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2010年06月02日

マーケット:国内  行政・団体

10年の節目、塗料標準EDIの現実 普及拡大論からビジョンの再構築へ

2000年12月にスタートした塗料標準EDIは、構想期間を含め今年で10年目を迎えた。当時、業界団体が主導し、流通業者までを対象としたEDI構築は化学業界でも先駆的事例として内外の注目を集めたが、普及しているとは言いにくい状況が続いている。塗料産業の縮小と新たな価値創造が求められる中で、EDIの役割も改めて見直す時期に来ている。

遡れば塗料標準EDIをスタートさせる契機となったのは、1999年12月に日本塗料工業会が策定した「わが国塗料工業の中期展望」。
その中でEDI導入に伴う標準化による物流の合理化推進を提言。「電子商取引に関しては、(中略)塗料業界にあっても顧客サイドから対応を求められる気運にあるが、顧客対応としての受身の姿勢ではなく、流通の合理化による収益改善の方策として前向きな取り組みを図るべきと思われる」と、ITという新進の情報技術を積極的に活用することにより、収益性の改善、市場競争力の向上を目指したビジョンが記述されている。


しかし、現実は厳しいものとなる。2001年からシステム制作が始まり、当初の計画では2002年を本格的スタートとし、初年度でメーカー10社、ディーラー50社の参画を想定。2年目には、メーカー20社、ディーラー300社、3年目にはメーカー60社、ディーラー1,000社との青写真を描いていた。
しかしながら、現実は2010年2月現在で参画メーカー9社(内1社が休止中)、ディーラー613社。当初の計画目標は早々に崩壊し、10年が経過しようとする現在においても、"普及している"とは言いにくい状況にある。


普及が進まない理由として、主力メーカーが参画していないこと、コスト負担の増大、自社の基幹システムとの連携の難しさなど、理由を挙げることはたやすい。塗料標準EDIシステムの使い勝手に対してはその都度、機能性の向上、導入コストを抑えた共同センター利用型の構築などの対応を図ってきたが、いずれも普及の決定打には至っていない。
システムの是非以上にメーカー自体に塗料標準EDIを必要としていないという現実がある。不参画の主力メーカーは独自の受発注システムを進め、また参画メーカーにおいても自社システムと併用している事実もある。
つまり、"標準"という塗料標準EDIが狙いとする根幹の方向性が、それぞれの企業の業務体系にそぐわないため足かせとなっている。塗料標準EDIに業務体系を合わせるよりも自社の業務体系にシステムを順応させたいとの意向が強く働いていることが、普及しない最大の要因と言える。


それでは誰のための、何のためのシステムなのか。10年を経て今一度、業界における物流の在り方、市場競争力の向上をテーマにEDIシステムのビジョンを再構築する必要性があると思われる。そうでなければ、目まぐるしく変わる情報技術の進歩に対し、対策が後手後手に回り、いずれシステム自体が陳腐化していく。情報投資は常にビジョン前提で行わなければならない。

在庫ストックの減少、配送業務の効率化、受発注業務のコスト削減など、競争力向上には物流業務の効率は避けられない。これはメーカー、ディーラーにおいても共通の課題。事実、内需の塗料産業が縮小の一途をたどる今、メーカーは大口ユーザーとの直取引を始める一方、営業所の統廃合、物流拠点の集約化、小口取引先から大口取引先への付け替えによる取引口座数の減少など、既存の流通体系の改革を進めている。
そこには、塗料標準EDIのようなメーカーと塗料ディーラーを対象としたシステム化だけでは、根本的な物流業務の改善策にはつながらないという視点がある。メーカーにとって塗料ディーラー機能に対する見方が変化してきていることも見逃せない。 

それでは、利用する側のディーラーは塗料標準EDIをどのように見ているのか。日本塗料商業組合情報委員会(委員長・角裕和氏)は3月24日、加藤塗料(本社・三重県、社長・加藤利一氏)において委員会を開催。業務に塗料標準EDIを利用している加藤塗料の実用例を見学し、オブザーバーとして参加したメーカー担当者も交え、意見交換を行った。
そこで出された意見は概ね「現状のシステムでは使いにくい」などシステムに対する指摘が目立った。メーカーと販売店で違う製品コードしかり、自社の販売管理システムとの連携が思うようにいかないことがネックとなり、電話やFAX注文以上に負荷がかかるというものだ。


ただ4社(内2社は売上通知ダウンロードのみ)とEDI取引する加藤塗料においては、EDIによる売上通知データ数は、全仕入データの42.2%を占める。これまで入力業務に半日を要していたパートタイマーの人件費削減につなげた。加藤社長はEDIのメリットについて、「まずは"発注"という視点から離れるべき。納期回答、売上通知、出荷回答、在庫問い合わせなどの付随する機能を利用するだけでも充分なメリットがある。またEDIシステムについては、発注業務の実務者の意見を聞くべき」と述べる。
EDIの再構築を図る上でも、メーカー、ディーラー双方の実務者レベルでの意見交換が不可欠だ。


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