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2010年08月19日
海外で注目されるフッ素粉体塗料 国内での建材分野にフォーカス
国内のアルミ建材の仕上げには長年にわたりPvdFタイプの溶剤系フッ素樹脂塗料(カイナー500)が採用されてきた。一方欧州では1990年代から低・中層ビルに高耐候性ポリエステル粉体塗料が採用され始める。2000年代に入ると素材メーカーのグローバル化と新興国の発展があいまって、粉体塗料の採用は中近東、東南アジア、中国へと世界に広がる。
国内にも2000年代半ばから東南アジアや中国でアルミの型押し材に高耐候性ポリエステル粉体塗装を施した建材が持ち込まれてきた。
アルミ建材への粉体塗装の仕様は欧州発のQualicoat(現在39カ国で展開)と米国の米国建築製造業界が定めたAAMAの規格がある。我が国には仕様がないため海外で塗装し輸入で対応してきたという経緯がある。
このような世界の流れにあって、近年我が国にも海外のアルミ建材への粉体塗装の採用実績が紹介されるとともに、建設業界でも環境対応が急務となる。にわかに粉体塗装に注目が集まる中で、昨年Qualicoat Japanが設立。国内の(アルミ建材への)粉体塗装の品質保証に向けた動きが活発化する。
高耐候性ポリエステル粉体塗料の採用は欧州を中心に東南アジア、中国にも及ぶが、米国、中近東では熱硬化性フッ素粉体塗料の採用が増えている。特に米国では環境負荷低減に向けたポイント制の環境対応評価システム『LEED』が普及しつつあり、これまでのPvdFタイプの溶剤系フッ素樹脂塗料からフッ素粉体塗料への置換が進んでいる。
とりわけフッ素粉体塗料が採用されているのはPvdFタイプの溶剤系フッ素樹脂塗料はフロリダ曝露10年のAAMA2605-05規格に該当し、フッ素粉体塗料も同一レベルの耐候性を有すことから"溶剤フッ素⇒フッ素粉体"への流れになりつつある。採用例としては中・高層ビルの他、コンドミニアムやショッピングセンターのアルミ建材に使用されているようだ。
また単価的にイニシャルコストではフッ素粉体塗料がPvdFタイプの溶剤系フッ素樹脂塗料を上回るものの、PvdFタイプの溶剤系フッ素樹脂塗料は規定膜厚(ソリッド30μm以上、メタリック40μm以上)を得るのに2コート2ベークで仕上げている。
それに対しフッ素粉体塗料は1コート1ベークで60~70μmの膜厚が得られロスも少ない。加えてVOC削減、CO2低減にも寄与することからトータルコスト的には同程度と見られ、長期耐久性能的に、LCCの観点から考えても切り替えは妥当な判断と思われる。
「世界的な環境配慮から、溶剤を使用しない粉体塗料へ移行するのは自然の流れ」との判断から日本建築仕上学会も焼付塗装環境保全研究委員会(委員長:近藤照夫ものつくり大学教授)を2006年に設置し、非溶剤系塗料の適応可能性の評価を行ってきた。
性能評価は国内で入手可能な高耐候ポリエステル粉体塗料、熱硬化性フッ素粉体塗料及びPvdFタイプの溶剤系フッ素樹脂塗料の他、熱硬化形アクリル樹脂塗料と同アクリルウレタン樹脂塗料の比較実験を行った。
報告では、ポリエステル粉体塗料は性能的にバラツキが大きく(サンシャイン・カーボンアーク灯式)光沢保持率において1000時間を越えると極端に低下し、熱硬化性アクリル樹脂塗料とアクリルウレタン塗料と同様な促進耐候性を示すものがあったという。
一方、熱硬化性フッ素粉体塗料はPvdFタイプの溶剤系フッ素塗料同様な促進耐候性を示し「明らかにフッ素粉体塗料はポリエステル粉体塗料と比べて耐候性において優れている」(近藤照夫ものつくり大学教授)。しかし、フッ素樹脂(粉体塗料)までの耐候性を必要とするか否かの問題が考えられるとのコメントにとどめる。
同委員会では下地調整に関して継続評価として試験を進めており、上塗りだけの問題ではなく、前処理との一体システムでの評価を重視するスタンスにある。
現在、熱硬化性フッ素粉体塗料の供給可能なメーカーはアクゾノーベル、ジョーダン、タイガードライラック、PPGなどのグローバルメーカーが中心となっている。一方、国内塗料メーカーは大日本塗料が昨年上市、トウペが上市に向けて準備を進めているにすぎない。
今後の課題はトータルコストのメリットをいかに施主に訴求できるかによる。また単価的に(フッ素粉体塗料は)PvdFタイプの溶剤系フッ素樹脂塗料の約2倍。塗装単価も国内においては海外に比べて高い。
従って塗料メーカー、塗装業者の協力を得てリーズナブルな価格対応に向けた仕組み作りが大きなポイントになる。更に製品のバリエーションを増やすことも重要だ。
まずは、実績優先の国内マーケットにあって施工実績を作り、既設の高耐候ポリエステル塗料との比較検証が施主へのプレゼンにつながると思われる。
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