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2010年04月13日
顧客の"期待"と"満足"に応える訴求を 進む標準化、過熱する市場
日本塗料工業会の調査によると平成20年度の高反射率塗料のメーカー出荷量(調査企業19社)は前年度比15.2%増の4,515トン。内訳は建築が4,305トン(前年比15.3%増)、道路用163トン(1.9%増)。平成21年度も堅調な伸びを見せていることから、5,000トン超えが確実視される。
2月に閣議決定されたグリーン購入法適用をにらんだ日本塗料工業会規格「耐候性屋根用塗料JPMS27」の制定や、来年秋のスタートを予定している新JIS「屋根用高日射反射率塗料(仮称)」など材料規定を盛り込んだ標準化が加速している。また遮熱塗装に対する助成事業が増加。東京都では品川区、新宿区、豊島区が平成21年度から助成事業を開始するなど、需要環境を取巻く環境は追い風傾向にある。
しかしながら、遮熱塗料を上市するメーカーの意欲にはバラツキが見られる。平成20年度、平成21年度と実施している環境省の実証事業では、79技術・製品(同一メーカーの製品含む)が申請。企業数では40社に迫る。市場そのものは防水用、路面用も含め、需要拡大が期待されるものの、競合製品の多さに差別優位性を見出すことが難しくなっており、「需要の成長性に不透明感がある」との声も漏れる。他社との優位性を見出すべく、各社さまざまなセールスプロモーションを繰り広げる一方、これらの差別化競争が使用者である施主の信頼を失いかねないといった心配も生まれている。
新JISは明度ごとの日射反射率基準、2年の暴露試験による日射反射率保持率の規定などを盛り込むことで、高日射反射率塗料に一定のルールを設けようとしている。いわばJISという汎用性を前提とした製品規格に発現機能の基準を設けるという新たな試み。環境技術として社会的信認が得られるか、業界としての試金石となっている。
しかし、遮熱塗料に対する技術的見解はメーカーによって異なる。特に中空バルーン層を配合した主材を組み込んだ断熱技術に対しては、高日射反射率塗料をもって日射反射率=性能と規定するJIS基準やJPMS基準とは一線を画す。JISやJPMSの制定には、学識者、施工業者、試験評価機関などを交えるが「日射反射率にすることで1つの着地点を設けたにすぎない」と認識するメーカーも少なくない。
日射反射率基準で優位性を図るか、メーカー独自の技術的指向を追求するか、競争原理は全く異なる。JIS原案の策定にも加わり、日本建築仕上材工業会遮熱塗料研究会の委員長を務める本橋健司氏(芝浦工業大学教授)は今回のJIS化に対し「まずはルールを設けることで、技術を社会的に認知してもらうことが重要。色によって性能が違うことも含め、まずは認知してもらうことが大事」と話す。
新JIS基準はメーカーに新たな技術的課題をもたらしている。「まだJIS基準をクリアできない色がある」といった声が随所で聞かれる。明度ごとに定めた日射反射率(近赤外線領域)基準は生産体制、調色体制といったメーカーのハード面にも大きく影響を及ぼす他、顔料設計の見直しも迫られており、上積みした製造コストを抑えるべく、シェア争いが一段と激しさを見せると思われる。
本来、JIS規格は戸建てなどの民間物件おいては影響度が低い。しかし、日本ペイントは新ブランド「サーモアイ」の投入に合わせ、標準色ごとの日射反射率をオープンにした。まさしくJIS基準をマーケティングに取り入れた格好。結果的に各社も性能表示が避けられない情勢にある。
遮熱塗料は機能をウリにしながら、色によって性能が異なるという現実を抱えている。
建築物という最大公約数的な括りで「〇〇℃温度が下がります」との訴求を続けるだけでは、やがて遮熱塗料の付加価値は一般化し、コスト競争に埋没していくようにも思える。部位や素材、また工場や戸建て住宅といった物件種別に応じた適切な訴求と効果の発現を提案していくことが不可欠。また顧客視点に立ち返るならば、効果への"期待度"と使用したことによる"満足度"をいかにバランス良く提供していくかが重要と言える。
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