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2011年01月11日

マーケット:国内  企業動向

NEWショップ時代 「見えない客」を吸引する オカジマ(神奈川)

横浜市港北区のオカジマ(岡島次男社長)は、塗料販売店として小売ビジネスを成功させている先駆的な存在。現在の年商は約1億6,000万円。このうち店頭小売及び一部ネット販売が1億1,000万円、業者向け販売が5,000万円の割合。売上のうち現金販売の比率は7割近くに達している。
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同社ファサード

創業は昭和45年。「先発の大手販売店が居並ぶ中、仕入れ格差のある新規の零細店が同じ土俵(業者向け販売)で戦っても勝ち目はない。加えて掛売り、手形商売のリスクを避け、キャッシュで回せる業態にできないか」(岡島社長)と、当初から店頭小売を視野に入れた立ち上げであった。
とは言え、国内にはそのような塗料店のモデルがない。店づくりの在り方や品揃え、具体的な販売方法などを探究すべく海外に出向いた。その数はなんと19カ国、延べ44回にも及ぶ。


しかし、そもそも土壌が違った。海外のように生活者自らセルフペイントをする需要が国内には無かったのだ。
そこで照準を定めたのが、「生活者でもプロ(塗装業者)でもない曖昧な需要層。塗料店に口座を設けるほどの使用量はないものの仕事やマニアックな趣味で塗料が必要。しかも密着の難しい素材、耐熱や高耐久、高外観など特殊な機能が必要だが、ホームセンターや金物店などの市販流通では納得いくものが入手できず、かといってそうした超ニッチな需要のためだけにメーカーも動いてくれない、そういった困っている客層」だ。


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圧倒的な量感陳列
 

曖昧というだけあってそうした需要層をあぶりだすのは難しい。見えない客に向かって自社の存在を認知させるにはやはり広告宣伝しかない。
「八百屋は町内の客でメシが食えるが、塗料屋はそうはいかない。しかもマニアックで超ニッチな需要。吸引するためには広範囲を対象とするしかない」と、同社の立地する横浜市港北区から町工場などが集積する東京・大田区に及ぶ広いエリアにチラシを配布。その数は80万枚。「チラシはたまたま必要としている客が、たまたま見かけたときに結びつくもの。単発で効果が出るわけがない」と、連綿と継続。更に路線バスのラッピング広告なども活用、『塗料の困ったに応えるオカジマ』との印象を見えない客層に摺りこんでいった。広告宣伝費にかけた費用は累計2億円ほどに及ぶと言う。
同社にはさまざまな客が訪れる。町工場の作業員、住宅の補修業、工芸品の作者、配管工、ディスプレイ業、愛車をマニアックにカスタマイズしたいクルマ好きやオートバイ好きなどなどバラエティに富んでいる。しかも難素材を持ち込み『これに密着する塗料はないか』など、市販品ではおさまらない特殊な用途ばかり。同社のような専門店でさえ応えられないケースもある。


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何が出てくるか分からない"ワクワク感"

ただその場合も、「ありませんとは絶対に言わず、次に来るときまでに用意しておきますと応じ、自社の工夫、あるいはメーカーを交えて必ず提供できるようにする」のが基本姿勢。いわば、そのユーザーのその用途のためだけにカスタマイズや開発を行っているのだ。
ここが同社の事業の最大のポイント。最寄品と異なり、専門店は広範囲のエリアから客を吸引できなければ商売が成り立たない。そのためには品揃えを広く、かつ深くするのが鉄則。ましてや塗料のように使いみちが多岐にわたるアイテムの場合、求める機能にズバリと応えなければ客を吸引できる魅力がないのだ。


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調色風景も見られる

相談には乗るもののメーカーも製品化してくれるわけではない。こうして開発した商品は自社ブランド品とし、「特殊用途品のため、デッドストックになるかもしれない」リスクは自社で引き受ける。「価格は必要度とのバランス。リスクを吸収できる粗利設定はさせてもらっている」と、この辺の読みがこの商売の勘所かもしれない。こうしたプロセスを経た自社ブランド品は150品目にも上るとのことだ。
さて、同社の店舗だが、広さはわずか10坪ほど。「狭さを克服するため」天井を取り払い、壁際は2階のスラブまで商品がズラリと並ぶ。中央スペースにもこれまた高い棚を数列配置、店いっぱいにありとあらゆる塗料やツール、副資材などが並ぶ量感陳列の典型的なパターン。まるで塗料店版"ドンキホーテ"のようだ。「何が飛び出してくるか分からないワクワク感、また来たくなる楽しさ」を狙った陳列法だ。


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