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2009年12月18日

マーケット:国内

塗料はネット販売に向いている 年商数億円のサイト複数出現

インターネットによる塗料の販売が目立ち始めている。かつては「塗料は半製品だからネット販売には向かない」との通念が支配的であったが、それに反して年商で数億円を売り上げるサイトが出始めてきた。実店舗にはない利便性とダイレクト性が需要を発掘している形だ。反面、価格競争など比較購買が容易なネット販売ゆえの課題も既に浮上。塗料ネット販売の現状を取材した。

2008年度の通信販売の売上高は推計4兆5,000億円。このうちインターネットによる販売が約2兆2,000億円で06年にはカタログ通販を抜き通信販売市場のトップに。07年には小売業販売総額に対してインターネット販売の比率が初めて3%を超えた。
一方、15歳以上のネットショッピング利用者の割合は、平成13年は10.5%と10人に1人の割合であったのが、平成18年には24.4%と2倍以上に上昇、4人に1人が利用しかつ購入頻度も高まっている。急速に成長しているこの大きな商流の中で近年、塗料の販売も目立ち始めた。


現在、塗料販売専門のショッピングサイトは20-30ほど見受けられるが、その運営者のほとんどが塗料流通業者。自社サイトでの運営の他、7-8社は楽天やヤフーなどのインターネットショッピングモールに開設、注力している様子がうかがえる。
このうちの数社に取材をしたところ、月商2,000万円を筆頭に1,000万円、500万円をコンスタントに売り上げるプレイヤーが複数現出。「塗料は半製品で、仕様や用法も複雑だからインターネットでは売れない」との概念はもはや過去のもので、いち塗料販売店の事業として立派に成立し始めている。
早いところでは7-8年前にショッピングサイトを開設しているが、動機については「売上の補完、現金商売の魅力ということもあるが、それよりもむしろ新たな販路の開拓や業界がこれまで行ってこなかった生活者市場へのアプローチなど、従来の業態の閉塞感を打破する新たな可能性を探りたかった」と口を揃える。いずれも「ネットで塗料が売れるのか?」と半信半疑でのスタートであったが、eコマースに必須のクイックレスポンス、商品の選択や見せ方、メールや電話によるHOW TOの指導などきめ細かな対応と経験によるノウハウを積み上げることで着実に売上に反映、事業として成り立ってきた。


客層は生活者と業者に大別されるが、いずれも生活者の比率が高い。業者に関しても塗装店などのプロは少なく、工務店やリフォーム会社、賃貸管理、塗装以外の専門職種などセミプロが主流。「塗装店などのプロは値引きの要請が強い」ので敬遠する方向。
売上増の要因のひとつとして「ホームセンター(HC)に流れていた客層の吸引」を挙げる。
まずは品揃え。実店舗に比べバーチャル店舗の方が多彩にラインアップできるメリットがある他、ワンストップショッピングの利便性は格段に上。店頭には決して置かれないマニアックな商品でも手に入れることができる。また、ある程度の金額を超えれば送料もかからず、わざわざ車で出掛け重い一斗缶を積んで帰ることに比べれば遥かに楽。更にHC店員の要領を得ない説明に比べ、塗装方法など専門サイトならではの詳しい説明が展開されており塗装への不安も軽減できる。「塗料はネット販売に向いている」というのが共通した認識だ。


更に地方など近場にHCがない地域、購買のための行動を億劫に思う層などに対して垣根を低くした他、「以前購入して頂いた方のご近所から相次いで注文が入るなど、明らかに口コミしてくれているのが分かるケースも多い」など、潜在需要の掘り起こしも売上増の要因。売れ筋の外部木部用を筆頭に屋根用、外壁用、内装用など幅広い用途が売れている。「景気低迷、所得減によるセルフメンテも増えているが、一昔前とはライフスタイルや意識が変わり、色やデザインによる空間演出、ペイントという行動そのものを楽しむ層も見受けられる」とのコメントも聞かれる。
ただこの商売、決して楽なものではないようだ。顔の見えない取引だけに信用がすべてで、受注確認、発送予定、発送済みなどの連絡、問い合わせへの回答などクイックレスポンスが最重要。売上の多いサイトでは「1日に400~500通のメールを送信」と非常に手間がかかる。更に季節やイベントに合わせたプロモーション、新商品ラインアップやページの更新など常に新鮮さを演出する工夫もいる。


加えて最近では価格競争も激化してきた。当初こそ希望小売に近い価格帯で粗利も充分に確保できていたが、比較購買が容易なネットの宿命で価格が下落。反面、売上の増加とともに専属のスタッフを3名、4名と配置しなければならない他、ページ更新費用、ショッピングモールへのロイヤリティ、カード決済の手数料など諸々の固定費も嵩み「営業利益段階では従来の本業と変わらないレベルになってきており、何のためにやっているのか分からない。いかに価格をキープしていくかが大きな課題」との局面に差しかかっている。
このため価格に左右されない顧客の発掘と囲い込みを行う商品戦略、イメージ戦略などに工夫を凝らす。「比較購買されるのはマテリアルとしての塗料を売っているから。今後は感性やライフスタイルに訴求する異なったアプローチが必要。その方向での需要開発がネット販売の本来の目的」とある経営者はコメントする。


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