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2010年03月08日
147万トン、過去最大の陥没 一気に31年前規模に縮小
メーカー各社の見通しは国内市場の回復に関して悲観的な見方で一致する。危機前の年間200万トンの水準に戻ることはなく、回復したとしても8%しか持ち直さない、つまり160万トン台が回復ラインとの見方が強い。2009年の生産数量レベルは147万トン台であるから、13万トンの上乗せができるだけ。
この見通しを前提とすると、塗料の生産は採算を大きく割り込むことが火を見るよりも明らか。余剰生産設備を抱え込むことは固定費圧迫のみならず企業収益の重石となり、損益分岐点を押し上げることにつながる。大手メーカーばかりでなく、メーカー各社の構造改革の基幹テーマである生産体制の抜本的な見直しの背景となっている。
塗料の生産・加工プロセスで調色工程が占めている割合は大きい。インライン調色にしても、SS(調色工場)での調色も製造原価を上昇させる要因となっている。近年の傾向として多品種変量の小ロット対応が増加し、調色効率は低下、その分コスト増にはね返る。この悪循環を断つため、全自動CCMラインを導入するケースもあるが、全般的に普及している段階にはない。初期投資がかさむためだ。
生産体制の見直し、再編と同時テーマが品種統合。1メーカーで3‐4万品種を抱え込んでいるケースも。不採算品種は外部委託生産の逃げを打ってきたが、なかなか廃番にできないでいた。売れている品種は不採算でも廃止しにくいというお家事情。しかしそんなことを言っていられる状況ではなく、統合は危機前から進んでいる。
そしてここにきて一気に抜本的な品種統合を迫られている状況にある。不採算品種の廃止といったレベルではなく、アクリル樹脂をバインダーにしたシリコン系、ウレタン樹脂をバインダーにしたフッ素系など、派生的な品種の品揃えを横並びでラインアップしてきたことの反省がある。バインダー技術を基本とした技術競争ではなく、モディファイの技術といった面ばかりが目立っていた。こうした体質が品種をむやみに増加させた。
その意味で技術力の基礎が問われているともいえる。品種をスリムにスマートにし、競争力のある新しい体系に変えるメーカーが生き残る可能性を持つ。
しかしその一方で今回の危機は需要構造を大きく変化させる。自動車用など工業用OEM塗料に関しては回復する見通しが立たない。確かに昨年12月あたりから回復の気配があり、前年比で80‐90%の水準に戻ったとの指摘もある。しかしリーマンショック前の水準には遠く及ばない。数年かけて危機前の80%の水準に戻すことができるかも微妙なところ。ほとんど不透明というのが実態だ。
今回の危機で明らかになった新しい事態がある。それは建築需要の比較安定性。自動車用は最悪時には50%も落ち込み、危機の深刻さを見せつけたが、そうしたときでも建築は5~6%のマイナス水準で底堅さが顕著であった。建築用の落ち込みが軽度であったのはメンテナンス・改修需要が下支えしたため。とはいえ値崩れは激しく、マンション大規模改修では小物件にまで大手ゼネコンが激しい受注競争を繰り広げ、施工価格は底割れ。メーカーもディーラーも、そして施工会社も利益の出ないシステムの中であえいでいる始末。売れても利益が出ないというのが建築用のイメージ。
それとは別にホームセンターに限らず塗料販売店での店頭販売が伸びる傾向にある。金融危機後、その傾向が強まっている。所得が伸びず、むしろ低下する中で生活防衛に走る消費者(=生活者)がそこにある。あまりお金をかけないで生活の質を改善したいとのニーズ。中古住宅を買ってリフォームしたり、ルームシェアリングでプチ・リフォームしたりといったケースが都市圏で増大。インテリア雑誌の編集者は「ペイントをうまく活用したいというニーズは確実にある」と指摘する。
市場構造の変化をチャンスにするには、こうした生活者基点のマーケティングから商品ラインを体系化し、サービスという付加価値をつけていく方向しかない。製造原価から積み上げていくプロダクトアウトの方法は通用しない。
再編なき淘汰が加速することが確実な情勢にある。小メーカーの大半が売上・利益とも水面下にあり、再生の方向が見えていない。大手・中堅メーカーにおいても体力勝負の限界に近く、構造改革とともに新たな成長分野への事業再編ができるかどうかが成否の鍵を握っている。
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