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2010年02月05日
技で拓く‐塗装店の挑戦‐ 会社の空気が良い職人を育てる 住宅塗り替えで業績急伸 ミヤケン(群馬)
宮嶋社長は現在32歳。18歳で塗装職人の世界に入り、22歳で独立、創業した。「当時はとにかく、野丁場の大きな仕事がしたかった。ゼロベースからのスタートだったため、タウンページを片っ端からめくり、建設会社や塗装会社に仕事を依頼。しかし回ってくるのは曾孫受けや、そのまた下の仕事で、金額的にかなり厳しく、納得のいく仕事をすればするほど赤字に。良い仕事をしたいという職人としての想いと、重層下請の限界というジレンマを嫌というほど味わった」と振り返る。
転機が訪れたのは5年ほど前だ。懇意にしていた塗料メーカーから「個人住宅の塗り替えをしてみないか」と声をかけられたのがきっかけ。野丁場志向が強かったため正直なところ住宅塗装にはあまり関心がなかったが、「実際にやってみると、自分の仕事に対してお客さんの喜ぶ顔が直接見える世界がそこにあった。重層下請けの中では決して味わえなかったやりがい、職人としての根源的な喜びに触れる仕事」であることを実感。
同時に、自身が感じたような喜びややりがいを「同じ職人である社員も共有できるはず。社員がやりがいを感じて働ける会社は絶対に強くなる」との確信を胸に、住宅塗り替え事業へと大きくシフトチェンジした。
職人の心を伝える
事業展開に当たり同社が核に据えるのは「職人の心」。「職人は基本的に丁寧な仕事がしたい、納得のいく仕事がしたいという想いがベースに流れており、丹精込めた仕事が評価された時、この上のない喜びややりがいを感じる人種。社員が納得のいく仕事ができる会社にする」との思いをベースにした。
この「職人の心」でつながれた同社からはチームワークの良さ、一体感の強さがひしひしと伝わってくる。社員は現在17名。うち、営業やスタッフ部門を除く10名が職人で、「けた外れによく働く」と宮嶋社長に言わしめるほど、とにかく働く。
朝は職人全員で積み込みを行い、担当の現場が早く終われば他の現場に助っ人として駆けつけ、帰社後には夜の8時、9時まで残ってその日の現場レポートを職人自らブログにアップ。
また、「何をすればお客さんの満足度が高まるか」を話し合う改善ミーティング、マナーや会話のロープレ、先輩が後輩に技術指導を行うなどの活動が日常の風景として根付いている。
もちろん現場ではプロとしての本領をいかんなく発揮。「当たり前のことを普通にやっているだけでは駄目。お客様に感動を与える仕事をするのがプロ。良いと思ったことは全部してあげてくれ」との宮嶋社長の指示が末端まで浸透し、誰も見ていなくても細かいところまでこだわった職人気質の仕事を妥協せずにやりきる。
更に、朝夕の現場周辺の掃除の徹底、近隣あいさつなど「礼儀正しく、説明も適切で仕事が丁寧。そこまでやってくれるのか」との施主の評価を引き出し、「感動を与える仕事」が具現化。地域密着展開の最も大切な要素である「信頼」を醸成し、100万円以下が相場の地方市場にあって「当社受注物件の8-9割は150万円前後の高額受注」を可能ならしめている。
会社の空気が自主性を育む
同社の強みは、こうした社員ひとり一人の行動が自主的、能動的に導き出されている点。「やらされている仕事」の何倍もの効果を引き出す。ポイントは宮嶋社長の言う「会社の空気」。
常に心がけているのは「皆が自然体でいられる会社」。元々の性分ということもあるが、「嘘や隠し事、言い繕いは大嫌い」。ネガティブな気持ちを引きずり、自然体でいられなくなるためだ。「ミスをしてもその場でスカッと叱り、叱られ、後に引きずらない。嘘や隠し事のない自然体が自分も社員も結局いちばん楽」と説明する。
自然体でいられる居心地の良さ、「職人としてのやりがい」を感じられる仕事、一緒に会社を成長させたいというビジョンの共有、社員の家族にまで気を使う包容力など、宮嶋社長やミヤケンという企業の求心力が強い一体感を醸成。社員の貢献の何よりの誘因となり、「会社の空気で良い職人になる」と言い切る根拠となっている。
社員自ら高めあっていくこうした「社風」が無形の価値となり、地域市場や施主の「信頼」に訴求。現在、月間10棟以上の元請物件をコンスタントに受注するなど業績が急伸。口コミや紹介、HP、チラシの他、トークポスティングや住民参加型イベントの開催など営業手法を連携、地域の同業者が「ミヤケンさんの勢いは別格」と言うほど受注を伸ばしている。
また、自社元請の一方で塗料メーカーの協力会社としての仕事、生協関連の需要を抱え経営を安定化。更に「品質にこだわりを持つビルダーや不動産企業とのコラボ」も視野に入れ経営安定化のための新たな仕掛けを行う。
宮嶋社長は「元請が善で、下請が悪といった一義的な考えはない。塗装職人専門店としての当社の価値が認められる仕事が基本」とのスタンスの中でバランス経営を目指す。
「まだまだ会社を大きくしたい」と意欲的。そのためには「多店化も必要」と見ており、「1拠点3億円のスキーム」も見えてきた。ただそのためには「成長の鍵となっている社内の一体感をいかに標準化するかが課題」と先を見据えている。
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