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2011年07月27日

マーケット:国内

マーケットeye・船底塗料 次世代型、3社ラインアップ "燃費低減競争"激化へ

リーマンショックによる立ち直りは早く、2010年には世界造船竣工量はピーク時の1億6,500万トンを超えた。注目されるのは造船受注量で、2009年に中国が韓国を抜き世界トップの造船大国となった。ほぼ半分の新造船が中国のドックで造られる時代に入ったといえる。こうした中で、マリンペイント(船舶用塗料)においては、燃費低減効果のある次世代型船底塗料が相次いで開発され市場に投入されている。先行したのは日本ペイントマリン「LF-Sea(エルエフ-シー)」、次いで昨年には中国塗料が「SEAFLO NEO(シーフロー・ネオ)」、今年に入って関西ペイント(NKMコーティングス)が「タカタクォンタム X-mile(エックスマイル)」を上市、国内大手3社の次世代タイプがラインアップしたことになる。高止まりする原油価格が背景にあり、燃費低減はコストファクターとしての比重を増やしているだけに、次世代タイプへの市場の関心は非常に高い。

日本ペイントマリンの「LF-Sea(エルエフ-シー)」は先行した分実績は450隻に達し、国内外からの評価がほぼ確立したと言える。この1年余りで150隻以上に採用され、展開に弾みがついている。

最大のセールスポイントは、従来の自己研磨型船底塗料に比べ約4%の燃費低減を可能にした点。既に実船で燃費低減効果が実証され、運航経費が大幅に圧縮されたケースが続出。しかし船主関係者はコストパフォーマンスに関しては公表しないため、低減実態は採用隻数の増加をバロメーターにするしかない。「やはり実船での採用実績が大きな判断基準になるので、これからも優位性が強まることはあっても弱まることはない」(同社担当者)との見方。 LF-Seaの新テクノロジーは、ウォータートラッピング効果にある。海中を高速で泳ぐイルカやマグロの皮膚をヒントに、大阪大学・神戸大学と共同開発したヒドロゲル(吸水性高分子ポリマー)がテクノロジーの骨格。ヒドロゲルは自己研磨作用と塗膜表面の平滑を維持する力が強い。

これに対し中国塗料は昨年秋、新規加水分解型ポリマーを導入した「SEAFLO NEO(シーフロー・ネオ)」を上市。燃費低減3~5%を可能にするとともに、VOC含有率を40%以上削減し、塗装作業プロセスにおけるVOC発生率を60%近く減らせる。 新テクノロジーは(独)日本中小型造船工業会と共同開発した低粘度ワニス。粘度コントロール技術により従来に比べ低粘度化することに成功。これによる塗装作業性も大幅に向上した。

関西ペイント(NKMコーティングス)は今年5月、タカタクォンタムの次世代型「X-mile(エックスマイル)」を開発、6月中旬から販売を開始すると発表した。次世代タイプの投入では後発となったが、それには理由がある。 世界の加水分解型船底マーケットで君臨してきたタカタクォンタムの圧倒的な強さは15年以上にわたり6,000隻を超える実績があり、この高いパフォーマンスを超える技術を生み出すことは並大抵のことではなかった。 X-mileは5年以上をかけて開発。クォンタムを超えるクォンタムを合言葉に開発にこぎつけた。燃費低減は10.5%と競合品レベルの倍。ダントツの燃費低減を可能にする。ひと口に10.5%の低減というが、同社のシミュレーションによれば30万トン級のVLCCで60カ月仕様で11億円以上のコスト削減につながる。

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この世界トップレベルの燃費低減を可能にしたテクノロジーは初期平滑性にある。通常加水分解型は船の航行による海水との摩擦によって平滑性を維持する考え方。これに対しX-mileは自動車塗料のレオロジーコントロールを導入し、初期表面の平滑性が大幅に向上。このため燃費低減効果のスタートダッシュが早い。またシリルメタクリレート樹脂を採用し、独自にバージョンアップすることで、クラックやフレーキングの発生を抑制し、物性が強化された。これにより修繕ドックでの燃費低減に対するマイナス要因を排除することができる。「世界トップレベルの燃費低減とCO2削減によるエコをアピールしていきたい」と担当者。クォンタムの新しい歴史が始まる。

船底塗料マーケットはヨーロッパ勢と日本勢のシェア争いとなっている。海外ネットワークに強みを持つヨーロッパメーカーに対し、中国塗料がグローバルネットワークを形成することで強いポジショニングを築いた。これに対し日本ペイントはインターナショナルペイントとの提携から脱し、独自展開に移ったが、ネットワーク力に弱点がある。関西ペイントはヨートンとの世界アライアンスを維持した展開。 次世代型の勝負はパフォーマンスの高さに加え、グローバルサプライチェーンの力によるところが大きく、その意味で今回世界トップレベルの燃費低減を可能にした「X-mile」がどう展開するのか、ひとつの試金石となる。「X-mile」はヨートンのサプライチェーンで供給され、「既に同社にプロトタイプを提供している」(NKM担当者)という。


日本海事産業の底力込める バリシップ2011
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日本の海事産業の現状はバリシップに集約されている。今治市は伝統的な海事都市だが、常に好不況の波にあらわれてきた。リーマンショックによる海運不況の影響も消えていない。しかしローカルなパワーをグローバルに展開する底力を秘めていることも事実。バリシップにそれを見た。


バリシップ2011が5月19日から21日までの3日間、愛媛県今治市のテクスポート今治をメイン会場に開催された。今治は造船・海運関連の企業が集積し、"再び日本最大の海事都市へ"をスローガンに2年前に第1回が開かれ、今回が2回目。主催はUBMジャパン。出展企業は海外を含め200社を超え、ローカルイベントを超えたグローバルイベントの様相を見せている。
併せて特別セミナー、バリシップ2011国際会議も開かれ、日本造船業を持続可能な産業とするための提言や日本船用工業の将来などが熱く語られた。


また今回の特色として一般来場者向けイベントを盛り込んだ。海事への子供たちの関心を高める内容で、セミナーでは「なんで浮いている?鉄の船」のテーマに子供たちが熱心に耳を傾ける姿も。
塗料・塗装機器関係の出展企業は、A-TECH HANDOK、中国塗料、コンヒラ、DSTECH CO LTD、グラコ、日本ペイントマリン、NKMコーティングスの7社が出展。


は今治はギリシア船主や香港船主には及ばないものの、国内では最古の歴史を持つ今治船主の土地柄のため、地元の人たちのバリシップへ向けた思いは熱い。しかしマーケットの好不況や浮き沈みの中で今治の海事関連企業も厳しいものがある。例えば円高の問題があり、1ドル80円前半の相場は船主を直撃。加えてリーマンショック後一時期海運市況が低迷したこともあり、総じて船主の業績は悪い。
今治市に本拠を置く外航船主は53社(2008年末時点)。その保有船は800隻を超える。実に日本の外航船の30%近くが今治をマザー・ハーバーとしているのだ。造船所も14~15カ所あり、今治は海事都市の性格を歴史的に持つ。バリシップではこの基盤を更にグローバルに拡大する方向が探られた。


その意味で今回海外からの出展企業が目立ち、今治と海外との連携強化がキーとなるとの認識ではコンセンサスが一致している。バリシップの主催関係者に聞くと、ポイントは次の2つにあるとの見方だ。
 ひとつは船用技術の集積度の高さを生かした国際競争力のあるインテグレーションテクノロジーやサービスの創造にある。「海に関わる技術といっても幅が広く、それをまとめ上げる力は並大抵ではない。しかしその点今治は集積の密度が高いためやりやすい。官民の連携でのコンソーシアム、これに海外企業の参加で世界に勝てるテクノロジーを今治から発信していきたい」(関係者)という。
 もうひとつはローカル性を弱みにするのではなく、強みにしていく知恵にある。ギリシア船主のようなしたたかな経営感覚はもっと吸収する必要がある。「今治の船主もグローバル感覚は敏感となり、為替予約などグローバル金融をベースにした展開も始まっていますが、まだまだ弱い。地方拠点にあるというのは逆に強みになる。いろいろな意味で集中度を高めることができるから」(船主関係者)。
 具体的に船主の事例でいうと、今治船主が多くの船隊を持ち、これにより不況に対しても弾力的な運用が可能になる。売れる船と売れない船があり、多様な用船契約でコストパフォーマンスを維持できるというわけだ。事実、今治船主の積極姿勢は新造船発注残300隻にも表れている。


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