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2010年11月24日

技術  行政・団体

12カテゴリー、71テーマ発表 日本建築仕上学会 第21回研究発表会ダイジェスト(1)

日本建築仕上学会は10月21日、22日の2日間、東京大学山上会館で「2010年大学学術講演会(第21回研究発表会)」を行った。今年は12カテゴリー、71題の研究成果を発表。塗料、塗材に関する研究発表を抜粋して要旨を紹介する。企業・団体名、氏名は発表者。

「石綿含有成形板の石綿飛散防止塗装工法の調査研究」 日本塗装工業会・山崎久康氏他

メーカー2社が軽度な下地処理で塗装できる材料・工法を確立していることから、日本塗装工業会技術委員会は、メーカー2社の材料・工法を理解した上で、塗装実験を行った。
石綿スレート面の下地調整が不要とされる2社2品目の無処理工法の実地検証を行った結果、いずれの製品も良好であった。この結果から下地処理を行わずとも施工できる可能性が明らかになった。
ただし、今回使用した試験板は劣化度が中程度であったので、今後は今回よりも劣化した試験板での確認が必要である。

「アスベスト含有成形板を対象とした塗装仕様の耐久性評価」 (独)建築研究所 林昭人氏他

劣化した住宅屋根用化粧スレート板及びスレート波状に対して各種塗装仕様を適用した場合の耐久性を評価するための温冷繰返し試験を行った。併せて劣化したアスベスト含有成形板の代替として、けい酸カルシウム板が使用できるか検討した。
塗装仕様は、下塗材の種類(水系・溶剤系)及び中塗材の有無で分類。
中塗材なしの塗装仕様で実験したところ、水系下塗材の塗装仕様はけい酸カルシウム板、スレート大波板のどちらも良い結果が得られなかった。溶剤系下塗材の塗装仕様は、けい酸カルシウム板で8点未満(10点満点)だが、スレート大波板では8点以上の結果が得られた。また、けい酸カルシウム板、スレート大波板の両方で8点以上の結果が得られたのは、弱溶剤系2液エポキシ+弱溶剤系2液シリコン、溶剤系エポキシ+弱溶剤系アクリルシリコン。
水系下塗材の塗装仕様は、表面劣化度(塗膜の剥離が目立つ程度)とアスベスト含有成形板には適用が難しいと考える。

「木材保護塗料のかび抵抗性に関する研究」 芝浦工業大学 本橋健司氏他

日本建築学会JASS18 M‐307では防腐、防かび、防虫効果に対する品質試験は規定されていないため、各ブランドによって微生物劣化に対する抵抗性に差異が生じている可能性がある。本研究では、木材保護塗料の微生物に対する抵抗性を評価する目的で、かび抵抗性試験を実施した。
供試菌には、木材保護塗料に発生すると考えられるクラドスポリウム クラドスポリオイデス、オーレオバシディウム プルランス、ケトミウム グロボスムの3種類を混合して用いた。
試験によっていずれの3種も目視及び顕微鏡にて観測されなかった。
以上の結果から、木材保護塗料のほとんどは防かび性を持ち合わせている。しかし、一部に防かび性を持ち合わせていないものもあり、これらを排除するためには、JASS18 M‐307の規定にかび抵抗性試験を導入する必要がある。また有機寒天培地において、ほとんどの木材保護塗料がクリアした点から、培地に有機寒天培地を用いて評価するのが適切だと考えられる。

「しっくい塗料の中性化挙動とかび抵抗性に関する実験」 芝浦工業大学 本橋健司氏他

しっくい塗料中の消石灰(水酸化カルシウム)に空気中の二酸化炭素が反応すると、炭酸カルシウムが生成し塗料の密度は大きくなり、一方強アルカリ性は失われると考える。
市販のしっくい塗料を対象として、中性化挙動とかび抵抗性を評価した。
しっくい塗料としっくい(厚膜)では、水炭酸カルシウム含有率が30%程度から中性化の低下が緩やかになるが、しっくい(薄膜)では、含有率が20%程度から低下が緩やかになる。理由として、しっくい塗料では含有されている合成樹脂エマルションによる中性化遅延効果、しっくいでは厚膜の方が炭酸カルシウムによる密実効果が顕著に表れることが考えられる。
かび抵抗性試験については、無機寒天培地、有機寒天培地ともに中性化処理期間の差異によるかび抵抗性の差異はほとんど認められず、中性化程度はかび抵抗性試験結果に影響を与えないと考えられる。
無機寒天培地では、しっくい塗料は合成樹脂エマルションペイントと比較して良好なかび抵抗性を示した。なお、合成樹脂エマルションペイントに意図的に抗菌剤を添加した場合はかび抵抗性は向上すると考えられる。
有機寒天培地では合成樹脂エマルションペイント、しっくい塗料ともにかびが発生した。有機寒天培地ではかびに対する栄養分が多く、条件が厳しすぎたと考えられる。しかし、そのような条件においてもしっくいは相対的に良好なかび抵抗性を示した。

「漆喰塗材の施工性改良の検討」 彩青会 西浦建貴氏他

漆喰仕上げの持つ仕上げの優秀性を保持しながら、生産性を上げる湿式材料・工法として、塗装工法と左官工法の特性を生かすために両工法をコラボレートした工法を検討した。
天然素材タイプ鏝用(I)、ローラー用(II)、天然素材・合成樹脂複合タイプ鏝用(III)、ローラー用(IV)の4種類で評価を行った。
IとIIIは膜厚が厚く、IIとIVは膜厚が薄く仕上がる。石膏ボードに対しては、ジョイント部分の処理跡の目立ち難さから考えると、I、IIIが有効であることが予測できたが、II、IVについても室内用のEP塗料などに比べて表層のザラツキ感からか、処理跡があまり目立つことはなかった。クロス面に関しては、I、IIIは既存のテクスチャーを替える場合に有効で、II、IVは既存クロスのテクスチャーを生かす場合に有効である。
製品ごとの官能評価を行った結果、施工器具の違いによる特徴はあったが、仕上がり感に大きな特徴はあまり見られなかった。
今後乾燥硬化した漆喰壁の機能性を評価していく場合、漆喰本来の消石灰成分が多い製品が機能面では優位であると考えられるが、「塗りやすさ」を求めることで各種の混和物質が性能にどれだけマイナス効果を与えてしまうのか、また鏝とローラーの塗り厚の違いによる性能差を明らかにしたい。

「路面用遮熱塗料(高日射反射率塗料)の調査研究」 日本塗装工業会 宮木章吉氏他

塗装2年後の遮熱効果の検証を行った。調査場所は多治見市と熊谷市。
その結果、表面温度の上昇抑制効果が確認できた。また、夜間蓄熱温度計測値は、路面の蓄熱低減効果を確認した。以上の結果により、路面用遮熱塗料は、ヒートアイランド減少緩和に有効であると言える。

「屋根用遮熱塗料(高日射反射率塗料)の調査研究」 日本塗装工業会 市坪孝志氏他

塗装2年後の遮熱効果の検証を行った。実験のため一般アクリル樹脂系ペイント1種、屋根用遮熱塗料7種を塗装した。
2008年(前回試験時)の遮熱塗装面の温度測定結果と同様に2009年もトタンペイントと比較すると遮熱塗料は平均3~5度、温度が低くなる効果が見られた。塗装後2年程度では塗装時と効果に変化はないものと思われる。
塗膜劣化についても一般アクリル樹脂系ペイントは艶も消えて天端表面にチョーキングの症状が出てきているが、遮熱塗料は艶もあり、付着状況にも異常が見られなかった。

「高日射反射率塗料の性能に関する研究」 建築研究所交流員 田村昌隆氏他

戸建て住宅を想定した長屋実験棟を用いた空調稼働実験を実施した。夏季と冬季において空調機を稼働させ、それぞれの部屋の電力量を調査した。
空調機実験については、夏季における積算消費電力量の消費値が高日射反射率塗料を施工した部屋の方が低く推移し、調査期間2週間後の値は冷房電力量で7%の削減となった。一方、冬季においては、一般塗料及び高日射反射率塗料を施工した部屋と差異が見られない結果となった。今後も熱流の解析を行うことを考えている。

「太陽熱高反射率フィルムの開発」 大林組 奥田章子氏他

旭硝子と共同研究。クロムフリーで高性能な無機系高反射率顔料を用いて、防汚性能に優れたふっ素樹脂系太陽熱高反射率塗料を開発。ここでは、この無機系高反射率顔料を高耐候性ふっ素樹脂フィルムに練り込み、塗料に代わる高反射率建材として、高耐候性高反射フィルムの開発を目指した。高反射率フィルムの裏面には、あらかじめ接着耐久性に優れた粘着剤が塗布されており、塗装工事のように湿式ではなく、外装下地材へ張り付け施工による乾式工法を可能としている。
また、高反射率フィルム表面へ防汚処理を施して防汚性を高め、汚れによる日射反射率の低下を防ぐことを検討し、その性能を確認した。
促進耐候性試験、屋外暴露試験、日射反射率測定と熱反射性能試験、実建物における施工性の評価試験を行った。
結果、1)高反射率フィルムは一般品と比較して日射反射率が向上し、熱反射性能が有効に発揮されることを確認した。また日射反射率と熱反射性能とは相関関係にある。
2)促進耐候性試験の結果、高耐候性であることを確認し、かつ長期間、熱反射性能が発揮されると推定された。
3)防汚処理を施すことによって、経年的な汚れによる日射反射率の低下を防ぐことが可能。また促進耐候性試験によって、防汚処理の耐久性が実用レベルであることを確認した。
4)実建物において、押出成形セメント板のふっそ樹脂塗装面及びSUS笠木面へ施工した結果、施工性も良好で、意匠性にも優れており、塗装工事等の湿式工法に加え、乾式工法による建築物の遮熱化の可能性が示唆された。


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