2016/09/15 12:03

防食分野で攻勢、アジア・中東に照準 パイプ内面塗装技術導入 関西ペイント

関西ペイントは8月23日、イタリアの塗料メーカー・Mirodur S.P.A.(ミロデュール)が持つガスの運搬効率を高めるパイプ内面塗装技術を取得したと発表した。当日は、関西ペイントの石野博社長とミロデュールのマシモ・ビデリー社長が会見に出席し、調印を交わした。
ミロデュールは、イタリア・ラツィオ州に拠点を構える中小塗料メーカーで、金属・機械用塗料、工業調色の他、高速攪拌機の製造・販売を展開する。売上高約6~7億円、従業員25人。
今回、関西ペイントがミロデュールに着目したのは、オイル&ガス設備用防食塗料。無溶剤タイプの同塗料は、塗膜の表面粗度3.5μm以下(ISO4287:1997)の平滑性を最大の特長としており、パイプ内に流れるオイルやガスの低摩擦性を実現。電力、燃料に要するガス運搬コストを10%以上低減させる効果がある他、ガスパイプ設備建造において運送圧力装置の小型化・省力化に寄与するなど投資コストの抑制に貢献するという。10年前に開発され、イタリア・ガス公社の採用をきっかけに国外にも需要が拡大。認証についてはISOや米国石油協会規格などの各種関連規格に適合するなど、世界各国での供給を始めている。また無溶剤タイプのパイプ内面塗料は、ミロデュールとスリーエムの2社のみという。


関西ペイントの調査によると、現在パイプコーティングの需要規模は約2,800億円(新規、改修)でその内パイプ内面塗装市場は約130億円/年と無塗装処理が圧倒的に占めるという。既に欧州、ウクライナ、ロシアに関しては、ミロデュールが独自で販売展開を行っているが、今後アジアを含む新興国でもパイプ需要が増大するとの見方から運搬効率向上に寄与する付加価値性と関西ペイントの海外ネットワークを生かすことで双方のビジネスが拡大できると両者の思惑が一致した。
技術取得の内容は、ミロデュールのブランド、適合規格を活用しつつ、ユーザーニーズに応じたカスタマイズができるというもの。販売については、ミロデュールの既存顧客を除くすべての顧客に対し、関西ペイントグループによる販売展開が可能になる。同事業の販売目標は2021年度に売上高約18億円、営業利益約4億円としている。
石野社長は「当社は自前主義にとらわれず、グローバルに素晴らしいパートナーとともに新しい仕事を開拓していこうとの方針で進めている。これまでの建築、自動車、工業用に加えて、防食という非常に上々なフィールドで新しい取り組みが始められることを嬉しく思う」とコメント。スペック(製品認証)を背景に海外メーカーに席巻されている防食分野の巻き返しに強い意欲を見せた。
当面は、日系のエンジニアリングメーカー及び商社と連携して、需要開拓を行っていく考え。「まずは国内で品質管理体制を固め、その後海外での現地展開へつなげていきたい」とコメント。将来的には摩擦低減技術を船舶塗料にも応用していきたいとの意向を示す。


サウジ・防食塗料メーカーを買収
更に関西ペイントは8月30日、サウジアラビアの防食用塗料メーカー・Saudi Industrial Paint Company(SIPCO)の全株式を取得すると発表。中東関連会社のKansai Paint Middle East FZCOが5%、その子会社のKansai Paint Saudi Ltdが95%の株式を保有する。
SIPCOは1982年創業の防食用・建築用塗料メーカーで、サウジアラビアのダンマームに拠点を持ち、直近の売上高は6億円。大手石油会社向けの供給に要する承認製品を有するなど、現地の豊富な実績に関西ペイントが着目。今後も政府系プロジェクト及び大手石油会社への採用拡大が見込まれることから、株式取得によりサウジアラビアでの市場拡大を加速させたいとの意向を示す。
販売目標は2019年度に売上高約45億円、営業利益約6億円。売上高は買収後に実施する建築用塗料事業の売上も含むとしている。

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ミロデュール・ビデリー社長(右)と握手を交わす石野社長(左)。「自前主義にこだわらない」と提携拡大に意欲を示した。

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