2017/04/12 15:21
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3,068事業所・1.6兆円、増加に転じる 商業統計 塗料卸売事業所・販売額

昨年刊行した平成26年商業統計によると、塗料卸売業事業所数は2年前の前回調査(平成24年)より72件増え3,068となり、平成3年のピーク以来下降を続けていた事業所数が初めて増加に転じた。年間販売金額でも前回に比べ約1,478億円増え1兆6,479億900万円となった。調査は平成26年7月1日現在の結果をとりまとめたもの。海外シフトが強まる中、事業の多角化を進める一方で事業所間の格差が鮮明となって二極化が進行したものと見られる。しかし、従業員規模からうかがえるように10人以下の小規模事業所が8割以上を占め、掛売・その他の販売額構成比が94.3%を占めるなど、事業体質の改善が遅れている実態を示している。

塗料販売のマーケット環境は激変しており、国内需要は縮小傾向を続けている。塗料年間販売額はピーク時の平成3年の2.2兆円台から平成24年には1.5兆円と約3割減少した。事業所は4,592件から2,996件と3.5割減。流通再編が淘汰という形で加速した。
今回の調査で年間販売額は1兆6,000億円台に戻し約1割増加した。要因は商品構成の付加価値化や周辺商材の開発など、販売店側の経営努力によるものと考えられる。再編・淘汰の中で一部M&Aなど合従連衡も進行した面もある。具体的にはリフォームへの参入など事業領域の拡大が寄与している。


従業者数の推移を見ると、平成3年に3万2,153人、平成6年3万2,196人、平成9年3万873人、そして平成14年に3万人割れの2万8,978人、平成19年2万5,491人、平成24年2万616人、今回調査では2万1,769人と増加に転じた。従業員規模による事業所割合では5人未満の事業所が全体の5割以上を占めており、2人以下も2割と高く、事業規模の面で改革を進めにくい構造といえる。しかも5~9人規模が3割と生業レベルを脱しづらい形態を抱えていることが分かる。実態的には20人以上規模が景況変動で入れ代わりしており、単純に上位規模への統合が進んでいない。

需要構造変化に対応できず

国内マーケットは既存の需要構造の枠組みが崩れつつある。工業用の中核である自動車(部品を含む)需要はピーク時に比べおよそ4割近くダウン。塗料産業の構造に与える影響は計り知れないものがある。これに次いで電気・機械分野の落ち込みも顕著。
こうした工業用需要をカバーすべき汎用需要はその柱となる自動車補修用が漸減を続け、建築用も微増ないし横ばいと需要喚起する力が弱い。


このため業界関係者の見方は「国内マーケットは縮小均衡」とのトーンが強い。シェアの奪い合いとともに付加価値製品のシフト、そして企業体質の合理化によるコストダウンが経営目標とされてきた。
その結果、人件費を主体とした販売管理費は低下し、一部の製品シフトにより収益性は改善された。しかし、業界全体としてのマーケット対応力が確実にレベルダウンした側面を見逃すことはできない。
その端的な事象が潜在需要を喚起する企業活動が低迷したことにうかがわれる。マクロ的な需要構造は欧米先進国に比べ奇形しており、建築分野に占める割合が米国と比べても20数ポイントも低い。その分工業用の比率が高い形態となっていたため、塗料産業全体のダメージは大きかったといえる。

潜在需要喚起がテーマ

事業所・年間販売額の増加・逆転で塗料流通は活性化しているのかとなると、相当な疑問符がつく。塗料卸売業はB to Bビジネスを根幹としており、需要先の変動をそのまま反映してしまう。建築用の主たるユーザーはコントラクターであり、材料の指名や価格決定権は相手側に握られている。集合住宅改修ではコスト競争が全面に出て、「大規模工事になればなるほど利益が出ない」といった実態にある。
流通構造を変え、市場を活性化させるためには、チャンネルそのものの在り方を改革する必要がある。マクロ的にはB to Cに向かうチャンネルで主導権を塗料産業側が握れるかが鍵。米国マーケットでは巨大ホームセンターにイニシアチブをとられる構図が鮮明になりつつある。


今回の調査結果から、改めて流通の活性化のための課題が浮き彫りにされた。インフラの整備からライフスタイルの変化までも含め、塗料・塗装のパフォーマンスを社会レベルで高め、社会貢献という面からの潜在需要開発に向け、どれだけ業界が一体のスタンスを取れるかにかかっている。ある塗料ディーラーのトップは期待を込めて「塗ることは人間の根源的な要求に根ざしている」と訴える。

商業統計は経済センサスを実施した2年後に集計、発表される。商品分類中、塗料卸売業は化学製品(卸売)の項目5321として登録。その定義は、塗料(油性塗料、天然樹脂塗料、ポリエステル塗料など)、エナメル、ラッカー、ワニス、ペンキ、ペイント類、漆、しぶ(渋)、印刷インキ、パテなどを包含する。

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