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2010年03月23日
中塗り吸水性、ガンと乾燥一体化 関ペ、大気社 日産、日産車体 3WET技術を革新
自動車メーカーにとって塗装工程の革命的変革が大きな命題となっている。塗装工場(PAINT SHOP)はアセンブリーラインの約3分の1のスペースを占め、そこから排出されるCO2は工場全体の排出量の約4分の1に達する。しかしVOC低減は大気汚染防止法で義務付けられ、塗装工場のクリーンファクトリー化を迫られている状況にある。
こうした中で登場したのが3WET塗装。十数年前、世界で初めてヨーロッパのBMWのランスシュタット工場で導入。塗料を開発したのはBASFコーティングス。ここで世界中から一気に3WET塗料への関心が集中した。
国内ではマツダと日本ペイントが3WET塗装を開発、マツダ防府工場で採用。10年以上の実績を有している。
しかし省工程と同時に環境対応を両立させる3WET塗装技術の開発は容易ではなく、塗料技術の心臓部ともいうべきレオロジーコントロールの高度化が不可欠であった。この技術で先行した者が3WET塗装で優位に立つことは明らか。
大きな扉を開いたのがトヨタ、ダイハツと関西ペイントによる世界初の水性3WET塗装技術。6年前にダイハツの大分工場に導入され、焼付工程丸ごとひとつ省く画期的なオール水性塗装ラインを実現。電着(下塗り)と中塗り・上塗りの同時焼付工程といったプロセスで、VOC削減の環境性とCO2排出量の抑制といったパフォーマンスを両立させた。その後水性3WETシステムはマツダ、日本ペイントでも開発され、水性3WET塗装では日本が世界をリードする形となっている。
今回の3WET塗装の特徴は3つの画期性があり、技術的に大きな進歩を示している。
まず第1点目は、新3WET塗装では中塗りに新たに開発された吸水性中塗り塗料を採用。吸水性のある樹脂と溶剤からなる溶剤型の中塗り塗料で、2層目に塗装される水性のカラーベース塗料に平滑性を付与でき、高品質塗装を実現した。関西ペイントと日産車体の共同開発。
第2点目は、大気社と日産車体が共同で塗装ガンに乾燥装置を一体化したシステム「塗装機一体型エアシールド」を開発。塗装ガンの外周部に装着し、スプレー中の水性塗料を高温低湿度のエアで包み込み、塗装中のエリア内を一定の温度・湿度に保ち、塗料粒子が塗装ガンからボディへ飛行している間に水分を蒸発させる。
最後の3点目は、3WET塗装の高級車へのアプリケーションにある。初の3WET塗装を採用したBMWは量産性にネックを抱え、オール水性3WET塗装は3層連続塗装のリスクとして塗装面の肌の平滑性や艶で従来の塗装方法に比べ限界があった。このため高級車に求められる高外観品質には課題が残されていた。
新規3WET塗装では、1層目の中塗りに吸水性中塗り塗料を採用、これまで難しいとされていた水性上塗りカラーベース塗料との層間の混層(混じりあい)を解決。これにより上塗りの平滑を実現、高級車に適用できる外観品質確保をクリアした。
また上塗りのカラーベースの水性塗料化でVOCを27%低減。水性塗料の乾燥エネルギーの増大に対しては塗装機一体型エアシールドで乾燥設備の乾燥時間を半減でき、上塗りベース塗装から上塗りクリヤー塗装までのプロセスで排出されるCO2を25%減らすことに成功。世界最高水準のレベルを達成した。塗装工場全体ではCO2排出量を16%削減。(いずれも日産車体の算出基準)
3WET塗装は中塗り・上塗りのカラーベースとクリヤーの3層を連続して塗り重ねた後、1回で焼き付ける方法。ドイツで開発され、日本で進化し、今や日本の技術が世界をリードする。世界の自動車メーカーが注目しているのは環境負荷の低減とともに、パフォーマンスの高さ。厳しいコスト競争にさらされている自動車メーカーにとって、塗装による高外観品質とパフォーマンスの追求には限界がない。その意味で今回の新規3WET塗装は新たな技術レベルに到達したことを示している。
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