが、市販品だけでは色が少なく不満を感じていたようです。そうした愛好家の3名の女性から『もっと多彩な色を揃えてくれないか』と要請があったのが始まり。それまでの産業用途では使用特性に合わせた粘着性の研究開発には力を注いでいたものの、テープの色を開発するなどという発想は全くなかった。手間もかかるし生産ロットも小さく不効率だし、当初は断るつもりでした」(同社・谷口幸生常務)と当時を振り返る。 しかし彼女たちの情熱は「頭の固い産業材メーカー」(同)の同社を突き動かす。「後日、彼女たちから"マスキングテープのミニ本"が送られてきたのですが、そこにはカラフルなコラージュや写真、便利でかわいい普段使いの事例など、マスキングテープ=産業材との概念を突き破る予想外の世界が広がっていました。多くの女性の感性に訴求する何かがあることを感じ取り商品化を決意した」と経緯を語る。

素材である和紙は色が沈みやすく、季節や湿度によっても出てくる色が異なるため「これまで経験したことのない」苦労の連続。それでも彼女たちから要望のあった淡い色、渋い色など20色を忠実に再現。萌黄、薄藤、銀鼠など日本の伝統色からセレクトした色名のカラフルマスキングテープ「mt」が誕生した。 当初は雑貨のアンテナショップやギャラリーカフェなどの店頭、コラージュ展示会での即売などで試験的に販売したが、いずれも「予想以上の売れ行き」。更に"こんな商品を待っていた"というように女性向けのメジャーな雑誌や媒体がこぞって取り上げるなど人気が加速。そして2008年に出展した東京ビッグサイトのギフトショーで火がついた。「ブースでは昼食にも立てないほどの人気」で、小売業態のバイヤーが多数訪れ即商談、取引開始までのスピードは速かった。

東急ハンズやロフト、世界堂といった大手小売を始め、全国各地の文具店、雑貨店などに瞬く間に浸透。色や柄を更にラインアップし、パッケージデザインもかわいさを訴求、「いずれの取引先様も従来あった物の代替ではなく、全く新たな需要ということで力を入れていただけ売れ行きは好調」で、本格発売からわずか2年足らずの間に同社年間売上の1割に達するまで急成長した。その出荷額から大雑把に換算すると年間20億円程度の新たな市場が創出されたことになる。しかもマスキングテープという小額かつ単品のアイテムでだ。「発想を変えるだけでこれほど急成長することに我々自身が一番驚いている」と谷口氏。

「mt」のホームページではユーザーがさまざまな「mt」の使い方を披露するコンテンツが人気。ユーザーどうしが刺激されながらアイデアは際限なく広がっていく。「当社にとっては新たな商流の発見につながる宝の山」(同)。「男のmt」、インテリアシーンや建築デザインとしての「mt」、更に海外でもブレイクする気配を見せるなど近い将来同社の主力事業に育ちそうな勢いだ。 ちなみに、感度の高い塗装店では住宅塗り替え工事の際の近隣あいさつで「mt」をノベルティーとして活用。「タオルなどより気の利いた品物」として大好評だ。


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