社会インフラ保全特集 社会資本を守る塗料・塗装の役割

市場を創造、水性化と
LCC低減を推し進める

大日本塗料

北宮歩道橋(大阪府)

2014年4月、大日本塗料では新たにインフラコーティングプロジェクトを発足した。構造物塗料事業部が中心となっているこのプロジェクトでは、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの関連施設、そして関東地域のインフラ向けに集中した活動を行うことを目的としている。

近年、道路など社会インフラの老朽化対策は緊急課題となっている。それに加えて、東京オリンピック・パラリンピックの開催が近づくにつれ関連施設の建設や周辺道路の塗り替えなどの動きが本格化する。そうした構造物塗料需要の高まりに対して、同社では最新技術・システムを提案する。そこで重要視するのが、環境配慮とLCC(ライフサイクルコスト)低減だ。

まず、環境配慮という観点から見ると、現時点で最も有効性が高いのが溶剤系から水性化への置換と言える。高い防錆性及び耐久性が求められる重防食塗料では水性化のハードルは高いが、同社ではジンクリッチペイントから下塗り、上塗りまでのオール水性化を実現した。国内で水性ジンクリッチペイントを本格展開しているのは同社のみ。

システム体系は「DNT水性重防食システム」として、水性厚膜形エポキシ樹脂ジンクリッチペイント「水性ゼッタールEP-2HB」、水性変性エポキシ樹脂下塗塗料「水性エポオール」、水性エポキシ樹脂中塗塗料「水性エポニックス中塗」を展開する。

そして、上塗りとしては2グレードをラインアップ。水性ポリウレタン樹脂上塗塗料「水性VトップH上塗」と水性ふっ素樹脂上塗塗料「水性VフロンH上塗」を展開している。

現在、国内の鋼構造物市場において大型物件での水性塗料の採用はほとんどないのが実情。一部鉄道橋の塗り替え施工やガスタンクなどで使用されているものの、それらは限定的と言え、普及に向けた動きとはなっていない。その中で、重防食塗料分野のトップランナーとして、「水性塗料の普及に向けて市場を作っていきたい」との思いを持ち、東京オリンピック・パラリンピックを大きな契機としたいとの考えだ。

そこで同社が重視するのが塗装時の施工性。水性塗料は水が蒸発し塗膜となれば溶剤系と同等の耐候性、防食性を有することは試験結果として示されている。水離れ(蒸発速度)を改良することで施工性を良くし、塗装直後の結露や降雨に対しての耐力を進化させている。これまでプラントタンク、配管、橋梁、立体駐車場など数十件で採用実績があり、技術改良を加えながら更なる受注を目指す。

一方、LCC低減に寄与するシステムとしては厚膜形ふっ素樹脂塗料「VフロンHBシリーズ」を展開する。

「東京スカイツリー®」にも採用され、知名度の上がった同システムは耐候性の優れたふっ素樹脂塗料を厚くすることで超耐久性を実現し、塗り替え周期を伸ばすことでメンテナンスコストが抑えられるというコンセプトだ。

新設向けに適する「VフロンHB」と塗り替えに適する弱溶剤タイプ「VフロンHBクリーンスマイル」をラインアップ。1回の塗装で55μmの厚膜を確保できる。下塗りに厚膜形の弱溶剤変性エポキシ樹脂系「エポオールHBスマイル」(120μm)を組み合わせることで通常4回塗り仕上げが2回塗りで仕上げることができ、工期短縮となる。

また、同社では鋼構造物の塗膜健全度及び塗膜下金属の腐食状態を診断する事業、「DNT塗膜診断システム」の本格展開をスタートさせている。

最適な塗り替え仕様を選定するために、画像処理解析による劣化面積率調査や塗膜下金属腐食診断装置などを駆使し、旧塗膜の膜厚や付着性など劣化具合を診断するというもの。

通常、塗り替えの判定には目視の調査によるところが多いが、目視では塗膜下の状態は分からない。この塗膜診断システムを活用することで、塗り替えが必要なのか、いつ必要なのか、必要であればどの部分か、など最適な塗り替えが実施できる。

塗膜劣化の予防、メンテナンスの予測という考えを普及させることで、構造物の長寿命化を推進させる。

主な実績

  • 国交省・米子大橋塗装(厚膜ふっ素樹脂系、1,700m2、2007年)
  • 東京スカイツリー®(厚膜ふっ素樹脂系、13万m2、2009年)
  • 電力会社・排気塔(厚膜ふっ素樹脂系、1万2,640m2、2013年)
  • 電鉄会社・橋梁(厚膜ふっ素樹脂系、3万6,000m2、2011年)
  • 製鉄会社・煙突(厚膜ふっ素樹脂系、2万m2、2014年)
  • 民間プラント・タンク(水性重防食塗装、500m2、2011年)
  • 保険会社・ビル機械式駐車設備(水性重防食塗装、1,052m2、2012年)
  • 石油会社・タンク(水性重防食塗装、1,140m2、2013年)
  • 大阪府・池島歩道橋(水性重防食塗装、470m2、2014年)
  • 大阪府・北宮歩道橋(水性重防食塗装、400m2、2014年)

企業プロフィール

大日本塗料は昭和4年に日本電池株式会社より分離、独立し鉛粉塗料株式会社として発足。昭和11年に社名を大日本塗料に改称し、総合塗料メーカーとして80年超の歴史を歩んできた。事業領域は家電製品、住宅、自動車、情報関連機器、車輌、高層ビル、大型橋梁など社会のさまざまな領域で活躍する。その中でも鉄構造物を錆から護る重防食塗料分野ではリーディングカンパニーとしての地位を確立。防錆下地に重要となるジンクリッチペイントからの重防食塗装システムにおいて水性化を実現し、普及に向けた本格展開を進めている。また、高まるメンテナンス需要に対応して、塗膜診断事業を開始し最適な塗り替え仕様の選定を推し進めている。

このページの最初にもどるためのリンク